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その後

―――――『トウキョー』【高天ヶ原(たかまがはら)】本拠地




新しい夜明け(ニュー・ドーン)】との【戦争】を終えたユウノたちは報酬である【新しい夜明け(ニュー・ドーン)】側の参加プレイヤーからのメイン武器の譲渡を終え、本拠地に戻ってきていた。


集まっているのはいつものように会議室の円卓。

13の席を全て埋められており、そこにいるのはギルドマスターであるユウノと【十二天将】たち。




「―――――不完全燃焼だわ!」


アマネは円卓をばん、と叩きながら席を立つ。

その顔には不満の色が浮かんでいた。


「『アラタ』は満足気だけど私は全然よ!!

私たちの方には誰も来なかったから暇だったのよ?!」


「流れ弾が来たら迎撃していいとしか言ってないだろ?

絶対に敵が来るなんて俺は一言も言ってないぞ」


「そ、それはそうだけど……」


ユウノからの正論にぐぬぬと唸るアマネ。


「まぁでも何となく物足りないってのはあるな。

仲間内でちょっと戦ってみるとかは結構あるけど他のギルドの奴らと戦うのなんてそうそうないしな」


アマネの言葉を肯定するようにイルムは言う。

それはある程度戦いに参加出来ていないメンバーは同意していたようで頷く者も少なくない。

どうしたものかとユウノが頭をかいていると、ユウギリが口を開く。


「【戦争】はまだしも【演習】なら他のギルドに申し込んでもいいんじゃありんせんかぇ?」


「そ、そう言えば【Aurora(アウローラ)】がこの間【演習】の申し込みしてきてなかったかしら??!」


アマネが思い出したかのように身を乗り出だす。

ギルドランク4位【Aurora(アウローラ)】。

多方面へのパイプがあり、情報収集能力や物作りなどに関しては右に出る者はいないとされるギルドだ。

確かに【Aurora(アウローラ)】からの【演習】の申し込みは来ていたが、ユウノはそれをことごとく断っていた。

【戦争】は仕方なく受けるにしても【演習】まですべて受けていてはもたないとの判断だと言っていたがそれは違う。


「【Aurora(アウローラ)】とは極力やりたくない。

……あいつらと戦うと情報搾り取られてる感があるからな……。

そのまんま商売に使われそうだ……」


今まで戦ってきた記憶を掘り返してみるユウノ。

そこには出来るだけ手の内を隠して戦ったイメージしかない。

ユウノの言葉に不満気ながらも納得したのかアマネは席に着く。


「……まぁ、今回の埋め合わせってわけじゃないけど、それなりの事は準備しておくさ」


その言葉に、不満気な雰囲気が薄れて行く。

ユウノがこう言った時は本当に何かを計画してくれるのを知っているからである。


「取り敢えずお疲れ様。

今回に関して何の心配もなかったけど無事に終わって一安心だ」


今回の件に関してまとめようとするユウノの言葉に【十二天将】たちは静かに耳を傾ける。


「今後、もしまた【戦争】を挑まれても絶対に負けないようそれぞれ腕を鈍らせるなよ?」


最近の【高天ヶ原(たかまがはら)】は【戦争】を挑まれることがほぼほぼ無いため、あまり対人戦をしていない傾向にある。


【演習】をたまに【ニッポン】のギルドとやることや仲間内での訓練と称した対人戦はやるものの、やはり相手が限られてくると不測の事態に対応しきれない可能性がある。

だからこそ勘を鈍らせないようにしなければならないのだ。


「んじゃ、今日は解散!」


ぱん!と柏手を鳴らすと【十二天将】たちは各々解散していく。

ログアウトしていく者、今日の物足りなさを埋めるためにクエストに行く者、何となくその場に残る者。

ユウノはふぅ、と息を吐きながら椅子に深く腰掛ける。


「『ユウノ』さん!

私……俺強くなってましたか?!」


そんなユウノに明るく元気な声がかけられる。

声の主はアラタ。

まるで良く懐いた飼い犬のようにユウノの傍まで駆け寄ってきた。


「そうだな……【斬消(ざんしょう)】の成功率上がったんじゃないか?」


その言葉にアラタは嬉しそうにはにかむ。


「『ユウノ』さんに近づけましたかね?!」


「調子に乗るなっての」


身を乗り出すアラタの額をコツんと優しめに叩くと微笑ましそうに笑うユウノ。


「むうぅ〜」


不満気な言葉であるものの、その声音は嬉しそうなものだった。


―――――アラタはユウノが初めてこのギルドに誘ったプレイヤーである。


つまり、ギルドマスターであるユウノが【高天ヶ原(たかまがはら)】に誘ったプレイヤーはアラタ、そしてアルルの2人のみなのだ。


ユウノはそんなアラタに提案する。


「どうだ?『アラタ』。

俺と少し遊ぶか?

正直まだ満足してはないだろ?」


一層輝くアラタの瞳。

その姿は他人目から見ても尻尾を振っている犬のように見えた。


「い、いいんですかっ?!!」


「おう。

最近は遊べてなかったからな。

久しぶりに直接見てやるよ」


「やったーっ!!

だったら早く行きましょうすぐ行きましょう!!!」


ユウノの腕を引くアラタ。

ユウノは柔らかな微笑みを、アラタは花のような笑顔を浮かべていた。


「まるで(てて)と娘でありんすね」


そんな2人を見ていたユウギリが微笑ましいものを見たという表情で言う。

その言葉に互いに顔を見合わせたユウノとアラタ。


「いやいやいや……こんな同い年だろう娘なんて辞めてくれよ」


「あ〜……でも何となく分かるかもしれないです。

たまにですけど『ユウノ』さんがお父さんっぽく感じることがありますから」


「……マジか……」


「マジです♪」


2人の会話にその場に残っていたメンバーがくすくすと笑い声を漏らす。

アラタはそんなメンバーを見つつも、ユウノの腕を引っ張る。


「行きましょう!―――――お父さん!!」


「誰がお父さんだ!」


ユウノは席から立ち上がると、そんな言葉を吐きながらもアラタに腕を引かれ、会議室を後にした。






◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇






「―――――やはり受けていただけませんでしたか……」


薄暗い部屋の中で商人風の服装をした男性がポツリと呟く。

表示されているウインドウには【演習】を断られたという旨のメッセージが書かれていた。


「う〜ん……【演習】では駄目ですか……」


腕組みをしつつ悩むように唸る男性。

しかし、その後でぽんと手を叩く。


「【戦争】ならどうでしょうか?」


妙案を思いついたと言わんばかりの表情を浮かべ、男性はウインドウを操作する。

開かれたのはあるギルドに【戦争】を申し込むという旨のメッセージを綴ったウインドウ。




「―――――リーダー。

それはやめて下さい」


響くのは凛とした声。

旅人風の装いにマントを羽織った女性は男性に声をかける。


「メリットもありますが、その分デメリットが大きいです」


「……それもそうですね。

いやはや、【演習】を受けていただければ万事解決だったんですが……」


表示されていたウインドウを消して男性はため息を吐く。


「あそこと【戦争】していい勝負をしようとするとかなりの消耗がありますからね……。

全く……あそこの情報を集めるのは容易ではないですか……」


「伊達に1位では無いということでしょう」


女性の言葉に同意するように首を縦に振る男性。


「しかしあそこはギルドマスターが【専用職業(リミテッド・ジョブ)】でないにも関わらず強いですからね……。

だからこそ、その理由を知りたい、対策をたてるために情報を、というギルドが後を絶ちません……。

ハァ……情報を集める身にもなっていただきたい」


「その分報酬は気前のいいところばかりじゃないですか」


「違うんですよ。

報酬の気前がいい所しか受けていないんです。

あそこの情報は高値で売り買いしますからね。

買い叩かれたんじゃ目も当てれません」


目を覆いながらそう言った男性は疲れたと言わんばかりに椅子に座る。


「まぁ、近いうちに情報は仕入れなければいけませんからね。

まだ【バトルロワイヤル】まで時間があるにせよ、対策は早めに練っておいて損はありませんから」


「……【戦争】を申し込んででも、ですか?」


「……極力さけたいですが……ね……?」


男性のその言葉を聞いた女性はため息を吐いて、その場から姿を消した。




薄暗い部屋の壁に貼られた13枚の写真。

写し出されているのはどうやら人物のようだ。

その写真にはそれぞれ多数の紙が貼られているが、しかし、その中でも1枚の写真だけ異様なほど貼られている紙が少なかった。

貼られている紙に書かれているのは写真の人物の情報。




「―――――なかなか情報をくれませんねぇ……【剣聖】さん……」


呟きはすぐに溶けて消え去った。










ひとまず一段落したので、次回は登場人物のステータスのようなものを更新しようと思います!

書く予定なのはユウノ、【十二天将】、アルルと言ったメインのメンバーの予定です!

その他書いてほしいという登場人物があればご意見の方お願い致します!!


出来るだけ早く更新する予定なので読んでいただけると幸いです!

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