表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

61/70

第60話 念願の天ぷら

 ケヴィン王子とローランドさんの戦いを止めた後、暫くは周囲から注目されてしまう生活が続いたけど、数日経つとそれも落ち着いてきた。

 あとは、森の妖精の噂が完全に忘れられたら助かるんだけど……と、そんな事を考えながら、今日も森へ。

 そして、前から挑戦していた、和食の中の和食といえる料理の一つに挑戦し、


「出来たっ! ……うん、美味しいっ!」


 百点満点とは言えないものの、天ぷらを作り上げた!


「ん? 前から変な事してたけど……お嬢ちゃん。何やこれ?」

「あ、そっちは近付いちゃダメ! 油だから、凄く高温なのよ。飲んだりする事も出来ないわよ!」

「んん? 前に作ってくれたスープは旨かったけど、これは違うんか?」

「あれは、水に味を付けて、あれ自体を飲む料理だったけど、これは食べる物じゃなくて、調理する為の物なのよ」

「ん-、難しいけど、要はこれは食べ物やないって事やな?」


 ときメイの世界に揚げるっていう調理方法が無いのか、それともダニエルが知らないからなのかは分からないけれど、とりあえず油は飲んじゃダメだって説明し、そこは理解してもらえた。

 流石に、こんなのを飲んだら身体に悪い……というか、その前に火傷しちゃうしね。

 しかも、この世界では油といえば牛脂しかないらしくて、大量の牛脂を熱して揚げる用の油にしているから、結構重そうだし。

 私としては、天ぷらにはゴマ油を使いたかったんだけど……どうやったらゴマ油って作れるんだろう。

 ゴマは植物だから、木魔法で植えられそうだけど……し、搾れば良いのかな?


「お姉様。私もいただいて宜しいですか?」

「お姉ちゃん。ボクもー!」

「はいはい。じゃあ、ナーシャちゃんはこれを。セシルとダニエルには、こっちをどうぞ」


 野菜を細かく切って揚げたかき揚げの小さなのをナーシャちゃんに。セシルとダニエルには、大きなのをあげると、皆美味しそうに食べてくれた。


「お姉様。このような食べ物は初めて食べました。とっても美味しいです」

「ホントは、もっとサラッと揚がるんだけどね。そうすると、軽くてサクサクで更に美味しいんだけど……」


 流石に牛脂を液体にした油では無理だったかな?


「いやいや、お嬢ちゃん。そうは言うけど、こないな食べ物は見た事も聞いた事もないし、十二分に旨いけどな……って、お嬢ちゃんが食べてるのは、こっちのとはまたちゃうけど、それは何なんや?」

「これ? ししとうの天ぷらよ。食べてみる?」

「……ん。これは微妙な苦味が……けど、旨いな」

「でしょ? 私は好きなんだけど……少し苦味があるから、セシルやナーシャちゃんには、こっちの方が良いかも」


 家庭で作る天ぷらの定番、サツマイモの天ぷら。

 ウチの家は塩か天つゆだったけど、これは何もつけなくても甘くて美味しいよね。

 久々の天ぷらを嬉しく思いつつ、タクアンがしっかり漬かって、食べられるようになったら、定食風にして食べようっと。

 さて、天ぷらの次は……味噌汁? いやいや、流石に味噌は無理かな。

 確かお味噌って、発酵食品だよね?

 菌とか良く分からないし、代わりは……お吸い物?

 となると、ダシ……鰹節は無さそうだけど、昆布なら手に入るのかな?


「ねぇ、ダニエル。この辺りに海ってあるの?」

「いや、お嬢ちゃん。無茶いうたらアカンわ。ここは内陸国やで」

「えっ!? そうなの!?」

「なんや、知らんかったんか? まぁワイらには関係ないっちゃ無いけど、人間は国を跨ぐんは大変なんやろ? 何や大きな壁で囲まれてるし」


 あー、国境か。

 ユリアナの転移魔法を使えば越えられるけど……ときメイの舞台を飛び出すのはちょっと怖いから、また街に売っていないか探しに行こーっと。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ