表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/14

第8話 神様は中二

『スキル:氷結の英雄を開放します』

突然頭に響く無機質なアナウンス。

複数のコマンドが現れたと思いきや次々と更新されていく。

『スキル:炎帝の支配者を獲得しました』

『称号:七光の挑戦者を獲得しました』

『スキル:虹写しがスキル:鏡の番人に進化しました』

プレイヤーに覚醒し、初めて身に着けたスキルは虹写しのスキルだった。その後は、スキルを使って、他人のスキルをコピーするのみで、新たなスキルを得たことはなかった。

プレイヤー覚醒後にスキルを得るには、ゲート内で手に入れるアイテムやボス戦攻略の報酬のみ。それも低確率だ。

現役時代、たくさんのゲートに潜ってきたが、手に入れることはできなかった。運もあるらしい。運よくスキルを手に入れる人は、複数のスキルを持っている場合が多い。

また低難易度ゲートほどスキルを得やすいといわれているのだが、レベル見合わないゲートの報酬はあまりよくない。ゲートによっては入場すらさせてもらえない。

俺はコピーできる能力のせいで、最初からチュートリアルゲートと呼ばれる初心者向けのゲートへは潜れなかった。

そこで簡単なスキルを得る人が多いのだとか。飽和していた身体強化のスキルはチュートリアルゲート産のものだ。飽和しているというよりかは、持っているのが当たり前のようなスキルだったので、コピーさせてもらっていた。

ただでさえ身体能力の優れたプレイヤーをさらに強化する使い勝手の良いスキルだ。

『これより、ステータスの封印を行います。スキルレベルにより、解放—並びにボーナスが与えられます』

は?

俺は急激に意識を浮上させた。


「ステータスの封印…?」

寝起きのふわふわした状態でウインドウを開く。

スキル一覧には新たに追加されたスキルが並んでいる。今回も残念ながら身体強化のスキルはない。なくても困らないが、武器を振るいたいときに困る。レベルが低いプレイヤーに負けたこともある。

「氷結の英雄に炎帝の支配者…ってなんだこれ。氷と炎?」

二極化するスキルを得たなんて聞いたことがない。大体は初めて得たスキルに似た属性のスキルを得る。

「って、英雄…ねえ」

散々聞き飽きた単語に嫌悪感すら覚える。

「それに…スキルが進化って…って!!ステータスが!」

スキルが進化することは稀にある。属性一つ追加とか些細なものがほとんどだ。

そしてスキル一覧上部。ステータス欄にて、俺は絶望する。

ステータス欄が初期値に戻っているのだ。

「ステータスの封印って言っていたから、初期化されたわけではないんだよな?それにしてもなぜ?」

スキルレベルが上昇すると、ボーナス付きでステータスがもとに戻るらしい。とはいえ、スキルレベルを上げるのは苦難の技だ。スキルを使いまくるのが一番の手だが、そうそう連発はできない。MP上限というものがあるからだ。

「地道に上げるのが早そうだな…」

ステータスはレベルが上がれば上昇する。今のレベルから上げるのは経験値をたくさん使うが、スキルレベルよりはたやすいだろう。どのような方法でもいいので敵を倒してゲートをクリアすればいいのだから。

「俺のレベルは50…昔のままか」

プレイヤー歴5年で50レベルは高いほうだ。1上げるのに1年かかる人もいる。だが、30レベル以上に求められる経験値は桁がおかしい。炎帝を倒した時の経験値は入っていないようだ。

「第一ゲート赤の王…ねえ」

俺は体を起こすと、大きく伸びをする。特別病室のベッドは居心地が抜群だ。

「第一ゲートって、変な名前だったよな」

ゲートを生み出したのが誰なのか解明されていないが、少し凝ったゲート名が多い。ゲートに触れると、入場しますか?とともにゲート名が表示されるのだ。

稀に地名が付いたゲートも存在したが、『第一』か…。

第二ゲートも今後ありそうな名前。というよりかは、25年の間にクリアされた第二ゲートがあるのかもしれない。

「ま、何はともあれ。ステータスが初期値じゃ隠居生活は無理そうだなあ…」

クリア後も入場可能なゲートで暮らす人は多少存在する。プレイヤーならだれでも気軽に入場できるし、ゲート内に自然発生する資源でサバイバル生活ができる。それなりの稼ぎと、無料の土地、ウインドウ画面から簡単にショッピングもできる。現実のわずらわしさから解放され、ニート暮らしができると考えていた。

不思議な力で届けられる物資は、現実世界で購入できる物は大抵買えるので、食事も困らない。

だが問題があるとすれば、やはりレベルが高くないと生活ができないことだろう。レベルは高いがステータスは初期値の俺には厳しい。その上無一文ときた。

しばらくは協会に身を寄せるしかなさそうだ。

用語解説

プレイヤー①

特殊能力を覚醒し、プレイヤー協会に登録した人を指す。覚醒後登録しない人は、ただ覚醒者と呼ぶ。ウインドウ画面から自分のステータスやスキル、持ち物等を管理でき、またネットの閲覧も可能。MPの数値分アイテムを持ち運べる。プレイヤー協会に登録後は、フリーランス、プレイヤー協会所属、ギルド所属の3つだが、ほとんどはギルドに所属する。ギルドは成長サポートやアイテム提供、また培ったノウハウなど恩恵が多い。逆にプレイヤー協会は準公務員的立ち位置なため、自由に活動したいプレイヤーには不向きである。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ