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第24話 休日の悪役令嬢

『ルーシーさん、ルーシーさん』

「んー、今日は会社休みだよぉー」

『あの、ルーシーさん。会社が何かは分かりかねますが、それより先程から、部屋の扉がノックされ続けていますが』

「えっ!?」


 ユリアナの言葉で目を覚ますと、確かにドンドンと扉が叩かれていた。

 これ、結構怒ってる感じなのかな?

 とりあえずベッドから降りると、パジャマのまま扉を開けると、かなり苛立った様子の寮長さんが立っていた。


「ルーシーさん。まさか……というか、今の今まで寝てましたね?」

「あはは……あの、寮長さん。何かご用でしょうか?」

「貴女に来客ですよ」

「えぇぇぇっ!? だ、誰が来たんですか!?」

「ご自身で確認された方が早いかと。……お待たせしました。こちらがルーシーさんのお部屋です」


 だ、誰!? 私、この格好で攻略対象に会うの!?

 髪の毛はボサボサで、パジャマに、寝起きの顔だよ!?

 引きこもりの頃ならまだしも、こんな格好で異性に会うのは……あ、でも流石にゲーム開始直後の週末は、強制イベントの類が無かったはず。

 街に行けば話は変わってくるけど……って、よく考えたら女子寮に攻略対象が来る訳ないか。

 内心慌てまくっていたけど、ここが女子寮だと思い出して安堵したところで、


「ルーシー様。いくら何でも、その格好は淑女として如何でしょうか」

「テレーズさん!」

「はい。……その様子だと、部屋も散らかしているんでしょうね」


 この魔法学園まで付き添いで来てくれた、メイドさんが現れた。

 寮長さんにお礼を言ったテレーズさんを、一先ず部屋の中に招くと、


「……一週間で、こうなりますか」

「ははは……いやー、授業が忙しくて」


 部屋を見渡したテレーズさんに、溜息を吐かれる。

 私だって頑張ったんだよ?

 でも、授業を受けて、菜園クラブに行って、森の中で辺境へ飛ばされた後に生きる訓練をして……つい、服を脱ぎ散らかしたり、シーツがぐちゃぐちゃだったりしても、仕方ないよね?


「とりあえず、着替えてください。その間に、部屋を片付けますから」

「はーい」


 家から学園へ来る時に着ていた唯一の私服に着替え……って、これもドレスみたいな服だから着るのが大変だったけど、テレーズさんに片付けの傍で手伝ってもらい、ようやく着替え終わる。

 ただ、学校の制服は、勝手にコルセットを付けない事にしたのに、テレーズさんが居るから、私服なのにコルセットを付けられてしまったけど。


「テレーズさん。このコルセット……」

「淑女ですから、我慢してください。というか、家に居られた時は普通に付けられてましたよね? それに、もっとスムーズに着替えていましたし」

「いやー、それは色々と訳ありで」

「……まぁルーシー様ですからね。私は、一週間前にルーシー様は記憶喪失になったと思ってます」


 う……正解と言えば正解よね。

 絶対言えないけど。

 それから、部屋の片付けだけでなく、掃除と洗濯までしてもらい、あっという間にお昼となってしまった。


「テレーズさん。そろそろ休憩って事で、お昼ご飯にしない?」

「そうですね。そろそろ頃合いかと」

「じゃあ、寮の食堂で良いかな? でも、テレーズさんの分ってあるのかな?」

「あの、ルーシー様。ここの寮の食堂ですが、休日はお休みですよ?」

「えっ!? そうなのっ!?」

「事前にご説明しておりますが。あと、本日の朝食で気付く……って、寝ていらしたんでしたね」


 いやまぁ、働いていた時も、引きこもりの時も、あんまり朝ご飯は食べてなかったんだよね。


「……って、じゃあ休日のご飯って、どうすればっ!?」

「いえ、ですから私が来ているんですけど」


 どうやら、テレーズさんがご飯を作ってくれるらしい。

 ……掃除に片付けに料理まで。

 テレーズさんは凄いなぁ。

 スーパーメイドのテレーズさんが、持ってきていた荷物の中から鍋を取り出したので、ワクワクしながら待つ事にした。

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