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ハーフポテト?いやオールポテトでしょ?

季節も夏から秋に変わり、過ごしやすい日々になり、教室で居眠りする時間が更に多くなった


昼休みまで寝て、昼食は食堂に行き、パンやラーメンとその日の気分によってメニューを変えていた


ウチは共働きなので、姉も弁当を持っていくという事はせずに、校内の食堂もしくは通学途中のコンビニでパンやおにぎりを買って食べていた


昼めしが終ると、食堂の裏にある貯水槽のタンクに隠れ、タバコを吸っていた


秋の空に、白い煙がプカプカと漂っている



そして一服後は教室に戻り、午後の授業も満腹からくる眠気に襲われ、結局寝てしまう


学校が終われば、バイト先まで地下鉄を乗り継いで、赤坂まで行き、バイト仲間とワイワイ話ながら、清掃をやっていた


「小野くん、高校卒業したらウチに来ないか?」


なんてバイト先の現場管理の人に誘われた事もあった


「ここにいる人達が就職するならオレも考えますよ」


「そうか、実は何人か卒業したらウチで正式に社員として働いてもらうことになってるのがいる。もし、行くとこ無かったらウチに来いよ」


そんな事を言われ、清掃の仕事も悪くないな、と思った


身体はキツいが、給料はそこそこいいらしい


(それなら今ガッコー辞めてここで正式に働こうかな…)


そんな事さえ思うようになった


僕に限らず、バイトしてる高校生って何を思って働いてるんだろう?

バイクかな?ギターかな?服かな?


目的は様々だが、自分で働いて稼いでバイクの免許を取りに行ったりするんだから、周りがとやかく言う事ではない


そんな時に、波多野から一本の電話があった


「小野っち?今ねテレビでハーフポテトな俺たちってドラマやってるんだけど、レベッカの曲が流れてるから観てみてよ」


1985年の10月から日テレでスタートしたドラマ

【ハーフポテトな俺たち】というタイトルで、主人公を演じる中山秀征が都内に通う高校生役として、ハンバーガーショップでバイトしながら、将来の自分に不安を持ったり、年上のバイトの先輩を演じる、香坂みゆきに惹かれ、初体験の相手をしてもらったり、まぁ青春コメディドラマによくある内容だ


劇中の曲はレベッカオンリーで、特にブレンズはこの年の年末に爆発的にヒットした


「ねぇ、言った通りでしょ?レベッカ絶対売れるって!」


やや興奮ぎみに波多野がまくしたてた


(なんだこれ、ふぞろいの林檎でサザンの曲しかかからないのと大して変わらないじゃないか)


僕はボケーっと、ハーフポテトな俺たちを観ていた


高校生がバイトをして、背伸びして大人の女性に恋をして、恋愛とはこういうものだと周りの年上のセンパイから教わり、大人になっていくというストーリーだった


(やっぱオレと一緒で皆、先の不安を感じてるのか…)


主人公の中山秀征を自分に投影しながら、気がついたら毎週ドラマを観ていた


ドラマが終る度に波多野から電話がくるようになった


「やっぱレベッカいいよね!アタシライブ行きたいなー」


とか、「何あの女ムカつかない?アタシが友達だったら絶対付き合い止める!」


等色んな感想やらをご丁寧に僕に話していた


僕はもっぱら聞き役で波多野の話しに「ハイハイ」と相槌をうっていた


ハーフポテトって半分はイモ(田舎者とかダサいという表現)の高校生ってか


ならばオレもハーフポテトな高校生だなぁと

いや、オレはオールポテトかもしれないな…


それよりも僕はこの時期、ある事を決意した

それは学校を辞めるという事だ


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