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第5話 生徒会長のローランド

 イケメンに手を引かれ、逃げられない状態でホールの中へ。

 何処かで見た事があるような無いようなモブが、壇上でありきたりな話をする中で、大勢の生徒が座る席の横を通り、唯一の空席へ。


「さぁ、ここが君の席だよ」

「あ、ありがとうございます」

「じゃあ、またね。ルーシー」


 うぅぅ……こんな状況で、イケメンが悠然と歩いていたから、思いっきり目立ってしまった。

 私なんて、下を向いて歩いていたのに……っと、それより、一年一組に入ったという事は、ここはゲーム通りよね。

 ゲームではアメリアは二組だから、今後は自分の教室から出ずに、ひたすらスキルを習得するんだからっ!

 そう思って、これからのゲーム展開を思い出そうとしていると、


「あの、先程の格好良い男性は、どなたなのでしょうか」


 隣の女の子が話し掛けてきたーっ!

 さっきのイケメンは、ただのモブ。名前も知らないモブキャラなんですーっ! ……と答える訳にもいかず、とりあえず対応はしておく。


「いえ、私もここまでお連れいただいただけで、お名前までは……」


 そう言うと、残念そうに引き下がってくれたけど、この女の子って、ルーシーの取り巻きの一人じゃない!

 あぁぁぁ……こういうキャラに関わらず、ひたすら勉強しなきゃいけないのにっ!

 そこからは、真面目に話を聞いている振りをしながら、入学式が終わるのを待つ。

 他の攻略対象もゲーム通りなら、一組には誰も居ないはずだけど……居ないよね?

 顔は真っ直ぐ向けたまま、周囲を確認しようと頑張っていると、


「皆さん。ご入学おめでとうございます。私は生徒会長を務めさせてもらっている、ローランドと言います」


 先程までのどうでも良い話とは違う、力強い声が響き渡った。

 しかも、何処かで聞いた事がある声だと思って壇上を見てみると

……さっきのイケメンが喋ってる!?

 待って。えっと、生徒会長って言ってたっけ!? そんなキャラ居た!? ……いや、居た! 攻略対象じゃないから忘れてたけど、確かにオープニングで喋ってた!

 いや、今まさにそのオープニングの最中なんだけどさ。


「生徒会では、生徒同士の私闘を抑える為、魔法の才能を持つ方を募集しています。特に今年の一年生には、面白い魔法を使える生徒が居るようですし、是非とも生徒会に入って欲しいと思っています」


 あ、あれー? 生徒会長のローランドさんが、ジッとこっちを見ている気がするんだけど……と、隣のクラスのアメリアを見ているのよね?

 何と言っても、アメリアは主人公だし、行動次第で凄いスキルを得られるし。

 まぁ、そのアメリアの最強装備を、既に私が横取りしてしまったんだけどさ。

 それより、生徒会長ってどういう役割だっけ?

 三年生だから、最初の進級で居なくなっちゃうんだけど……あ、そうだ。

 魔法やスキルについて教えてくれるキャラだ。

 確か、鑑定スキルを持っているっていう設定で、主人公が新たに得た魔法やスキルについて教えてくれる……って、待って! もしかして、さっきこっちを見ていたのって、私が木魔法を使える事がバレたって事なの!?

 もしかしたら面倒な事になるかも……と思っている内に、入学式が終了し、一組からホールを出る事に。


 来た! ここだ。ゲーム通りだと、名前の順で一組の最後の方のルーシーと、二組の最初の方のアメリアが、ここでぶつかる。

 とにかく周囲をよく見て、ぶつからないようにしなきゃ。

 順に席を立ち……居た! 栗毛の美少女で、ときメイの主人公であるアメリアを見つけた。

 絶対にぶつからない! 絶対にぶつからない! 絶対に……よし! 逃げ切った!

 これで、アメリアとの接点は無いし、ややこしい事に巻き込まれずに、スキルの習得に励める!

 内心ガッツポーズを決めながら、そう思った直後、何かにぶつかられ倒れてしまった。


「すみません、大丈夫ですか?」

「こちらこそ、すみません」


 アメリアから離れられた事が嬉しくて、前をちゃんと見ておらず、男子生徒にぶつかってしまったようだ。

 手を差し出してくれたので、素直に手を取り、起こしてもらう。


「ありがとうござ……」


 えっ!? どうしてっ!? こんな所では出会わないはずの攻略対象の一人、ケヴィン王子が目の前に居て、手を取ったまま固まってしまった。

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