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第一戦1VS1③

二巻の表紙かっこよくないですか??←


自らを襲う凶刃をカルファは見えていないにも関わらず知覚していた。

先に自分を斬り裂かんとした【壱の暗殺ファースト・アサシネイト】とは比べ物にならない一撃。


――――にも関わらずはっきりと何処を狙われているのかが分かった。


(右肩から左腰にかけての袈裟斬り……)


やけに冷静な自分の分析に若干の驚きを含みながらも加速された思考の中で対処法を考える。

知覚はできているものの身体の動き、反応が間に合う訳では無い。

恐らく動こうとした時点で既に斬られている。


(だったら……)


カルファは自らを守る鎧と化した猛毒を極限まで圧縮し初撃が入る右肩をピンポイントで保護する。

身体を動かすことが叶わずともその程度ならもはや思考したのと同タイミングで行えるまでに繰り返したものだ。


狙いがズレぬように身体は動かさず、しかし反撃のための用意は怠らない。

恐らく衝撃で痺れるであろう右手での攻撃は放棄し左手にカウンターで放つ用の猛毒を生成する。

放てるようになるまでにイカルガの【刈り取る一閃フラッシュ・オブ・タナトス】がカルファの身を襲うだろうが防御の用意はギリギリ間に合う。


刹那の時間しかない場面で窮地に立たされた者の思考が加速したからこそ行える攻防。





















――――イカルガはそれすらも予想していた。

このまま簡単にやられるわけはないと理解していたのだ。


それ故にイカルガは【刈り取る一閃フラッシュ・オブ・タナトス】の軌道を変えることができるのにも関わらず、そのままカルファが守りを固めた右肩を狙った。




()()()()()()()()()()()()()()()()()






イカルガのメイン武器である【切裂魔の玩具ジャック・ザ・リッパー】。

二本一対の漆黒のダガーだと言われているこの武器はダインが持つ【王の理想(キングス・イデアル)】と似ており『決まった形を持たない武装』に分類される。

しかし、【王の理想(キングス・イデアル)】とは違いどんな武装にでもなれるという訳ではなく、大きくてダガー程度の相手を斬り裂くことができる暗器系統の武装にしかなることが出来ない。


更にこの【切裂魔の玩具ジャック・ザ・リッパー】、連撃にすればするほどダメージ量、威力ともに激減するという特性を持っている。

例えば一撃目のダメージが100パーセントだったとして、二撃目のダメージは脅威の()()()()()()

ダメージを与える以前の問題である。


それ故に手数によってのダメージを必要とする場面には滅法弱い武器であるのだが、そのデメリットを補ってあまりあるほどのメリットとして、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


そう――――プレイヤーの【HP(ヒット・ポイント)】をたったの一撃で刈り取る程に。






――――暗殺に二の太刀は必要ない。






一撃を持って相手を必ず殺す、すなわち【必殺】を特徴とした武器なのだ。






まるで鋼鉄同士が高速でぶつかったかのような音が一瞬響いたかと思えば地を砕くような破砕音が炸裂する。


「嘘……」


「…………」


一瞬の拮抗すら許さずにイカルガの振り下ろされた凶刃はカルファを袈裟斬りにする。

まるで血飛沫をあげるかのように派手にポリゴン体が散らばった。

イカルガはその様子を視界に納めると一瞬で姿を消しカルファから離れる。

既に【切裂魔の玩具ジャック・ザ・リッパー】はその手に握られておらずいつの間にか両太もものホルスターに納められていた。


たったの一撃でレベル的には同格のプレイヤーの【HP(ヒット・ポイント)】を全て刈り取ってしまったイカルガ。

カルファはあまりの理不尽的な強さに一周回って笑ってしまう。


「……強すぎ……」


幸いにも今まで手に入れてきた【高天ヶ原(たかまがはら)】のプレイヤーの情報に真偽を疑わねばならないということが分かり、更には実際に自分が体験したことで今後のためにも他の仲間に情報を渡せるだけ良かったと自分を納得させるカルファなのであった。












『――――決着!!!

勝者【高天ヶ原(たかまがはら)】イカルガ!』


開始の際にも響いた機械音声が【1VS1】の決着を宣言する。

そしてフィールドからイカルガとカルファの2人は退場しそれぞれの待機場所へと転送され、この戦いの結果に観戦していたプレイヤーたちは声を上げて盛り上がった。











◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇











――――【高天ヶ原(たかまがはら)】待機場所




「相変わらずデタラメな威力だな……」


【1VS1】の戦闘から戻ってきたイカルガにみんながお疲れ様、と労いの言葉をかける中呆れたような感心しているような声音でイルムが言った。


「初撃で仕留め損ねた……不覚だ」


「いやいやいや……相手は【Aurora(アウローラ)】の【猛毒の射手(ヴェノム)】だぞ?

よりにもよって『二つ名』に付けられるくらいの攻撃を掴み取るとかいう頭おかしいことしといて満足しないのかよ……」


「ふん……どうせ『イルム』もできることだ」


「うわ〜……俺だったらやりたくねぇのにやれることにされてるぅ〜……」


イカルガの反応に苦笑いをうかべるイルムだったが、決して出来ないと言わないところを見るに事実なのだろう。

会話を眺めていたアルルがなんとも形容しがたい表情を浮かべて固まっていた。


「……これ以上情報をあちらに渡す必要は無い。

――――早急に決着をつける。

マスターもそのつもりでいるだろうから()()()()()()()()()()()()()()()()


イカルガの言う『あちら』というのは【Aurora(アウローラ)】を指しているのかはたまた他のギルドなのか。

何となく察したその場にいるものたちは特に何か反応するわけでもなく頷く。


「そういえば今回珍しく『イカルガ』は惜しみなく見せてたわね」


椅子に腰かけていたアマネが先程の戦闘を思い出しながら言った。

そしていたずらっ子が浮かべるような笑みを浮かべて立ち上がるとイカルガの側まで行き頬を指でつんつんと続きながら絡み出す。


「『イカルガ』の【影化(シャドウ)】ってどれくらい効果時間あるの?せっかくだし教えてよ〜」


イカルガの影から影へ移動できる【恒常型技能(パッシブ・スキル)】は影の中に潜って移動していると誤解されているが、正確には『イカルガ自身が影と化すことで他の影と一体化しそこから現れている』のである。

そして5秒間しか影に潜っていられない、プレイヤーの影には入れないという情報はそもそも影に潜るという【恒常型技能(パッシブ・スキル)】では無いため正しい情報ではない。

これはイカルガが意図して自らに縛りを与えて使った結果流れた誤情報である。


「移動しなければ()()()()()()()()()()


「……え?それ本当に言ってるの?」


「いくつかデメリットはある」


「そうだったとしても……ねぇ?」


イカルガからの答えがまさか返ってくるとは思っていなかったアマネはその内容も相まって言葉に詰まっていた。


「ほら、そろそろ次のメンバーが発表される頃だ落ち着いたらどうだ?」


ダインが柏手を打って注目させる。

とはいえ、何となく次の【3VS3】のメンバーの予想が着いているのかその3人はほぼ準備を終えていた。











『――――続きまして【3VS3】です。

高天ヶ原(たかまがはら)】からの出場は『ダイン』さま、『ソフィア』さま『マリィ』さまが選択されました。

指定の場所へとお進み下さい』




お馴染みの機械音声によって出場メンバーが確定する。


「えっ!?

私じゃないんですか!?」


誰よりもやる気をみなぎらせ準備を終えていたララノアが声を上げる。

ダインとソフィアの2人も予想外だったらしく驚いていた。

基本的にダイン、ソフィア、ララノアの3人での組み合わせが多かったことから今回もそうなるだろうと全員が思っていた所にララノアではなくマリィが選択されるという予想外。

マリィに関しては完全にだらけ切っていたため飛び起きてバタバタと慌ただしくしてる。


「今回は(わたくし)がメインになりそうですわね」


「今回は『マリィ』なら俺は守護に回るとしよう」


驚いていたのは一瞬でソフィアとダインの2人はどのように戦うかの気持ちを切り替えていた。


「にゃ〜!!!

完全に油断してたにゃぁ〜っ!!!」


「そんなに慌てなくても大丈夫でありんす」


幼子でもあやすかのように慌てるマリィを落ち着かせるユウギリ。






しばしの後用意が終了した3人はフィールドへ転送される場所へと移動するのであった。


























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― 新着の感想 ―
[一言] 更新ありがとうございます。 バトルシーンは、ナマモノ… 嬉しい…反面…ご自愛くださいませ。 つまり師匠と弟子、ララノア✖︎アルルか、 ギルマスとララノアか、楽しみだなぁ。 その前に3対3…
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