彼女がいるっていいよなぁ
波多野とは何度も会っているのだが、これからは恋人同士という関係だ
意識するなという方が無理ってもんだ
そのせいか、いつもより早く起きた
約束の時間までまだかなりある
僕はシャワーを浴びて、歯を磨き時間になるまで部屋でボケーっとしていた
あーっ、約束の時間が待ち遠しい!
じっとしてなれない僕は着替えてウチを出た
駅前にあるファミレスに入り、モーニングを注文した
いつもならコーヒーにミルクと砂糖を入れるのだが、ブラックで飲んだ
(…苦っ!でもこれ眠気覚ましになるよな)
今になって眠気が襲ってきた
ブラックの方が眠気覚ましになるだろうと思い、トーストを食べながらブラックで流し込んだ
食べ終わると、アロハシャツの胸ポケットからタバコを取り出し食後の一服をする
---デートなんだからタバコなんて持っていくんじゃないよ、わかった?---
そう言えばアネキにそんな事言われたけど結局持ってきてしまった
波多野の前では吸わなきゃいいんだ、そう思いながら約束の時間になるまでコーヒーをお代わりしてタバコをスパスパ吸っていた
外は相変わらずの晴天だ
雲1つなく、太陽がギラギラとしてアスファルトが熱を帯びて陽炎のようだ
…今日も空は蒼い
澄みきった汚れのない空、僕もあの空のような何色にも染まらない澄んだキレイな心があれば退屈しない学校生活も、少しは楽しめるんだけどなぁ
特に今日なんかは波多野とデートだ
澄みきったどころか、デートの後に良からぬ妄想を頭に巡らせて変な期待までしてしまう
思いっきり汚れてるじゃないか、この心は
時計に目をやると、もうすぐ波多野が来る時間だ
僕は店を出て駅の改札前へ向かった
あ、波多野がもう来てる
夏という事もあり、パーソンズのプリントの入ったシャツに膝上のチェックのスカート
「小野っち~」
僕を見かけ、手を振っていた
「小野っち、それ杉山清貴だよ(笑)」
やっぱりそう言われると思った
「何だセーラーズの次はパーソンズかよ。派手な色だなぁ」
互いに着ている服にいちゃもんをつけてた
「オレ、昨日姉ちゃんに会ったデパートあったじゃん?あそこでK-Factoryのシャツ買ったんだけど、あまりの派手さに流石に着て行けないなぁと思って着ていくの止めたよ」
「高いよねー、何でトレーナーとかシャツであんな値段するんだろ」
「それだって高いだろ、パーソンズもケッコーな値段するじゃん」
「これ中学の時に買ってもらったヤツだよ。スカートは新しく買ったやつなんだけど」
「へー、でも波多野ってミーハーだよな」
「うるさいっ、もう電車くるから早く行こっ」
照れながら波多野は改札を入り足早に階段を上った
僕はその後を追うように階段を上る
「反対側から乗った方が座れるし楽だな」
いつもは満員電車になるホームに乗るのだが、今日は乗客の少ない反対側から乗った
「あぁ、涼しい!小野っちあそこ座ろう」
僕らはドアの近くの席に座った
乗客は数える程しかいなかった
「今日何時に起きたの?」
隣に座ってる波多野に聞いた
「ん~と7時ちょっと前に起きてお弁当作ってた。あ、小野っちが食べたい唐揚げとシャケとコンブと梅干しのおにぎり持ってきたよ」
楽しそうな顔でバッグの中にある弁当箱を見せてくれた
「あ、今日は大きいじゃん。しかも2つ持ってきたの?」
「うん、1つはおにぎりでもう1つはおかずが入ってるから」
「あー、どんなんか早く食べたいなぁ」
「まだ早いよ小野っち。朝食べてこなかったの?」
さっきモーニングを食べたばかりだが、波多野の作った弁当なら真っ先に食べてみたいと思った
「少し食べたけどね。まぁあっち着いてからゆっくり食べよう」
「うん!」
そういって波多野は僕の手を握った
あぁ、今オレデートしてる!
彼女がいるって何て素晴らしいんだろう!
そんな気持ちに浸りながら僕は手を握ったまま軽い眠気が襲われながらも幸せ気分でいた
ホント、単純だなぁ、僕は…




