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古代の祝福

「我を目覚めさせたこと、褒めて遣わす。汝に褒美を……」


 モニターに映る王が右手を前に出すと、俺の目の前にウィンドウが現れた。

 スキルが色々書かれている。1つ選んでもらえるってことか?

 うーん、どうするか……。


 まず最初に目についたのは『テレポート』。行ったことがある場所ならどこでも瞬間移動できるスキルだ。

 AGI(素早さ)が1故に移動に時間がかかる俺にはちょうどいい。

 だがその下の『朧』、自動回避のスキルも魅力的だ。油断はしないつもりだが前のユグドラシルの時みたいなこともあるかもしれない。持ってて損はないな。


 他にも『滅尽』や『剣聖』などかっこよさげなスキルがたくさんある。結構な割合で俺には使えないけど……。

 そして俺が悩みに悩んだ結果選んだスキル、それは――


「よし決めた。俺は『躱撃解放(たげきかいほう)』にするぜ!」


『躱撃解放』は回避を強化するスキルだ。回避に成功するたびに『躱撃』のポイントが溜まっていき、攻撃を当てた時ポイントに応じた固定ダメージが入るのだ。

 固定ダメージならSTR(攻撃力)に関係なく相手にダメージが与えられる。そして俺の立ち回りは回避を主軸にしているからポイントも溜まりやすい。

 正に俺のために救済スキルじゃあないか!


「てことでオッサン、早くスキルよこしやがれ」

「……よかろう。ただし――」


 王は見た目に合わない指パッチンをした。

 するとゴゴゴゴと音を立てて部屋の壁が動き出した!


 変形した壁からはさっき見たゴーレムやその他よくわからんモンスターが大量に。おいおいなんだよこれ!


「汝にそれ相応の力があるか、試させてもらおうか」


 何が試すだよ! せっかく起こしてやったんだから無料(タダ)でスキルの1つや2つくれてもいいだろうがよッ!


 王改め理不尽なオッサンにそう言おうとしたが、モンスターから放たれた光線にそれは遮られた。

 ギリギリで躱せたが流石に危なかった。どうやらマジでやるらしい。


「5分、時間をやろう。それまでにこの機械兵を全て倒せば、お前の力を認めよう」

「おいもうちょっと長くならないか?」

「ならん」

「くたばれオッサン」


 俺のセリフと同時に頭上にタイマーが現れカウントダウンを始める。クソが、5分でこの量倒せるわけねえだろ。俺のSTR1だぞ!?


 独白の間にも光線は飛び、タイマーは進む。

 何か方法はないか? 機械を蹴散らせるようなものが。


 ダメ元で、スキルの欄を確認してみる。

 道中で手に入ったいらないスキルがアホみたいにある。

『親指外し』、『消えるサイコロ』、『トランプ透視』、『花咲き』、『水鉄砲』、『声真似』、『ジャグリング』……ほんっと使えねえ……!

 てか途中から手品というか一発芸だろこれ。この職業もしかして一発芸師か!?


 機械に有効な手など見つからず……ん? 機械?


 俺が思い出したのは『水鉄砲』。そうだ、水でもぶっかければ機械は壊れる……かもしれない。

 しかも一発じゃない。MPの限りやれば行けるはずだ!


「喰らええぇ!! 『水鉄砲』ッ!!」


 指先から何の変哲もない水が発射される。その量はどんどん増えて行き、ホース並みとなった。

 光線を掻い潜り水をかけてやると、なんと気持ちいい。機械兵たちが煙と電気なエフェクトをバチバチ出して壊れていくではありませんか! しっかりキルログにも記録されている。


「ハーッハッハッ! 死にたいやつは前に出ろぉ!」


 こうして叫びながら放水を続け、残り時間1分2秒のところで全てが活動を停止した。

 いやー、危なかった。一発芸スキルのお陰で助かった。悔しいけど。

 まあいい。全員倒したからいい。


「さーて、約束通りスキルを貰おうじゃねえか」

「よかろう。汝の力、認めよう」


 モニターがピカッと光り、スキル取得のウィンドウが現れた。


 〚ユニークスキル:躱撃解放を獲得しました〛

「躱」の音読みは「タ」なんですねぇ

さてさて、「躱撃解放」によってようやくまともに戦えるようになりました。

ゼロくんの所有するスキルはまだまだあるのでちょこちょこ出していくつもりです。

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