もう日焼けは止めよう
無理に日焼けするんじゃなかった
何をするにも身体中がヒリヒリして痛い
日焼けじゃなく火傷だ
シーブリーズの薬用ローションを身体中に塗った日にゃ、一体何の罰ゲームなんだよ!ってぐらいな拷問に近い
激痛に苛まれながら何故あの時も土手で日焼けなんてしようと思ったのか
時々意味不明な行動に出る自分はかなりおかしいんじゃないか、と思ったり、まぁいっか!で済ませちゃう楽天的な考えも持ち併せているんだからやっぱおかしいのか…
…まぁ日焼けはしょうがないとして
あの時、校舎に向かい一礼したのは僕の偽らざる本心だったのか?
本心のようで本心じゃない
人なんてその日その時の心情が違うのだから解らないけど、あの日の一礼はあの時の嘘偽りの無い気持ちだったのだろう
ましてや一礼して挙げ句には泣いてるなんて女々しい!
あーっ、波多野に見られたんだよな、その場面!
恥ずかしくてあれ以来波多野とは連絡していない
(ずっと一緒に居ようね)
その言葉を思い出し、また一人で赤面していた
しかし、痛てーな、おいっ!
ヒリヒリが一向におさまらない
すると居間から電話が鳴った
「電話だよーっ!」
…何だ誰も居ないのか
よく考えりゃ昼間だし父親は仕事で母親はパート、姉は学校でくそ真面目に勉強してるから僕しかウチに居なかった
動く度に皮膚がシャツに擦れて痛い!
僕は痛みをこらえながら受話器を取った
「はい、もしもし」
【もしもし、あの波多野ですけど…小野っち?】
声の主は波多野だった
「うん、どうした?」
【小野っち大丈夫?】
大丈夫って何が大丈夫なんだ?日焼けでのたうち回ってる事に対して大丈夫ってことか?
「うん、まぁまだ背中はヒリヒリするけど」
【違うよ、アタシが言ってるのは帰りに様子が変だったから心配で電話したんだよ】
全くの見当外れな事を想像していた
「何で?別に何ともないよ」
何ともなくは無いが、あの時の話を振られるのは恥ずかしいからテキトーにごまかそうとしていた
【えーっと、小野っち明日空いてる?】
「明日?空いてるけど、オレ日焼けでまだ身体中動けないよ」
【そう…そんなに痛いの?】
「無理して焼いたのがまずかったみたいだ。風呂入るのも一苦労だよ」
【…】
「どうした?何かあったのか?」
【うん、実はね、アタシ夏休み中にバイトしてて、お給料入ったんだけど、どっか行ってご飯でも食べようかなぁって思って電話したんだけど…それじゃしばらくは無理だね】
波多野もバイトしてたんだ
「あー、じゃあさ、明日じゃなく明後日でもいいかな?明日だとまだヒリヒリして痛いから明後日なら大丈夫だよ。それでもいいかな?」
【いいよ、無理しなくて!大丈夫になったら連絡してよ】
「いや、大丈夫っす。薬塗って一晩経てばおさまると思うから」
【ホント?じゃあさ、渋谷に行かない?いつも小野っちに出してもらってばっかで悪いから今度はアタシが出すから】
「いいって、バイト代出たんだろ?自分の買いたい物買った方がいいって」
【ううん、特に欲しい物ないから今は。だから小野っちにご馳走するから】
女にご馳走してもらうのか…
デートってのはやっぱり金が無くとも男が支払うのがマナーってなもんだろ
「いいよ、無理しなくて。明後日の何時にする?」
【じゃあ、お昼前に出掛けようよ】
「11時ぐらい?」
【うん、また駅で待ち会おう】
「わかった。んじゃ明後日の11時ね」
【うん、じゃあ楽しみにしてる。またねー】
そういって電話を切った
渋谷か…大して見て回るようなとこは無いかな、僕には
まぁでもデートはデートだ、それよかこの日焼けを何とかせねば
僕は塗り薬を上半身に塗ってベッドに寝転んで、そのまま夕方まで寝てしまった
そういや、渋谷の道玄坂はラブホ界隈…
ラブホ?て、事はついに初体験?
…いやいや、それはないない
でも、万が一って事も無くは無い、
前日の夜はまたキンチョーしてよく眠れなかった…
何で毎回、こんな事ばっか考えるんだろう?
思春期と言えばそうなのだが、すぐに初体験の事を頭に思い浮かべるのは、それだけ健康な証拠なのか、単に飢えてるだけなのか…




