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第17話「ニートだけど勇者だから婚活に強制参加させられたんだけど何か質問あるw?」(物語とは関係ありません。よい子の夏休みスペシャル6000文字)

王都・貴族議会室。

重厚な扉が閉じられ、議長席に座る老貴族が静かに口を開いた。


「勇者が独身なのは、いかがなものか?」


その一言に、議員たちは頷き合う。


「民の象徴たる勇者が、未だ伴侶を持たぬとは、国家の威信に関わる」

「婚姻は義務。勇者といえど例外ではない」

「婚活を開催するべきですな」


こうして、王都の貴族たちによる“勇者婚活推進計画”が始動した。


「いやいや、本人の意思は無視?昭和みたいな常識おしつけてくんなし!」

チョコレートはブチブチに切れてる。



翌日。

王都の高級レストラン「コ・ブリブリッチ」。

金と白を基調とした内装に、香水のような香りが漂う個室。そこに、チョコレートは座っていた。


「……俺、ここにいる理由がわからない」


テーブルの向かいには、貴族たちが並んでいる。皆、顔は整っている。服も高級。だが、目つきが妙に鋭い。


「勇者殿、今日は素敵な出会いを楽しみましょう」

「我々が選び抜いた最高のメンバーですぞ」

「ちなみに、途中退席は国家反逆罪に該当する可能性があります」


チョコレートは、グラスの水を一口飲んだ。


「俺、戦闘能力ゼロなんだけど。寝てるだけで世界を渡ってるだけなんだけど」


「それが問題なのです。民は勇者に夢を見ている。夢にはロマンスが必要です」


「俺の夢は昼寝です」


「それは庶民の夢ですな」


チョコレートは、椅子に深く腰掛けた。

この場にいる貴族たちは、どうやら“勇者の婚活”を国家的使命と捉えているらしい。


「ちなみに、今日の女性陣は非常に優秀ですぞ。中には、あのするめ嬢も」


「……するめ?」


「ええ。完璧な貴族令嬢。容姿端麗、頭脳明晰、礼儀正しい。少々毒舌ですが、それも魅力ですな」


チョコレートは、静かにため息をついた。


「俺、寝てていい?」


「それは無礼ですぞ」


こうして、勇者チョコレートは、国家の都合で婚活の場に引きずり出された。

この時点では、まだ知らなかった。

この婚活が、王都史上最も混沌とした社交イベントになることを――。




王都の高級レストラン「コ・ブリブリッチ」

個室の中央に座るチョコレートの前に、ひとりの女性が優雅に現れた。


「お待たせいたしました。鯣ですわ。」


完璧な立ち振る舞い。ドレスの裾を持ち上げ、椅子に腰掛ける所作まで洗練されている。


「今回はこのような場を用意していただき、光栄ですわ。」

気品あふれる感じにチョコレートも少しドキッとする。


「お、おおお、俺も、こんな、店は初めてで緊張してるます。」

変な敬語だ。


そのおかしな言動にスルメは軽くため息をついた。

そして口を開いた瞬間、空気が変わった。


「王都の高級レストラン「コ・ブリブリッチ」ですわ。”こんな店”なんて言い方は失礼だと思います。育ちの悪さが露見しますよ。」


「うるせ~よ!うんこ、ブリブリッチだか、何だか知らね~けど!!!」

小ばかにされて激高するチョコレート


「まあ……これが“勇者”ですの? ふふ、冗談はお顔だけにしていただきたいですわね」


チョコレートは、グラスの水を飲みながら答える。


「俺は勇者ってガラじゃない。転生して強制的に勇者にさせられただけだ。」


「ええ、存じておりますわ。まあ汚らしい言動、ドレスコートのなさ、品や教養のなさ。……滑稽ですわ」


「俺は別に生きていれればどうでも良いからね。」


「何てことを言うの?ふぅ…。それじゃあ虫や動物と変わらないじゃない。あなたのような方を育てたご両親……どのような教育をしたら、こんな失敗作ができるのか、お顔を拝見したいですわ。」


チョコレートの目がわずかに鋭くなる。


「……親は関係ないだろ。」


小さな声だった。だが、鯣には届かなかったようだ。


「何か言いまして? 声が小さくて聞こえませんでしたわ」


チョコレートは、椅子に深く腰掛けた。


「……なんでもない」


鯣は、紅茶を一口飲み、微笑んだ。


「ふふ……、所詮は庶民ですわね。場違いなのが良い証拠です。せいぜい普段食べれない高級な食事を楽しむがいいですわ。」


チョコレートは、静かにため息をついた。


「俺、帰っていい?」


「まだ次の方が控えてますわ。そんなこともわからないとか、本当に教養がありませんわね。無能の証ですわよ」


「俺、無能だから…」


鯣は、微笑みながら席を立った。


「では、次の方をお呼びしますわ。せいぜい、無様に振る舞ってくださいませ」





---





鯣が退席したあと、個室の扉が静かに開いた。


「……失礼…します。」


入ってきたのは、よく知る顔の少女。無表情で、まるで空気のように静かに椅子に座る。


「キャンディです……よろしくです」


チョコレートは、さっきまでの毒舌の余韻を引きずりながら、グラスの水を飲んだ。


「……よろしく。ていうか、お前、キャンディだよね?おまけに隠すつもりもないよね?」


チョコレートの言葉にキャンディはうんうんと頷く。


「ま、まさか、また勇者暗殺依頼!」


「……大丈夫…殺す対象ではない…、安心していい。」


「うん、安心できない」


キャンディは、じっとチョコレートを見つめている。まばたきの回数が少ない。


「……緊張してる…?」


「うん。してないと言えば、うそになる。」


「……それが、あたしでも?」


「どういうこと?」


「……少し嬉しい」


キャンディは少し頬を赤らめる。


チョコレートは、聞き取れなかった。


「ってか、なんで婚活に、お前がいるの?」


「……招待された…。自分で決められなかった…、だからコインで行くって決めた。」


どうやら、まだ自分の感情が薄く困ったらコイントスで決めてるようだ。


「なるほど…。じゃあ、表が出たんだね。裏が出たら、来なかったんだ?」

チョコレートはドレスのキャンディが可愛いと思ってしまう。


「いいえ…、裏が出たら…、暗殺……」


「待て待て待て!!!暗殺ダメ!絶対!!!暗殺は俺が許可した時だけにして!これは強制!約束!!!」


右手で握り拳を作り、それを口の前に当ててクスクスと笑うキャンディ。


「冗談…」


チョコレートも仕方ないっとため息をつき


「どうだ?楽しんでるか?」


「……楽しい、という感情がよくわかりません」


「そっか……俺も、婚活の楽しさはよくわからない」


「……共感。初めてかも」


チョコレートは、少しだけ笑った。


「じゃあ、俺たち、婚活向いてない同士ってことで」


「……はい。売れ残り………残飯のような存在……」



「さりげなく口悪いなお前も…」


「……」


沈黙が流れる。だが、不思議と居心地は悪くなかった。


「……では、次の方と交代します」


キャンディは、静かに立ち上がり、無音で部屋を出ていった。


チョコレートは、グラスの水を飲み干しながら呟いた。


「……なんか、今のが一番まともだった気がする」


~~~ここまでが理想~~~


「…食事。食べてない……。」

キャンディは思い出したように帰ってきた。


「えっ、あ、ああ。」

テーブルマナーがわからず、野菜やステーキが置いてあるが手つかずだ。


「…残酷に……」



ざざざ、


キャンディの短剣で、食材は綺麗に細切れになった。


小さなサイコロくらいに…


(俺と会話してくれる女性に、普通の人はいないのだろうか……)




---




個室の扉が、今度は静かに開いた。

そこに立っていたのは、普段とはまるで違う雰囲気のビスケットだった。


「……ど、ども……」


彼女は、ふわりとした淡いピンクのドレスを着ていた。髪も軽く巻かれていて、靴はちゃんとヒール。

だが、表情はどこか落ち着かず、視線が泳いでいる。


「……ビスケット?」


「せやがや…じゃ、なくてそうです。…あまり見ないで……恥ずかしいがや…じゃなくて、恥ずかしいです…。」


チョコレートは、グラスの水を飲みながら答える。


「いや、似合ってるよ。普段と違って、なんか……乙女って感じ。普段もこういうお淑やかな感じで、ドアを蹴破らないでくれると助かる。」

チョコレートはにんまりいやらしく笑う。


「うるさいがや…じゃなくて、うるさいです。…こんなん、着慣れてへんし……歩きにくいし……座りにくいし……。」


ビスケットは、ぎこちなく椅子に腰掛ける。ドレスの裾を気にしながら、落ち着かない様子。


「でも、なんで参加したの? 婚活って、君のキャラじゃないよね。」


「王都の衛兵に言われたんや。ただ飯、ただ酒もらえるって聞いて、飛びついたら、『勇者様の婚活に協力せよ』って……、もう」


「蹴らなかったの?」

 

「……あたいだってドレスは、着たい。」


チョコレートは、少しだけ笑った。


「それは意外だな。」


「笑ったら、ぶっ飛ばす。他の奴らに話すなよ?」


「でも、キャンディもいたぞ。控室で会うんじゃないか?」


「は?うせやろ?」


少し二人の間に沈黙が流れる。



「……正直、ドレスの締め付けがムカついてきた」


「それはドレスのせいなんだ……」


ビスケットは、テーブルの上のナプキンを指でいじりながら、ぽつりと呟いた。


「飯も、なんやこれ?ぐちゃぐちゃの細切れやんか…」


「それはキャンディのせいだ。」


「あたいと話してるのに、他の女の話をするとは、エエ度胸やな?」


「えっ?」


「冗談や。」


「それは助かる」


ビスケットは、立ち上がると、ドレスの裾を持ち上げて、そろりと歩き出した。


「じゃ、次のやつ呼んでくるわ。……お前、寝んなよ」


「起きてるよ。たぶん」



~~~ここまでが理想~~~


ばたん。


「あ~かったりかったぁ~www」


扉の外から、ビスケットの声、


「おら、参加したんだから酒出せや。ああん?暴れなかったやろ?」


おそらく店員さんにダルがらみしてる。


「ワインなんていらん!ビールだがや!!!」



(俺と会話してくれる女性に、普通の人はいないのだろうか……)




---




個室の扉が、そっと開いた。

そこに立っていたのは、ふわふわのドレスに身を包んだクッキー。髪はゆるく巻かれ、目元にはうっすら涙の跡。


「……あたしって、大切にされてる?」


チョコレートは、グラスの水を飲みながら答える。


「今来たばっかりなのに、もうそのセリフ?」


クッキーは、椅子に座ると、テーブルの端を指でなぞりながら言った。


「この席、端っこだった……あたし、ないがしろにされてる?」


「いや、席はランダムだと思うよ」


「でも、あたしだけ、ナプキンがちょっと曲がってる……これって、そういうことだよね?」


「ナプキンの角度で人間関係を判断するのはやめたほうがいいと思う」


クッキーは、チョコレートをじっと見つめる。


「ねえ……あたしって、必要?」


「まあ、婚活に呼ばれてる時点で、必要なんじゃない?」


「でも、誰も“必要”って言ってくれない……言ってくれないと、死霊が暴れるかも……」


「それは困る」


チョコレートは、少しだけ椅子を引いた。


「君、今日は召喚しないよね?」


「ううん、今日は控えめにする。だって、あたし、頑張ってドレス着てきたし……」


「似合ってるよ。すごく」


「ほんと? ほんとに? 今、あたしのこと褒めた? 大切にしてくれてる?」


「うん。たぶん、今のは褒めた」


「待って!?今、私、ないがしろにされなかった?」


「いや、してない。してないよ」


クッキーは、少しだけ笑った。


「ふふ……あたし、今日だけは暴れない。だって、チョコレートが優しいから」


「それは助かる」


「でも、次の人があたしより可愛かったら、死霊が暴れるかも」


「それは困る」


クッキーは、立ち上がると、ドレスの裾を持ち上げて、そろりと歩き出した。


「じゃ、次の子呼んでくるね。……あたしのこと、忘れないでね?」


「忘れないよ。たぶん」


~~~ここまでが理想~~~


「でも、別の女の子とも食事したってことだよね?」


「ん?ん~?ん?」


「もうあたし死ぬわ!」


クッキーはステーキを切る用のナイフでリストカットを決行しようとし、

店員に取り押さえられた


「見てて!一生の思い出にしてあげるから!婚活ではインパクトが大事なのよ!目の前で鮮血おがませてあげるわ!!!」

いつも通りいかれたクッキー



(俺と会話してくれる女性に、普通の人はいないのだろうか……)



---



個室の扉が、そっと開いた。

そこに立っていたのは、白いドレスに身を包んだ少女。髪は丁寧に結われ、瞳はどこか不安げ。


「……入っても、良いですか?」


チョコレートは、グラスの水を飲みながら答える。


「もちろん。どうぞ」


マギーは、そろりと歩いてきて、椅子に腰掛ける。背筋はまっすぐ、手は膝の上に揃えられている。完璧な礼儀作法。だが、どこかぎこちない。


「……あの、こういう場……初めてで……」


「俺も。というか、来たくなかった」


「……そうなんですね。私も、少し怖くて……でもチョコレートさんが参加されるって聞いて……」


えっ、それって俺に気がある?

チョコレートはドキッとした。


「最近は、魔王軍に襲われたりはしてないかな?」


「……はい、おかげさまで。でも、私……よく狙われるので……、町の外は怖いです。」


適度な沈黙が流れる


「君、普段はどんなことしてるの?」


「……お店のお手伝いとか、保育園の子ども達の世話とか……子どもが好きなんです」

マギーはにこっと笑う


男性なら必ず思うはずだ。


(ここは「そうなんですね。僕も子どもは好きです。」と答えていいものか?)


男性の「子供好き」はロリコンや変態オタクなイメージが強い


女子は子供好き=家庭的

男子の子供好き(ただしイケメンにかぎる)はそれ以外はロリコン!って定義は酷いと思うんだ

この男女平等の世の中で、そんなことがあっていいのだろうか?

いや、いいわけがない!!!



確かにロリコンでプリキュ〇とか毎朝見てたよ?


見てたけど、それとこれとは…くぁwせdrftgyふじこlp;



「いいね。俺はふじこかな。」


頭がパニックになり意味不明な言葉が出る


「……ふじこさん?」


「うん。平等主義者だから」


「平等だと、ふじこさんなんですね。」


マギーは、少しだけ微笑んだ。


「……ドレス、似合ってますか?」


「すごく。似合ってるよ。」

(とりあえず似合ってるって言っとけばいい系)


「……ありがとうございます。選ぶのに、三時間かかりました」


「そんなに?」


「……はい。白がいいか、青がいいか、ピンクがいいか……でも、白は落ち着いて見えるかなって……」


(女の服装ほど、どうでもいいと思ってる男はいない、強いて本音を言うなら、何も着ていないのが一番だよ。って言いたい。)


「見えるよ。すごく」


マギーは、指先でグラスの縁をなぞりながら、ぽつりと呟いた。


「……こういう場って、もっと賑やかだと思ってました」


「俺が静かだからね。賑やかにする気もないし」


「……でも、静かなのも、悪くないです」


チョコレートは、グラスの水を飲み干した。


「俺も、君と話せてよかった」


「……ありがとうございます。では」


「…これで全員か」


~~~ここまでが理想~~~


「あっ、てか外は晴天で吸血鬼は、やばいんじゃ…」

(冷静に考えたら、ステーキもガーリック(にんにく)だし)


「マギー!!!」


部屋を出るチョコレート


「?なんでしょうか?」


あれ?何ともない?



その瞬間また魔物が、マギーをさらっていった…




(俺と会話してくれる女性に、普通の人はいないのだろうか……)




「魔王軍幹部クラスにもなれば、そのくらいの弱点、誤差みたいなものよ。例えるなら、人間が農薬のついた野菜を食べる程度、感じすらしないでしょ。」


クッキーはニコニコしながら腕を組んできた


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