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祝い

大変お待たせいたしました!!

更新に時間が掛かってしまい申し訳ありませんっ!

その日ユウノは珍しくギルドマスタールームでアイテム整理という名目で引きこもるのではなく、円卓のある会議室でお祝いの準備に勤しんでいた。

もちろんそこにいるのはユウノだけではない。

【十二天将】のみんな、そして他にも何名かが楽しそうに準備をしている。


「それにしても思ったより早かったな」


ユウノは円卓にテーブルクロスを掛けながら言った。


「誰が手伝ったと思ってるんだ?」


最近ゲットしたというアイテムのメガネのブリッジ部分を押し上げながら得意気にハースが言う。

その言葉にイルムはクスクスと笑っていた。


「『ハース』の言い方はアレだけど、まぁ、【高天ヶ原(たかまがはら)】の主戦力3人が手伝ったんだから妥当な時間じゃないか?」


「それに元から筋が良かったですからね。

全然苦労しませんでした!!」


ララノアも我が事のように、嬉しそうに言った。

そんな姿を見ながら着々と準備を進めていく。

テーブルクロスを敷かれた円卓の上には【高天ヶ原(たかまがはら)】の【料理人】たちが作った料理や飲み物が所狭しと並べられ、どうやらそれは立食のようで、椅子はかたづけられている。


「―――――よし……こんなもんかな」


ユウノはパンパンと手をたたく仕草をするとそう呟き、他のみんなを見渡す。


「マスター、これをお忘れです」


そんな時、イカルガはその手に布を持ってユウノに近付いてくる。

一瞬なんだという表情を浮かべたユウノだったが、それは一瞬。

すぐに何なのかを理解し、イカルガから布を受け取った。


「おぉっと……これも忘れちゃダメだな」


そういったユウノは布を持ったまま壁側へと移動してその布を飾り始める。

そこには文字が書かれていた。

妙に達筆な文字ながら、その周りの肉球のマークが特徴的だ。


「……何度見ても『マリィ』が書いたとは思えないな」


「いつもにゃーにゃー言ってる割に馬鹿じゃないというのも不思議です」


「あぁ〜……それな。

それ【高天ヶ原(たかまがはら)】の七不思議らしいぞ」


ユウノとイカルガが布に書かれた文字を見ながら頷きつつ会話をする。

その背後の存在に気付かないふりをして。






「―――――にゃぁ……。

2人とも喧嘩売ってるのかにゃぁ……?」


それは文字を書いた張本人、マリィであった。

愛らしい外見とは裏腹に、額に青筋を浮かべ、引きつった笑みを浮かべる姿はギャップを通り越して恐ろしいまである。

そんなマリィに声をかけられたユウノとイカルガは振り返ってサムズアップを返す。




「「―――――勿論」」


「じょーとーにゃぁぁぁあっ!!!

お祝いパーティーの前に殺戮パーティーにゃぁぁぁあ!!!」


ふしゃぁ!っと威嚇する猫のように毛を逆立てながらマリィは2人に飛びかかった。


「はいはーい3人ともふざけないふざけない」


「にゃっ?!!

く、首を掴まないでほしーのにゃぁ……!!!」


ユウノとイカルガに向かって飛びかかったマリィの首根っこを掴むアマネ。

あまりの手際の良さにマリィは避けることも叶わず、首根っこを掴まれたことにより、アマネとの身長差故にプラプラと持ち上げられてもいた。


「にゃぁぁぁあ!!

離すのにゃぁ!

私はあの2人と殺戮パーティーをするんだにゃぁ!」


プラプラと持ち上げられながらも四肢をばたつかせて暴れるマリィ。

しかしそんなことは知らないとばかりにアマネはマリィを離すつもりは無いようだ。


「早く準備しないといけないのよ?

そんなことしてる暇ないわ」


アマネはそう言って、持ち上げていたマリィをそのままどこかへと連れ去って行った。




「―――――主役を呼んでくるわね」


それだけ告げてアマネとマリィは会議室を後にした。


しばらく無言の時間が続いたものの、アマネたちが主役を呼びに行ったとなれば本当に時間が無い。

ユウノたちは切り替えて仕上げに取り掛かるのだった。






◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇






「―――――『祝・アルル【魔導師】転職おめでとう』!!!」


それは乾杯の音頭だった。

ユウノの言葉に続いてその場にいるメンバーは各々の飲み物を入れたグラスを掲げて、グラスを合わせた。

ガラスのグラスのぶつかり合う澄んだ音が円卓の会議室に響く。


今回のパーティーはアルルを祝うためのものだったのだ。


そして、その当の本人はというと、グラスを両手で持ちながら何処か恥ずかしそうにしていた。


「わ、私なんかのためにありがとうございます……!」


恥ずかしそうにしていたのではなく、アルルは照れていたのだ。

ボーダーコリーのような耳はひくひくと動き、ふさふさの尻尾が左右に揺れていた。

そんなアルルの姿を暖かい表情で見ているその場のメンバーたち。


「いや〜新人さんの成長はいつになっても嬉しいものさねぇ〜

お姉さん感激〜」


いつもと変わらず上半身は胸のみを隠すチューブトップ、下半身は丈夫そうなサリエルパンツとブーツという上下の防御力の違いをマジマジと感じさせる服装の褐色の肌をした女性―――――クリスは緩い表情を浮べながら、アルルの頭をウリウリと撫でていた。


「ん?『クリス』って『アルル』との面識あったか?」


「何言ってるのさギルマス〜

誰がこのギルドの武器の整備をしてると思ってるのさ〜」


「お前の部下というか弟子たち」


クリスの言葉にタイムラグなしに即答するユウノ。

その表情はまさに真顔であった。


「う、う〜む〜……違うとも言い難いことをそうズバっと言われると困るものだね〜……」


「お前が整備してるのはほとんど俺とか【十二天将】の武器ばっかりだろうが。

しかもそれすらたまにしないで武器作ってる変態の癖に」


「ちょ、ちょっとギルマス酷いよ〜!

オンナノコに向かって変態とはなんなのさ〜!」


頬を膨らませて怒ったように言うクリスだが、如何せんその表情も緩く感じる。


「……??」


「で、デジャビュっ……!!

このやり取り前もした気がするね〜!」


そんなユウノとクリスのやり取りに自然と周りが笑い声に包まれる。

和やかな雰囲気とでも言うのだろうか。

至る所で会話の弾むこのパーティー。

流石は【高天ヶ原(たかまがはら)】と言ったところだろうか。

プレイヤー間のコミュニケーションは良好のようだ。


「それで?

話戻すけど面識あったんだな」


「ん〜?まぁ〜ねぇ〜。

この娘の武器は私が作ったし〜。

メンテナンスも私自ら担当してるから〜そりゃぁ〜面識も何もね〜??」


「は、はいっ!

『クリス』さんの作った武器凄く使いやすくて本当に助かってますありがとうございますっ!」


アルルはクリスに向かって深くお辞儀をする。

その様子にクリスはいつもと変わらず緩い表情を浮べながら構わんよ構わんよ〜と言っていた。


「主役を独り占めかしら?」


「わっちたちも混ぜてくんなまし?」


そんな話をしているとアマネとユウギリが寄って来る。




「―――――フシャァァァアッ!!」


「……おい『アマネ』。

ペットは連れ込み禁止だ」


ユウノは猫耳、尻尾共に逆立てて威嚇してくる人物を指さしながらアマネにそう告げる。


「残念ながらペットじゃ無いわよ?

私たち【十二天将】のうちの1人の仲間じゃない」


「おいおい冗談はよせよ。

こんな首輪にリードを着けた仲間は知らないぞ」


ユウノはジト目で威嚇してくる人物―――――マリィの首元を指さす。

そして、繋がれたリードがアマネの手にあることもしっかりと確認していた。


「特殊なことに目覚めたのよ」


至極真面目な表情でアマネが言う。


「違うのにゃ!?

これは『アマネ』が無理矢理私の首に付けたのにゃ!

しかもこの首輪、付けた人にしか外せないっていう謎の効果ついてるから私じゃ外せないのにゃぁっ!!!」


「なるほどそれでペットプレイを―――――」


「ペットプレイとか言うなぶっ殺すぞ」


「落ち着け落ち着け『マリィ』。

口調、口調崩れてるから」


基本的ににゃーにゃー言っているマリィだったが、あまりの事態になるとにゃーとも言わなくなり殺気を振りまくのだ。


「ほら、この首輪外してやれよ」


「仕方が無いわね……」


「仕方がなくないのにゃ!!!?」


まるで予定調和のようなやり取りを行った後、アマネは渋々マリィの首から首輪を取り外すのだった。




「全く騒がしいでありんすねぇ〜」


そんな様子を見ていたユウギリはいつの間にかその豊満な胸にアルルを埋めながら抱きしめていた。


「『あるる』はちぃさくてほんに可愛いでありんすなぁ」


「あ、ありがとうございます……『ユウギリ』さん……」


お礼を言うアルルの顔は溶けていた。

最近ではユウギリはアルルをあのように胸に埋めるようにして抱きしめ、頭を撫でたり尻尾を触ったりするのがお気に入りのようだ。


「あ〜……ほどほどにな?『ユウギリ』」


「分かっていんすよ。

『あるる』が嫌ならすぐに辞めるでありんす」


「お、お構いなく〜……」


「……まぁ、本人が良いならいいか……」


ユウノはため息を吐き出すようにそう言った。











近々新作を投稿する予定なので宜しければそちらも読んでいただけると嬉しいです!

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