表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

娘ちん、意気消沈


 皆さんは、お子さんの前で、どんな会話をされますか?

 幼い子供だからといって、侮っていたら、しっぺ返しを食らうかもしれません。


 どうせ、意味が分からないだろうと、夫婦などで楽しく会話していても。

 子供は黙って聞いているものです。


 僕はとある映画が大好きです。

 その映画は、R指定がつくような暴力描写が激しいヤクザ映画です。


 晩酌しながら、よくそのシーンをスマホで見ては、ゲラゲラ笑っています。

 暴力描写こそ見せないものの、凄まじい怒号が連発される有名なシーンが大好きで。

 

『てめぇら、ガタガタうるせぇーんだよ!』

『ワレ、なんじゃい!』

『なんや、こいつ。なめやがって……なめんとか、コラァ!?』

『なめてぇねーよ、バカヤロー!』


 という、やりとりが僕は大好物で、ハマると影響されやすい性格なので、日常的にそのセリフを多用します。


 娘たちが保育園や学校で、嫌なことがあったとか、人に嫌なことを言われたりしたと、相談された時なんかは。


 僕は冗談でこう言います。


「そういう時は、先生に向かってこう言えばいいんだよ。『ワレ、なんじゃい!』ってね♪」

 長女は頭がいいので、苦い顔をします。

「そんなこと言えるわけないじゃん」

「ごめんごめん……」


 我が家では、なんてことがよくあるのですが。


 次女である娘ちんは、黙ってそれを聞いていました。


 6歳になる娘ちんは、保育園で好きな男の子がいます。

 僕に似てシャイな子なので、なかなかアプローチができません。

 ですが、話を聞いている限り、脈ありそうな仲なようで。


 ある日、その男の子に向かって、娘ちんはこう言ったそうです。


「ねぇ、ちょっと耳貸して!」

「うん。いいよ~」


 耳元でドスの聞いた声で囁く娘ちん。


「ワレ、なめんとかぁ!?」

「……」


 その後、黙り込んでしまう男の子。

 娘ちんは、どうやら、このセリフを誉め言葉とか、冗談と思っていたらしいです。


 意味が分からなかった、娘ちんは、帰宅して、僕に相談します。


「ねぇ、パパ」

「ん?」

「『ワレ』ってどういう意味?」

「あー、お前とかてめぇとか、かな」

 僕はなんでそんなことを聞いて来るのか、不思議でした。

「え……じゃあ、『なめとんか』は?」

「ん~ 相手をバカにしている……意味かな。どうして、急にそんなこと聞くの?」

「なんでもない」


 急に顔が青ざめる娘ちん。

 あとで、母親である妻に、男の子に言ってしまったことを相談したそうで。

 妻は驚き、

「そんなこと言ったの!?」

「う、うん……意味わかんなくて」

「じゃあ、謝っておいた方がいいよ」

「うん……」


 後日、妻から僕は、事の重大さを知り、とても罪悪感を感じました。


 ですが、先日バレンタインデーで想いを伝えたところ、両想いになれたようで。

 毎日、「どれぐらい好き?」「100万かい!」と言い合える仲になれました。


 僕はこの件で、反省しております……。



   了


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ