表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
53/110

知らせ

お久しぶりです皆様!!

更新が長らく止まってしまい申し訳ありません……。

本日より更新の方を再開していきますのでどうぞ宜しくお願い致しますっ!!!

現実世界で言うところの大型連休を間近にした昼のこと。


『World Of Load』の天候は暑すぎず寒すぎない晴れた空の下、ピクニック日和とはまさに今日のことを指すのではないかというそんな1日。

現実世界では鬱々と雨が続いているせいか、【高天ヶ原(たかまがはら)】の本拠地であるギルドハウスでは所属メンバーたちがその日の予定を話し合ったり、ゆったりと休んだり、はたまた手合わせをしたり、クエストに向かおうとしたりと、個々が楽しんでいた。


かくいうユウノも『World Of Load』にログインしてはいるものの、いつも通りギルドマスタールームに閉じこもってアイテムの整理やら、手入れやらという理由をつけて引きこもっていた。

やっている事はいつもと変わらず日本刀の手入れ、どうやら今日は愛刀二振の手入れのようだ。

童子切安綱(どうじきりやすつな)】、【終焉之剣(しゅうえんのつるぎ)】の両刀共に【絶断】という能力が宿っているため、間違っても自分を斬って仕舞わぬようにゆったりとした手つきで、しかし慣れたように手入れを施す。


日頃というより、毎日のようにアイテムの整理やらをやっているユウノだが、それが必要かと問われれば答えはNO。

毎日素材を集めるために奔走しているプレイヤーならいざ知らず、ゲームの中では毎日毎日ギルドマスタールームに引きこもっているユウノでは整理するアイテムが無いはずなのである。


そんな引きこもり気質のユウノを毎回の如く連れ出しているアマネやユウギリといったプレイヤーは現在奇跡的にログインしていない。

テイミングしたコヒナにいたっては【高天ヶ原(たかまがはら)】の所属メンバー達に可愛がられ、おやつをもらう時間のためユウノの傍にはいない。


つまり、ユウノはのびのびと誰にも邪魔されることなく引きこもることが出来てしまうのだ。




「―――――お?」


そんなふうに、ユウノがギルドマスタールームでの引きこもりを楽しんでいた時、ある1通のメッセージが届いた。

それはプレイヤーからのメッセージではなく、『World Of Load』というゲームからのお知らせメッセージ。


「なになに……【イベント開催のお知らせ】……へぇ〜……このタイミングでってことは連休に合わせてきたっぽいな……」


来週は嬉しい人には嬉しい大型連休。

ユウノ自身もバイトなどをしているわけでは無いため存分に連休を『World Of Load』にて楽しむ(引きこもる)つもり満々である。

特に予定もないユウノは今回のイベントに興味を示した。


「……頼むからダンジョン周回しないといけませーんとかは辞めてくれよ……っ!」


いつもは引きこもり気質のユウノであるが、これまで1度としてイベントを逃したことがない。

中にはとても面倒なイベントもあったのだが、ユウノはその全てから逃げることなく挑戦してきた。

それでもやはり、何度も何度も同じことを繰り返さなければいけないタイプのイベントはユウノは苦手らしい。


イベント後半にもなれば苦虫を噛み潰したような表情で周回をしていたのを思い出し、今回のイベントがそのタイプでは無いことを祈りながらメッセージウインドウをスクロールし、内容を確認する。


「えっと……『モンスターラッシュをクリアして豪華ドロップアイテムを獲得しよう!』。

へぇ〜!なかなか面白そうだな!……ちょっと面倒臭いけど……」


しばらく無言のうちにメッセージに目を通す。

今回のイベントにはいくつかの難易度があるらしく、1番簡単なものでは何種類かの【通常(ノーマル)モンスター】を順番に倒していき、ラストに【名持ち(ネームド)モンスター】が待ち構えるというもの。

逆に1番難しいものだと【レイドボスモンスターラッシュ】という3種類のランダムな【レイドボスモンスター】を順番に倒して行くというものもあった。


「ランダム……ランダムかぁ……」


【レイドボスモンスターラッシュ】の内容を見たユウノは唸る。

ランダムで【レイドボスモンスター】が選ばれるということは有利な装備を揃えるのが難しいことを指す。

何せ、ある【レイドボスモンスター】には有利な装備でも、他の【レイドボスモンスター】には不利な装備というのはよくある事だ。

そして、回復アイテムなどの数も足りなくなることもあるだろう。

1度の【レイドボスモンスター】討伐でアイテムを使い切ることなんてざらなのだから。


そうなるとこの【レイドボスモンスターラッシュ】というのは相当の実力を持つプレイヤーたち向けの難易度になるだろう。

何せ【レイドボスモンスター】との3連戦に耐えうる実力が必要とされるのだから。

例えばそう―――――ギルドランク上位のギルドに所属するプレイヤーたちのような。


「取り敢えず開催までちょっと時間あるし……【十二天将】(あいつら)と作戦なりを考えないとだな……」


【十二天将】たちにメッセージで伝えようとしたユウノだったが、一瞬何か考えるかのような仕草をとったかと思えばウインドウを操作する手を止める。


「……どうせみんな俺を呼びに来るだろうなぁ……」


この手のイベントに食いつかない訳はないとユウノはクスリと笑う。

話し合いの場はユウノが声をかけなくてもイルムかハース辺りが設けてくれるだろうと、もうしばしの引きこもりを楽しもうという考えだ。


ユウノは再び手入れに戻る。

今度は【童子切安綱(どうじきりやすつな)】、【終焉之剣(しゅうえんのつるぎ)】では無い日本刀を。






◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇






今や見慣れた円卓の13席。

会議によく使われるこの部屋で【高天ヶ原(たかまがはら)】最高戦力のユウノと【十二天将】たち、そしてコヒナはいつも通り自分の席に腰掛けて集まっていた。

そのうちの誰しもがそわそわとした様子であった。

ちなみにコヒナはユウノの膝の上で大人しくお菓子を食べている。


「えーっと……取り敢えず今度のイベントに向けての話し合い、始めるかね」


ユウノが一言そう言うとみんなが頷く。


「みんなの事だからもうイベントに関するメッセージには目を通してるだろ?

―――――それで、だ。

【レイドボスモンスターラッシュ】のことは知ってるよな?」


待っていましたと言わんばかりのその場の全員の視線を受けながらユウノは笑う。


「【レイドボスモンスター】との3連戦。

ちょっとばっかし面倒臭いけど勝てないわけじゃない。

それにいつもは1度倒したら半年は再出現(リポップ)を待たないといけない【レイドボスモンスター】が何度も狩れるかもしれないなんて聞けばやらない訳には行かないよな?」


【十二天将】たちの肯定を示す大きな頷きを視界に捉えたユウノは満足気な表情を浮かべる。

何度も何度もクリアしないと行けない周回系のイベントではあるものの、今回に関してはユウノのモチベーションは高いままだった。


ユウノにとって【レイドボスモンスター】との戦闘は楽しいと言っても過言ではないものだ。

対人戦も好きなユウノだが、その場合、情報を出来るだけ小出しにして相手に自分の情報を与えないようにして戦わないといけないため、正直に言って面倒臭いのである。

それと比べて【レイドボスモンスター】が相手ならば、倒すことに専念すればいい。

基本的に【十二天将】たち以外と【レイドボスモンスター】を討伐しに行かないユウノは情報が流れることを気にしなくていいのだ。

何せ初めから知っている仲間にしか伝わらないのだから。


「今回のイベントにはここにいる全員でパーティーを組んで参加しようと思ってるんだが……」


「それはそうよね。

今回のイベント内容的に流石に少数で突破は面倒すぎるもの。

―――――ちなみに私はしっかりと休日をもぎ取ってきたわ」


ユウノの会話から先読みしたのか、アマネは自分の予定は空いていることを伝える。


「はいはい……『アマネ』は心配してないっての。

―――――他のみんなはどうだ?

大型連休だからって全員が全員休みだなんてことは無いだろ?」


ユウノがそう問いかけると全員がニヤリと笑った。


「わっちは休みでありんすぇ」


微笑みを浮かべたユウギリが。


「私はよゆーにゃぁ!」


わざわざあざとい猫のポーズを取ってマリィが。


「俺もなんの問題もないぞってな」


ニコリと余裕そうに笑いながらイルムが。


「有給の申請は通してある」


ニヤリとワイルドに笑い腕を組んだダインが。


「右に同じく」


クールな笑みを浮かべてハースが。


「何の問題もないですよ!」


やる気に満ち溢れたララノアが。


「俺たちは」


「よゆーの休み」


「「だからね!」」


いたずらっ子と言わんばかりの笑みを浮かべたアリィとイリィが。


(わたくし)も休日ですから」


優雅に微笑みソフィアが。


「わた……俺も休みですから!!!」


いつも通りの様子でアラタが。


「勿論予定は開けています」


従者然とした様子でイカルガが。


その場にいる全員が休みを確保していることを伝える。

その様子に流石のユウノも笑いをこらえきれなかったのか声を上げて笑った。


「あははははは!さ、流石というかなんというか……!

こうも全員が休みを取ってるとはな!」


「当たり前でありんす。

いべんとがあると分かった瞬間に即行動は当然でありんすぇ?」


ユウギリの言葉に誰しもが頷く。


「よし!それなら何の心配も要らないな!

そんじゃパーティー編成と対策を練るとするかね!」


ユウノは膝の上で大人しくお菓子を食べているコヒナをひとまず隣に用意していた椅子に座らせて立ち上がり、再び口を開くのだった。






「―――――……此処いや」


「ちょ、『コヒナ』っ!?

こら!身体をよじ登るなって……!!」


「私の……特等……席……!」


「あ〜もう!

背中にひっつくなって!?」


「嫌」


「だからこういう所で無駄に高いステータス発揮するなって……!!!?」


「いや」


「ええぃ!

短い言葉に意思を込めるのが上手くなりおってからに!!」


「それほどでも……ない……」


「褒めてねぇぇぇえ!!!

良いから早く離れろって!!」


「い、や」


「みんなも見てるだけじゃなくて助けてくれよ!?」


『和むから、つい』


「全員ハモってるんじゃねぇよ!!!???」









評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ