派閥争いレベル100的なアレ
「オラァッ!」
「『ヘキサゴン・バリアー』、『アイシクル・ランス』!」
「『封魔連脚』! 『覇王拳』!」
俺教の御神体である俺は完全置いてけぼり。目の前で謎の決闘が始まりなにがなんなのか。
入る隙は無さそうなので俺はタマグライと暇つぶしを始めた。
「『りんご』」
「『ゴリラ』」
「『ラップ』」
「プか……? うーん、『プレゼント』」
「カカッ、『トラップ』」
「おまっ、プ攻めは無しだろ!」
「しりとりにそんなルールはねェぜ? さぁ早く言いな」
「プか…………プ……プ……」
タマグライの外道すぎる戦術に脳みそをフル回転させてると……
「『ロック・ブラスト』!」
ナッシュの放った岩が飛んできた! 危ねぇ!
……だがチャンス! しりとりをうやむやにするチャンスだ!
俺は構えをとり、
「『居合』ッ!」
タイミング合わせて岩を無力化した。そしてそのまま爆発してナッシュへ急接近!
撃ち落とそうと雷を放つが空中で身を捻って回避、完全に射程圏内に入った!
「『飛燕』!」
ザクッと肩を切り裂き、なにやらモヤモヤしたものが出てくる。そしてタマグライに吸われていった。
直後にレベルアップの音が流れる。
……なるほどプレイヤーを切ったら俺にも経験値が入るのか。使い方によっては害悪扱いされそうだなぁ。
ナッシュは攻撃を中止して、手を叩き始めた。
「いやぁ、素晴らしい身のこなしでした。まさかあんな方法で移動していたとは」
「褒めとか今はいらねぇよ。なんでお前ら闘ってるんだ、説明しろよ」
俺が聞くと、サカモトが出てきて答えてくれた。
「たしかに俺たちのギルドはゼロを崇めるためのギルダだ。……いや、「だった」というべきかな」
「というと?」
「もともとゼロに惚れたやつが集まっていたんだが……そこにゼロを認めない勢力が入ってきてな、それでギルド内は俺を筆頭とした「ゼロを崇めよう派」とナッシュみたいな「ゼロは認めないぞ派」の2つが混ざったもんになっちまったんだ」
「待て待て、なんでぶっ殺す派はギルドに入る必要があるんだ? そいつらだけでギルド組めばいいのに」
「ギルドメンバーはギルドマスターの位置をいつでも知れるっていう仕様があって、それを目的にあいつらもカルト・ゼロに入ってるんだ」
……あの野郎、そのためにギルマス渡してきやがったのか……! クソ、説明くらい読んでおけばよかった!
「つまり我々はいつでもあなたの居場所を知れる……。どこに居ようとあなたをPKしに行けるというわけです!」
「そして俺たちはあいつらからあんたを守るために動いているんだ」
……なるほど。ギルド内で常に派閥争いレベル100みたいなのが起こってることになるのか。
別に守ってもらう必要はないが、やりたいって言うなら好きにやらせよう。そこまで迷惑にはならないだろうし。
「さて、一段落したことですし、我々のギルドハウスに招待しましょうか」
「そうだな。あんたのためにスゲェもん作ったんだぜ? めちゃくちゃクラフトが上手いやつがいてよォ」
クラフト……家造りか。たまにいるよなぁ、この手のやつがめちゃくちゃ得意なやつ。
まぁまだギルドハウスが作れるようになってから3日ほど。他ゲーで見てきたような高クオリティやつはまだ出来ていないだろう。
期待小という感じで俺はナッシュの出した魔法陣に入った。
◇◆◇
ワープが完了した瞬間、俺の目に飛び込んできたのはまさに城!
それも日本のやつとか王様のやつとかじゃない! ファンタジー世界の「悪の帝王」に相応しい、形容するなら魔王城! 超巨大! ハジマーリの村1個分以上の土地を使ってるぞ!?
黒の城壁とゴツゴツした装飾、屋根はトゲトゲ、上空には雷。俺はいつから魔王になった!?
「どうだ? スゲェだろ?」
「メンバー総出で丸2日かけて作った力作です。満足いただけましたか?」
「満足っていうか……うん……」
流石に引いたわ。なんだこのバケモン。
このゲームの建築システムは全く知らないが、常人が2日で出来るクオリティじゃねえぞ……。誰だよ設計。クラフト廃人でもいるのか?
そもそもプレイヤー1人のためにここまでやるか!? 廃人だとしても! 有料公開したらすぐに大金が稼げそうだぞ!?
「さぁさぁ中に入ってください。皆がゼロ様の到着を待っていますよ」
「皆って……ところでギルメンは何人くらい?」
「そうだな、ざっと600人といったところか?」
「600!?!?」
どんだけデカくなってるんだよ! 改めて宗教のスゴさ実感したわ。あ、半分は俺のアンチなんだっけ。
それでもおよそ300は信者。EX討伐ってのはやはりすごいんだなぁ……。
重そうな門が開き、俺たちは城の中へと進んでいった……
※ちなみに設定で位置情報の共有はOFFれます。




