5人組
最近では2日に1回更新が出来ずに申し訳ありません……。
弛んでいる証拠なのでしっかり引き締めて行きたいと思いますっ!!!
今後ともどうぞよろしくお願いしますっ!
―――――戦闘は一瞬だった。
ユウノが倒したトロールを除いて計6体のトロール。
その全てを同時に相手取り、危なげない勝利を収めたユウノ。
トロールというモンスターはその殆どが重鈍である代わりに攻撃の威力が高く、打撃攻撃に対する耐久性が優れたモンスターだ。
ほとんどのプレイヤーは近距離戦闘を避け、中距離から魔法職が攻撃するという戦法を取る。
―――――が、その他にも戦い方は存在する。
トロールは切断攻撃に対する耐久性が弱いとされている。
打撃攻撃を受けるための外皮は衝撃を逃がすという特性上、切られやすいのだ。
ユウノのメイン武器は切断するという事柄において無敵の日本刀。
トロールの外皮はおろか、その骨すら断ち切るほどである。
ユウノは日本刀の刀身に付いた血を払うかのように2、3度振るうと腰の鞘に納刀する。
辺りに散らばるのはバラバラに斬られたトロールの亡骸。
直ぐに倒された証であるポリゴン体になり、勝者であるユウノを彩っていた。
「……すっげぇ……」
ユウノの戦闘を見ていた5人組のうちの一人がポツリと呟いた。
その強さはまさに人を魅せるに値する強さだ。
ため息を吐きつつユウノは5人組の方へ近づいていく。
「……それで?
見た感じ初心者プレイヤーみたいだけど……此処がどういう場所か知っててきたのか?」
5人は互いに顔を見合わせてユウノが何を言っているか分からないという表情を浮かべた。
その様子にユウノは頭を抱える。
(……こいつら本当に情報とか集めずに来たんだな……)
学校での彼らの会話を思い出しつつ再びため息を吐く。
「……此処、割とレベル高いプレイヤーが来るようなフィールドなんだぞ?」
「そ、そうなんですか?!」
「てっきり美味しい狩場かと……」
驚いた表情を浮かべてそう言う5人組のうちの2人。
「……まぁ、美味しい狩場としては間違ってない気もするけど……。
……何にせよ、今度からは別の所に行きな?
さっきみたいな奴が来たらトラウマレベルの戦闘をすることになるぞ?……いや、戦闘というより虐殺だな」
先程のトロールのことを思い出したのか、殺されかけていた少女は身体を震わせる。
「『World Of Load』はゲームだけど、VRMMOMだからな。
本当に死ぬわけじゃないけど、その恐怖は味わうってのを理解しとかないと後々が怖いぞ?」
ユウノは真剣な声音で言う。
それは『World Of Load』というゲームを長年やっているからこそのアドバイス。
ゲームだからと舐めているとトラウマを背負うこともあるのだから。
「今回はたまたま俺が通りかかったから良かったものの、本来はあのまんま虐殺されてたんだからな?」
ユウノの言葉を理解したらしく、しょんぼりとした態度になる5人。
学校では見たことのない5人の態度にユウノはなんとも言えない違和感を覚えつつも狐面を少し撫でる。
「……それじゃぁ、俺はもう行くから。
……そうそう、トロールが使ってた武器とかは全部あげるから今日は一旦『トウキョー』に戻りな?」
「ま、マジですか?!」
武器を譲るという話をすると、5人は目を輝かせる。
ユウノにとっては大したものでは無くても、『World Of Load』を始めたばかりの5人にとっては嬉しいものだったらしい。
「あ、あの……フレンドになってもらったり……できませんか?」
そんな中、5人のうちの1人の少女―――――先程トロールから助けたプレイヤーがフレンドになれないかとユウノに問う。
ユウノは一瞬迷うも、フレンドになる程度は別に構わないだろうという結論に至り、頷いて大丈夫だという意思を伝える。
すると、少女はまだ慣れない手つきでウインドウを操作してユウノにフレンド申請を送る。
「ず、ずるいぞ!!
俺も!俺もお願いします!」
「自分もいいですか!?」
「私も!!!」
「私も私も!!」
初めにフレンド申請を送った少女を皮切りに残りの4人もユウノにフレンド申請を送る。
ユウノは狐面の下で苦笑いを浮かべながらもその申請を許可した。
「基本的にあんまり絡めないと思うけどアドバイスくらいだったら出来るから。
メッセージでも送ってくれれば返信できる時にする」
クラスメイトだからと少し親切にしすぎかと思いつつも、ユウノはそう告げる。
(……にしても現実と『World Of Load』ではキャラが違うなこの5人……)
いわゆる高校デビューでもしたのだろうかとユウノは思いつつも今度こそ5人から離れていく。
5人はユウノとフレンドに慣れたことが嬉しかったのかワイワイと騒いでいた。
5人が丁度見えなくなる程度の距離まで来た時にユウノは【簡易転移門印】を使用する。
登録されている場所は勿論【高天ヶ原】のギルドホームだ。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「あ、おかえりなさいですおにーさんっ!」
ギルドホームに帰ってきたユウノを迎えたのはアルルだった。
その他には誰も居らず、おそらくログインしてきたばかりなのだろうと推測するユウノ。
「ん、ただいま。
『アルル』はインしたばっかりか?」
「はいっ!
ちょうど帰ってきて時間が出来たのでレベル上げを頑張ろうと思いましてっ!」
やる気満々の様子でそういうアルル。
「なるほどな。
ちなみに今レベルはどこまで上がったんだ?」
「今は【魔術師】がレベル74です!」
「ほぉ!
結構上がったんだな」
「はいっ!
『ララノア』さんと『イルム』さんが手伝ってくれましたから!」
「今日は1人か??」
「はい、そうですよ??
『ララノア』さんは遅くにしかログイン出来ないらしいですし、『イルム』さんは今日は予定があるそうなので……。
今日は私だけでレベル上げをしに行こうかと思ってます!」
「へぇ〜……今日は一人で……」
アルルの言葉を聞いたユウノはおもむろにウインドウを開くと素早く操作する。
そして、アルルのほうを見ながらくすりと笑った。
「―――――前衛はいかがかね?」
ユウノが行ったのはアルルへのパーティーの申し込み。
流石に後衛であるアルル一人でのレベル上げは多少きついものがあるだろうと思っての行動なのだろう。
アルルは目を見開きながら嬉しそうな雰囲気を出していた。
「い、いいんですか?おにーさん。
なにか予定とかあったんじゃ……」
「いんやぁ〜?
特に予定はないな。
強いて言うなら引きこもる予定しかなかったわ」
ケラケラと笑いながら頭の後ろで手を組むユウノ。
「もぉ〜っ!
おにーさんまた『アマネ』さんとか『ユウギリ』さんに怒られちゃいますよっ??」
引きこもるという言葉に反応したのだろう。
アルルは頬を脹らませてそう言った。
「『アルル』が言わなかったら問題ない問題ない」
「……あ……『アマネ』さんこんにちは〜」
「なにっ?!
アイツとうとう先生としての仕事放棄してインしてきたのか!?」
ユウノはアルルが向いている方に素早く視線を移動させる。
しかし、そこには誰も居らず、隠れている気配すら感じられなかった。
「えへへ。
じょーだんですじょーだん。
ちょっと予想外の反応でしたけど……」
てへぺろという擬音が付きそうな仕草をしながらそういうアルルにユウノは分かっていたと言わんばかりに笑っていた。
「流石に『アマネ』は居ないって分かってたからな。
『ユウギリ』ならともかく―――――」
「―――――わっちに何か用でありんすか??」
まるで初めからそこに居たかのように、ユウノの背後からユウギリの声が聞こえる。
流石のユウノもそれには驚いたらしく飛び上がって驚きを表現した。
「ゆ、『ユウギリ』……っ?!
お、おま……っ!どこに……いたんだよっ?!」
ユウノが振り返ればそこにはいつもどおり艶やかな笑みを浮かべたユウギリの姿があり、ユウノ、アルル共に今まで影すら見えなかったのに突然現れたため驚きを隠せない様子だった。
「わっちは気配を消すのが得意でありんすから」
「いやちょっと何言ってるかわかんないっす」
真顔でそう返すユウノにユウギリは近寄るとユウノの片腕に身体を密着させるようにする。
「……わっちは、気配を、消すのが、得意で、あっ、りぃ、んぅ、すぅ、よぉお……?」
「あ〜もうわかったわかった!!
分かったから俺がからかおうとした瞬間思春期男子にクリーンヒットな精神攻撃するのやめろください!!」
「うふふふふ……ちょぉっと何を言ってるかわかりんせんねぇ……?」
「やり返すほどか?!」
騒がしいながらも楽しそうなやり取りにアルルはくすりと笑みをこぼす。
「【高天ヶ原】の皆さんは本当に仲がいいんですね」
そのアルルの言葉にユウノとユウギリは微笑ましそうな表情をアルルに向けていた。
「その【高天ヶ原】の皆さんに自分も入ってるんだからな?」
「そうでありんすよ?
ほら、こっちに来なんし」
ユウノ、ユウギリはアルルの手を取って自分たちの方に引き寄せる。
3人は互いの顔を見合わせて、にっこりと笑った、楽しそうに。
「今から『アルル』のレベル上げしに行くけど『ユウギリ』も来るか?」
「……『ゆうの』が自発的に外に出ようとしているでありんす?!」
「驚くところかそれは!?」
「……いつもはわっちか『あまね』が連れ出してるんでありんすが……?」
「……まぁ、そうだな……」
バツの悪そうな表情を浮かべつつユウノは小さくなるのであった。
ユウギリはアルルの頭を撫でながら口を開く。
「今日はわっちもやることがありんせん。
だからわっちも一緒にいかせてもらいんすよ」
「あ、ありがとうございます『ユウギリ』さんっ!」
「うふふふふ……わっちも『おねーさん』って呼んでもいいんでありんすよ?」
「はいっ!!
『ユウギリ』おねーさんっ!」
「可愛いでありんすねぇ〜」
なお一層アルルの頭を撫でるユウギリ。
その豊かな胸に半分埋まっている状態のアルルの表情は溶けていたのだった。




