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第14話「ニートで昼間に昼寝しすぎで夜寝れなかったから仲間のプライバシー侵害しちゃったけど何か質問あるw?」(2/4) 

夜の静けさは、まるで世界が息を潜めているようだった。


キャンディは弟のケディと並んで布団に入り、母・アメの子守歌を聞いていた。


その歌は、どこか哀しくて優しくて、まるで森の奥から風が運んできたような旋律だった。






母の子守歌




ねんねんころりよ 森の奥


風がささやく 母の声




眠れ 眠れ 小さな手


明日が来ても ここにいて




ねんねんころりよ 影の中


忘れた名前を 呼ばないで




眠れ 眠れ 愛し子よ


夢の中では 抱きしめる










「ねえ、姉ちゃん。明日も草原行こうね」


「うん。明日も、明後日も、ずっと行こう」




その約束が守られることはないとは思っていなかった。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



――その夜、闇が訪れた。




家の外から、何かが軋む音がした。


父が玄関に向かうと、扉が蹴破られ、黒装束の男たちが雪崩れ込んできた。




「キャンディ、ケディ、こっちに来なさい!」


父の叫び二人を抱き寄せる。


だが、逃げ場はなかった。




男たちは無言で父に刃を向けた。




「父さんが時間を稼ぐ!逃げろ!!!」


父は自分の身体を盾に逃げるように叫ぶ。






父は自身に刺さった凶器を抜かせまいと、あがく




キャンディの目の前でだ。


あたりに血が飛び散る。






「お父さん……っ!」


キャンディは叫んだが、声は誰にも届かなかった。




男たちは容赦なく父親をぼろ雑巾のように捨て、2人を捕まえた。


ケディは泣き叫び、キャンディはその手を必死に握っていた。




「離さないで……ケディ……!」


だが、手は引き裂かれた。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


その後の記憶は、断片的だった。


父の遺体、ケディの泣き声、男たちの冷たい目。


キャンディは、ただ震えながら、何もできずにいた。




気づけば、彼女は檻の中にいた。


暗殺集団の拠点。


そこでは、感情を持つことが「罪」だった。




「泣くな。うるさい。舌を引き抜くぞ。」


「笑うな。気持ち悪い。笑えないようにしてやろうか?」


「怒るな。生意気だ?今死ぬか?」




キャンディは、何度も罰を受けた。


それでも、最初は抵抗した。


泣いた。怒った。叫んだ。




だが、何をしても、結果は同じだった。


そして一つ学んだ、無感情…。


無感情の無関心…。


それこそが一番被害が少なくて済んだ。


何の反応もしなければ面白くない。


だから…、あたしは……






その夜、キャンディは、わずか6歳にして「感情を殺す」という選択をした。


泣かない。怒らない。笑わない。


ただ、生きるために、感情を捨てる。


喜怒哀楽を捨てる。






そして、彼女の心は、ゆっくりと「黒い影」の中に溶けていった。










~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~








檻の中で過ごす日々は、時間の感覚を奪っていった。


朝も夜も関係なく、命令と罰だけが繰り返される。


キャンディは、ただ静かに息をしていた。


生きてる意味あるのかな?これ…




「姉ちゃん……今日、外に出された人、戻ってこなかった」


ケディの声は、かすれていた。


彼の顔色は日に日に悪くなり、痩せ細った腕がキャンディの袖を掴む力も弱くなっていた。




「大丈夫。あたしたちは、戻ってくる」


キャンディはそう言ったが、自分でもその言葉に何の意味もないことを知っていた。




ある日、黒装束の男が檻の前に立った。


「お前、見た目は悪くない。使えるかもしれん」


キャンディは無言で何の反応もしなかった。




「喜べ、暗殺術を教えてやる。お前は生きれるぞ。」


男はケタケタといやらしく笑った。

癇に障る引き笑い。



「…殺して……」


キャンディは言った。




「う~ん、俺様の見込み違いか…。なら、殺しとくかな。」




檻を開けて、キャンディの腕をつかむ。






「……最後…お願い………いい?」




「お願いできる立場だと思ってんのか?それに俺様がテメーなんかの願いを聞くと思うか?」




無視してキャンディは続けた。




「ケディを…、弟だけは、見逃して……。」




「ん~、外に逃がせばいいんか?」




キャンディは意外な反応に驚く


本当は町まで送り届けてほしいが、そんなことを言ったら何をするかわからない。




彼のあるのかないのかわからない良心にすがるしかないのだ。








「わかった。ただ、さっきの話は、お前が一人前の暗殺者になったら、考えてやる。」


その言葉に、キャンディは驚いたが、無表情を続けた。


こいつは根っからのサディストだ。






「ケディには……触らないで」


「なら、学べ。使えるようになれば、いつか“用済み”になった時に逃がしてやる。約束だ」




その約束が、どれほど薄っぺらいものかは、キャンディにもわかっていた。


それでも、ケディの命を守るために、彼女は刃を握ることを選んだ。




訓練は過酷だった。


感情を捨て、音を消し、気配を殺す。


「殺すことは、効率だ。感情は不要」


そう言われ続けるうちに、キャンディはそれを信じるようになった。


暗殺の訓練前から喜怒哀楽を殺していたのが、


まさかこんな風に功をなすとは思わなかった。


皮肉なことに最強の暗殺者が最初に殺したのは自分自身の感情だった…。





ケディは、キャンディの帰りを待つだけの存在になっていた。


彼の目は、もう以前のように輝いてはいなかった。




「姉ちゃん……今日も、帰ってきてくれてよかった」


その言葉だけが、キャンディの心をかろうじて繋ぎ止めていた。




だが、彼女の中で何かが、少しずつ壊れていくのを感じていた。


いや…もう既に壊れていたのかもしれない…



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