高校?どうでもいいよ
「貴久、お前高校行くのか?」
不意にオヤジが僕に聞いてきた
僕はちょうとテレビを観ていた時だった
「行くよ、そりゃ。中学卒業して働くなんて無理じゃん」
「ウチは余分な金なんて無いんだからな!行くなら金かからない学校に行け!」
この頃僕はオヤジが大キライだった
仕事から帰って来て毎晩酒を飲み、いつの間にか寝てしまう
何だってこんな毎日酒飲んでるんだ?
僕はこんな大人になりたくない、といつも思っていた
でも確かに父親の言うとおり、入るなら私立校より都立校がいい
じゃあ何処の高校にしようか?
僕はまだ志望校を決めていなかった
「あのさぁ、オレ都立落ちたら私立ってのは無理かな?」
僕はオフクロに聞いてみた
「アンタは高校だけは出なさい。私立になってもいいから高校ぐらい出ておかないと働き口なんてないでしょ今は」
そりゃそうだ、まさかウチに息子が中学卒業して就職してます、なんて世間の目もあるからな
でも、何で高校に行かなきゃならないんだろ?
中卒じゃダメなんだろうか?
僕は学歴には拘らない
それは今も同じだ
やっぱりこういう世の中だから、せめて高校ぐらいは出ておいた方がいいって事なのだろうか
当時僕は、大沢誉志幸のそして僕は途方に暮れるという歌をよく聴いていた
この曲はカップヌードルのCMソングとして流れ、ヒットした
当時はこの曲を聴く度に、途方に暮れていた
何となく切ない気分というか、感傷的にさせる歌だった
僕は来年の春、どうなっているのか?
全く予想が出来なかった
朝起きて学校に行き、教科書を開き、ただ授業を聞いて下校時間になるまでの間が退屈で仕方がなかった
何の為にこんな授業を受けなきゃならないんだ?
こんな学校生活はさっさと終わらせたい…
楽しいと思っていた半面、苦痛に感じる時もあった
そして三者面談の日を迎えた
母親と一緒に座り、進路について先生はこう告げた
「お母さん、小野君は学力は良いんですが、もう少し勉強すれば都立の進学校に合格出来るんです…第一志望は都立ですか、それとも私立ですか?」
要はお前が真面目な勉強しないからこの程度の高校にしか行けないんだぞ!という様な目を僕に向けた
「そうなんですか、この子は何処の高校に行けるのか解りませんが、高校だけは出なきゃダメって言ってるですがね…」
何かもうどうでもよくなってきた
共学じゃなきゃダメだとか、そんな事はもうめんどくさくなってきた