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第59話 解決?

「えっと、はっきり言わせてもらうと、私は誰にも、さらわれてなんて居ないんだけど」

「……だそうだが。お前たち、どういう事なんだ!?」


 私の言葉を聞いたケヴィン王子が、かなりイラついた様子で騎士さんたちに声を掛ける。

 事の発端は、この人たちの勘違い……だと思っていると、


「しかしながら、昨晩遅くまで女子寮の入り口でルーシーさんが戻って来るのを見張っておりましたが、帰って来ませんでした。それは紛れも無い事実です」

「その為、最後にルーシーさんが会って居た人物……ローランド殿が連れ去ったに違いないと判断致しました」

「ケヴィン王子。我々の報告は真実です。ルーシーさんがウソをついているのです」


 騎士さんたちが口々に私の事を話しだす。

 しかも、私が嘘を吐いているって、どういう事なの!?


「私は嘘なんて吐いてない……って、ちょっと待って。女子寮の入り口に居たのって、貴方たちだったの!? 昨日、菜園クラブが終わって帰ろうとしたら、寮の前で変な人たちが隠れていて、怖くて帰れなかったんだけど!」

「ん……待った。そもそも、どうしてアンタたちはルーシーを寮の入り口で見張っていたんだ!? しかも、身を潜めていたって、何を企んでいたんだ!?」

「ふむ。言われてみれば確かにそうだな。お前たち、何故ルーシーを見張っていたのだ?」


 あれ? ローランドさんだけでなく、ケヴィン王子まで騎士さんたちに詰問し始めた。

 ケヴィン王子が指示した訳じゃなくて、騎士さんたちが自ら私を見張っていたって事?

 しかも敵意を持って……一体、どういう事なの?

 暫く騎士さんたちは黙っていたけど、再び王子に答えるように言われ、恐る恐る口を開く。


「わ、我々は王子の為を思い、昨日ルーシーさんを待っておりました」

「俺はそんな事は指示していないぞ。何が目的だ」

「それは……その、先日の昼食会で、ルーシーさんがケヴィン王子の誘いを断ったので、改めて話をしていただこうと」


 はい? それで私を待ち伏せして……でも、ユリアナが警告するくらいに敵意があったよね?

 もしかして、これも嘘なの!?

 ……いやでも、騎士さんたちがケヴィン王子に、めちゃくちゃ怒られているから、もういっか。

 よく分からないけど、シャクイ剥奪とかって言われて、物凄く落ち込んでいるし。

 ……シャクイが何か分からないけど。


「ルーシー、すまない。俺の部下たちが勝手な行動を取り、怖がらせてしまって。またローランド殿も、こちらの一方的な勘違いで攻撃してしまい、申し訳ない」


 そう言って、ケヴィン王子と騎士たちが頭を下げる。

 えっと、こういうのはあんまりよく分からないけど、王族が頭を下げるのって大丈夫なのかな?


「わ、私は大丈夫よ。結局、何も無かったし」

「俺は……ケヴィン王子の攻撃は全て防いだが、ルーシーの魔法でびしょ濡れになったんだが」

「えっ!? だ、だってあれは、二人を止めようとして……」

「はっはっは。分かっているよ。だから、ルーシーがこっちへ向かって魔法を使った時、水魔法を使うと思っていたから、多少流されただけで水の上に乗れた訳だしな」

「ろ、ローランドさん! 私をからかったんですか!? 酷いですよー!」

「そう怒らないでくれよ。服が濡れたのは事実……ごめんごめん。この話は一旦やめようか」


 よく見たら、ローランドさんは何かの魔法を使って、既に濡れた服を乾かしていた。

 何よ。本当にからかっただけじゃない。


「分かった。ルーシー、ローランド。二人のやり取りを見ていて、俺は手を引く事にした。すまなかったな」


 あれ? ローランドさんと喋っていたら、突然ケヴィン王子が何処かへ行ってしまったけど……何かあったのかな?

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