表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

48/70

第47話 熱が篭るテレーズさん

「ルーシー様。どちらのお店に参りましょうか?」


 とりあえずテレーズさんと一緒に街へやってきたものの、ローランドさんへのプレゼントのイメージが全く湧かない。

 菜園クラブで毎日作物を作っているし、何かの農具とか?

 けど、どんな農具が必要かが分からないし、そもそも農具で良いのかな?

 クラブ活動って、学園から予算っていうか、活動費みたいのが補助されるものよね? ときメイの世界では分からないけど。


「ルーシー様?」

「え、えーっと、ホームセンターに……」

「ホームセンター? 失礼ですが、ホームセンターとは?」


 あぁぁぁ……ときメイの世界にホームセンターがある訳なかった!

 何でも揃うし、農具や野菜の種だって売っているのに!

 ……あ、もしかして、作物の種が正解だっりするのかな?

 農具だと、違和感しかないし、種なら高くもないだろうから、ちょうど良い気がしてきた。


「えっと、野菜の種を贈りたいんだけど、何処に売っているかな?」

「種……ですか? 園芸店とかでしょうけど……何故、そんな物を?」

「ローランドさんは、菜園クラブの部長さんだからね。野菜の種なら、植えて育てられるかと思って」

「……ですが、クラブの代表を務める程の方でしたら、沢山の種をお持ちではないでしょうか。私は農業の事は分かりかねますが、撒く時期とか、一緒に育ててはいけない作物があったりとか……確認してからの方が宜しいのでは?」


 うーん。言われてみれば、確かにそういうのはあるかも。

 日本でも相性の悪い野菜があるって聞いた事があるような、無いような……


「えっと、じゃあ何を送ったら良いんだろ?」

「先ず確認ですが、ルーシー様はローランド様の事をどのように想っていらっしゃるのですか?」

「ど、どうって、それはその……菜園クラブの部長?」

「そのまんまじゃないですか。もっと、色々ありますよね? 好きとか嫌いとか、とりあえずキープとか」

「キープって何!? わ、悪い顔になってるよ、テレーズさん!」


 なんて言うか、こう……もっと誠実に清く正しく恋愛しようよ。

 ……まぁその、そもそも恋愛自体した事ないけどさっ!

 最後に男の子と良い感じになったのは……小学四年生の頃かな。

 いや、向こうは私の事なんて全く意識してないかもしれないけどさ。

 なんせ小学生だし。

 というか、どうして私は中学生から女子校に通わされたのかなっ!

 中学、高校、大学と、受験戦争無しでエスカレーター式に進学出来たのは良かったけど、男性に免疫のないまま社会に出てしまい、上司のオジサンや、先輩方に……こほん。

 まぁ私が引き篭もって、ときメイにハマった経緯はさておき、テレーズさんのニヤニヤを止めないと。


「えっとね、テレーズさん。ローランドさんには、メリッサさんっていう幼馴染で、生徒会の副会長さんが居て……」

「そんなの関係ありません! 要は、ルーシー様がどうしたいかです。ルーシー様がローランド様の事を、憎からず思っていらっしゃるのであれば、そのメリッサ嬢を蹴散らさなければ!」


 何故かテレーズさんが、変に力の篭った話をしてくるんだけど……

過去に何かあったのかな?

 あんまり……というか、ときメイでテレーズさんの逸話なんて無いから、全然分からないけど。

 そんな事を思っていると、


「……ん? 私の事を呼んだ? ……って、アンタは、ローランドに付き纏う一年生じゃないのっ! ちょっと魔力が多いからって、ローランドをたぶらかしてっ!」

「あっ! め、メリッサさん……って、待ってください。私はローランドさんをたぶらかしてなんて居ません!」


 めちゃくちゃタイミングの悪い事に、すぐ近くをメリッサさんが歩いていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ