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孤独な少女は、生きる意味を探す。  作者: インコりん
二章「ローダンセ」
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19「狩り」

今回短いです。

「ありがとうジラ、だいぶよくなったよ。今何時かわかる?」


「恐らく、セレナと森で別れた時間から2時間ほどは経っているだろうな。」


「んー、じゃあ23時くらいか。まだ行けそうだね。」


「まさか森に戻るつもりか?」


「もちろん。何も収穫なしで帰ったらターニャに怪しまれそうだし。」


呆れた顔をしたジラは、私を背に乗せて森まで歩いて行ってくれた。優しい。




ーーーーーーーーーーーー





「いいか、セレナはできるだけ力を使うな。我が獲物の近くまで接近するから、我の背からナイフでも何でも投げて仕留めろ。」


「わかった。」


走るジラの背で夜風を受けながら獲物を探す。

森の奥に入ると、大きなウロがある木の辺りでジラがスピードを緩め、忍足で木に向かって歩きはじめる。


2人で頷きあい、私がナイフを構えたのを見ると、ジラが大きく吠えた。


驚いて飛び出してきたのは大きな鹿だ。ジラを見つけたその牡鹿は、猛々しく角を向けてこちらに突進してくる。


「避けて!」


ジラが素早く頭を低くすると同時に、素早くナイフを投げつけた。


「…すごいな」


ナイフが脳天に突き刺さり、声を上げる間もなく死んだ鹿を見下ろしながらジラが呟いた。


「まぁ、どうせ死ぬなら苦しむ時間が短い方がいいでしょう。」


「よくこんな、即死させられる場所に投げれるよな。驚くべきコントロールだ。セレナは短剣も使えるんだな。」


「プロの短剣捌きを間近で見たからね…。」



鹿からナイフを抜き取り軽く拭い、これをどう運ぼうかと考えていると、背後からこちらに近づいてくる反応を捉えた。


「ジラ、もう一匹だ。」


「わかってる。」


茂みがガサガサと音を立てると、巨大なクマが現れた。冬眠明けで腹をすかしているのだろう、目を血走らせながらこちらに向かってくる。


剣を抜き取ると、ジラがクマに向かって駆け出し、その横へ高く飛んだ。私は剣を、クマの首へと横に振り切った。


首がぼとりと落ちて、次に身体が大きな音を立てて倒れた。



「これは売れるのか?肉が全くついてなくて、美味しそうじゃないぞ。」


「まあ…肉は無理そうだね。でも毛皮とか爪とかなら売れるんじゃないかな。」


前脚でクマの身体をツンツンしているジラにそう答える。


「問題は、どうやってこれを運ぶかだよね。」


「その鞄には入らないのか?」


「2体入れるには狭いんだよ。それに他のものに匂いとか血がつくのも嫌だし。」


「なるほど。じゃあ我が運ぼう。」


そう言ってジラが前脚を一本上げると、下から風が吹き上げて、巨体が浮かび上がる。


「助かるよ、ありがとう。」


「ふふん、ではこれの売上で極上の肉を振る舞いたまえ。」


「そんなに高く売れるかな。」



他愛のないことを話しながら森から出ると、人通りのない道を選びながら宿へと戻る。流石に魔物を2体も浮かべたまま大通りを歩いたら注目を集めてしまうからだ。


ジラに少し宿の外で待っておいてもらって、受付に部屋を聞いてそこへ訪ねた。


「あ、セナくんおかえり〜」


「ただいまターニャ。カミラは…寝ているか。」


ベッドに目をやると、寝相が悪いのか変な寝方をしているカミラがいた。


「ヴィルもカミラもあの後すぐに寝ちゃったんだよね。ボクたちはいつも男女分かれて二部屋取ってるんだけど、一応セナくんは、別で一部屋取っておいたよ。」


「気を使わせてしまってすまない、ありがとう。ところで狩ってきた魔物はどこに置いておけばいいんだ?」


「ああそうだ!その話していなかったね。」


ターニャはゴソゴソと荷物を探って、そこから一つの袋を取り出した。


「ジャーン!マジックバックだよ。」


「何だそれは。」


「えっ、知らないの?中が拡張されてる鞄のことだよ。これ便利なんだよね。」


「ああ、それマジックバックっていうのか…。」


「固有名詞を知らなかった感じか。これに突っ込んでくれたらいいよ。実はこれ、この部屋の2倍くらいの大きさがある超高級品なんだよね。実はボクたち、Aランクの中でも割と上の方のパーティーだからまぁまぁ名が知れてるのさ。稼ぎもいい方だしね。」


はい、と手渡されたそれを受け取ると、ジラの元へ向かい魔物を突っ込み、袋をターニャに返しに行った。

ジラと共に、自分たちの部屋に入る。大きめのベットが一つあって、割と広い部屋だ。荷物を整理して身体を拭くと、小さくなったジラと共にベッドに入り、すぐに眠りについた。

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