表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

44/70

挿話1 攻略対象:ケヴィン王子

「面白い女だな」


 ホール裏でいつもの訓練を行っていると、変な女が乱入してきて……近衛騎士たちを無力化し、俺の誘いを断って去って行った。


「ケヴィン様。宜しいのですか? あれ程の魔力の持ち主です。逃してしまうのは、いささか勿体無いかと」

「そうだな。だが、魔法大会に出ると言っていただろう。俺様の誘いを断ったんだ。全生徒の前で潰してやろうではないか」

「なるほど、そういう事ですか。先程は不意打ちでやられましたが、正面から戦えば我らが負ける理由はありませんからな」


 そう言って、近衛騎士のリーダーが大声で笑いだす。

 俺としては、近衛騎士なのだから、不意打ちだろうと何だろうと、俺を守れなければ価値が無いのだが……まぁまだ正規の騎士ではないからな。

 騎士見習いが、親の七光りで直接俺様の側に居られるだけだ。

 まぁこの魔法学園に居る三年間に、せいぜい俺様の覚えを良くしておくんだな。

 それより、生徒会長のローランドか。あの、入学式で在校生代表として挨拶をしていた奴か。

 ローランドをあっさり倒し、先程の女を俺様の部下にするのと、学園最強の名を両方得るチャンスだな。

 それまで、コイツらをしっかり鍛えなけれぱ。


……


 魔法大会決勝戦の当日。

 何故かローランドが防御魔法を解いた所で、


「クリエイト・ウォーター」


 司会からルーシーと呼ばれていた、あの女が水を生み出す。

 ふっ……それを見越して、耐水魔法効果のある靴を騎士たちに履かせているからな。

 俺様たちに水魔法は効かな……な、なんだ!? この水の量はっ!?

 滝のような……いや、津波と言うべきか!?

 恐ろしい量の水が迫ってきて、押し流されるっ!

 み、水耐性の装備を用意しておいたのに!

 ……耐性を無視する類の魔法なのか? しかし、どう見てもただの水を生み出すだけの魔法だ。

 やはり、ルーシーの魔力が桁違いに多いだけか。


「だが、俺様は負けぬっ! お前たち! 水を止めろっ!」

「はっ! アース・ウォール! ……だ、駄目ですっ! 水の勢いが凄すぎます!」

「くっ! ならば、俺がやる! ウインド・シールド!」


 火、水、土、風の四元素には、それぞれ相関……相性の良し悪しがある。

 水は火に強いが、風には弱い。

 つまり、水魔法で風の盾を突破する事は出来ないのだ!


「おぉ、流石ケヴィン様! 我らの前から水を……え?」

「次はこちらからの反撃……って、おい! 風魔法だぞ!? どうして水魔法で……というか、一体どれだけの量の水が出せるんだっ!?」

「ケヴィン様……お許しを。もう、無理で……」

「おぉぃっ! その巨体で転がってくるなっ! 俺様まで巻き添えに……ぐほぁっ!」


 気付いた時には、見事に全員流されたらしく、司会がルーシーたちの優勝を告げていた。

 しかも、意味不明なローランドとの馴れ初めを語って……よく、そんな話を人前で話せるな。

 先程の様子を見る限りでは、ローランドに気がありそうな副会長が激怒しそうだが……まぁ俺の知った事ではない。


「ケヴィン様。申し訳ありません」

「いや、仕方がない。だが、あのルーシーとやらは、俺の思っていた以上だったようだ。……おい、あの女生徒の事を調べ上げろ。生まれや家族はもちろん、交友関係や放課後や休日の過ごし方に、趣味や好きな食べ物、貰うと嬉しいプレゼントなど、とにかくあらゆる事をだ」

「か、畏まりました」

「ふふ……ルーシー。面白い女だ。何としても、俺のモノにしてやるぞ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ