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1985年空は蒼かった~イノセントスカイ(改訂版)  作者: sky-high
彼女が出来た
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何ぃ~、痴漢だと?

夏休みも10日程過ぎて暦は8月に変わった


僕は毎朝8時前に起き、8時半には電車に乗りバイト先に向かっている


学校に行くときと違い、反対方向の電車に乗るのだが、ラッシュアワー時な為、

いつも満員で揉みくちゃにされながら乗り換えの駅までこの状態だ、電車通学がいいなんて思ってた僕は、こんな事を毎日続けながら会社や学校に通ってる人は偉いもんだ、と妙に感心していたりして…


「あれ小野っち、どこ行くの?」


ホームで声を掛けてきたのは波多野だった


(ゲッ!こんな時に波多野に会うのかよ…)


僕は波多野に告白されてフラれて以来、波多野に連絡はしてない


そりゃそうだ、フラれた相手に連絡するなんてマヌケな事はしたくない


しかもこんなラッシュアワー時によりによって波多野に会うのかよ…


「オレ夏休み期間はバイトしてっから」

素っ気なく答えた、まぁこっ恥ずかしいってのもあるんだけどね


「バイト?そうなんだ。アタシは学校に行かなきゃ」


「だって学校行くのバスで通ってんじゃん」

ちょっと見ない間に随分と大人っぽくなったような…気のせいかな?


「うん、そうなんだけど、最近バスより電車の方が早いってのが解ったから」


「はぁ…」


そんな話をしてると電車が来た

今日も満員か、座れないなこりゃ

ドアが開き電車に乗り込む


既にいっぱいな乗客なのに、僕らが乗り込むから更にギューギュー詰めだ!


「うわっ動けねぇ!」


「アタシも身動きとれない…」


僕らは電車の中で身体を密着しながら不自然な体勢のまま電車は動き出した

ドラマとかでよく見る満員電車のシーンてあるでしょ?

あんな感じで、直立不動で立ってられない!

何て言うか、かなり不自然な体勢で、しかも四方から押し潰されるような格好だから、まともに動けやしない…


「小野っち…あんま押さないで…苦しい…」


「オレ身動きとれん…しかも変な体勢だし…」


ただでさえ夏の暑さに加え、この満員電車の中は密着しているからくそ暑い

こんな時に限って社内のクーラーは微弱に設定してあったりする。

満員電車内のストレスってかなり凄いからね


「小野っち、変なとこ当たってるょ…」


波多野が小声で言ってくるのだが、僕は全く動けないし、これは不可抗力なのだから勘弁してくれ!


…って、待てよ、僕は波多野とは人を間に挟んだ場所にいるから波多野に触れる距離じゃないぞ?


「おい、オレ触ってねぇぞ…」


小声というかギューギューに押されて苦しい声で波多野の方に顔を向けた


「違う…誰かアタシのお尻触ってる…」


波多野が顔を赤らめながらボソッと呟く

(何っ、痴漢?いや待てよ、この状況だから触れてしまうのは仕方ないだろ)


その瞬間電車がガタンと揺れて中の乗員達もガクンと動く

おっと、揺れる!ってな感じで


で、僕はその揺れの隙に波多野の背後へ瞬時に回った


「小野っち…助けてょ…誰か触ってるょ…」


波多野が泣きそうな声で僕に助けを求めた


誰だ、波多野のケツ触ってんのは?

オレにも触らせろ!いや、けしからん!

下に目線を落として見たが、波多野に触ってる手が誰の手なんだか解りゃしねぇ!

何せこんだけギューギュー詰めだと見分けがつかない


「おい、一旦次の駅で降りるぞ…」


波多野の肩越しにボソッと耳打ちし、

そして次の駅に着いた

「あ、すいません降ります!ほら降りるぞ!」


僕らは途中の駅でやっとこさ降りる事が出来た


「あぁ~苦しかったぁっ!酸欠になるかと思った!」


波多野も疲労困憊の表情を浮かべ、顔は俯いたままだった


「あぁ、何なんだ、このアホみたいな電車の混み様は…」


いつもならここまで混んでないのに、ダイヤの乱れか何かなのか?

今から次の電車を待っても間に合うのだが、波多野の疲労した顔を見て

(こりゃ学校の駅まで送るしかないかな)

そう思った


「学校間に合うのか?」


「うん…」


「じゃ次の電車乗って行こう」


「でも小野っち、バイト大丈夫なの?」


まぁあんな満員の中でケツ触られたんじゃ仕方ないよな…

オレが触りたいくらいだ!


僕は灼熱の太陽に目を向けた

眩しく、そして突き刺すような紫外線だUVカットのグラサンが必要だな…


「なんか、もう行くまでに疲れた、これじゃ仕事になんねえや…あの中くそ暑いしさ。だから学校まで送ってくよ」


「じゃあ…アタシも今日は行くの止そうかな」


「学校には行かなきゃなんないだろ?」


「いや、別に大した用事じゃないから…ただ図書室で何人かと集まって宿題する約束だったから」


「なら、少し遅れたって大丈夫じゃん!行ってこいよ」


もうすぐ次の電車が到着する


「ううん、何かアタシも疲れた…明日にする」

このままUターンするのか…仕方ない

僕らはホームで強い日差しを浴び、汗を拭いながら反対側のホームへ向かおうとしたが、とりあえずバイト先には連絡しないと、構内には公衆電話が無い…

一旦降りるか、ここで…


「オレちょっとバイト先に電話してくる」


そういって改札を出た先の道路を渡り、電話ボックスの中に入った


「あ、もしもし小野です。ハイ、お早うございます。あの今日ちょっと学校に行かなきゃならなくなったので…ハイ、すいません。代わりに次の休みの日に変えてもらう事って大丈夫ですか?ええ、はい。すいません、大丈夫ですか?じゃあその日はバイトに行きますので…はい、それじゃ失礼します」


暑ぃな電話ボックスの中は!ほんの少し入っただけで背中から汗が滝のように流れだした


「小野っちありがとうね…」


そう言って僕にハンカチを渡した

「見てくれよ、この汗!ぁ、ありがと。これ洗って返すゎ」


僕は波多野からハンカチを受け取り、額の汗を拭った


「でもいいのか、ホントに行かなくて?」


「うん、アタシも暑い!ねぇどっか涼しいとこに入ろうよ!」

波多野も微かに額から汗を滲ませている

僕らはなるべく日陰を歩きながら、駅から少し離れた場所にあったファミレスを見つけ入った


あぁ~、中は涼しい!この瞬間が堪らなく好きなんだよなぁ!






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