優子と付き合ってあげて
僕らは帰りに明治神宮に寄り、何故か解らないが、お参りをした
(どうか、どうか波多野と付き合えますようにっ!)
そう祈願して帰りの電車に乗った
人混みの中にいたせいか、僕らは空いている席に座ってソッコーで寝た
「…ん、あっ!やべっ寝過ごした!波多野起きろ!寝過ごしたぞ!」
隣で僕の肩に頭を乗せて寝ている波多野を起こした
「えっ、ウソ!マジ!」
ガバッと波多野は起き、次の駅で降りて反対ホームへと向かった
「まさか二人して寝ちゃうとは」
「ねぇ~っ、あのまま寝てたら終点まで行ってたね!」
苦笑いしながら電車が来るのを待った
「なぁ波多野。オレと付き合ってくれないか?」
「えっ?」
心臓がバクバクしてきた…
でも何故かスムーズに付き合ってくれと言えた
波多野は戸惑いの表情を隠せない
(どっちなんだ?ダメなのか?やっぱダメなんだろうな……って早く言えよ、おいっ!)
僕は波多野の返事を待った
波多野はうつむいたまま顔を上げようとはしない
「小野っち…」
ボソッと波多野がつぶやいた
「ん?」
「小野っちは優子が小野っちの事好きなの知ってる?」
杉下が?オレの事を?
波多野は続けた
「アタシ優子が小野っちの事好きなのを知ってたから、卒業式の時に第二ボタン貰ってきなよって伝えたの」
(えっ、じゃあ杉下が第二ボタンくれって言ったのは波多野のアドバイスなのか?)
「知らなかった」
「小野っち鈍いよ、優子は小野っちの事ずっと好きだったんだよ。でも小野っちは…」
「で、波多野はどうなんだ?」
「えっ?」
「波多野は誰の事が好きなんだ?」
「…」
「今杉下は関係ないだろ…オレは波多野に付き合ってくれって言ってるんだ」
ここまで言ったんだから後には引けない
「アタシは、その…んー、ゴメン小野っち!アタシより優子と付き合って」
(何だこの展開?何故ここで杉下が出る?ん?オレはフラれたのか…)
しばらく何も考えがつかなかった
そして無言のまま電車に乗り、駅に着いて改札を抜けた
「ねぇ小野っち」
気がつけば空はすっかり暗くなっていた
「アタシより優子と付き合って、お願い!優子はいい子だから小野っちにピッタリな彼女になると思うから」
何だそりゃ?この言葉で波多野に対する想いは音を立てて崩れた
「もういいや…」
身体の力が抜けるような感覚に陥り、僕はトボトボとウチへ向かった
(断るならもう少しマシな言い訳にしろってんだよ!何が優子だ、バカヤローが!)
フラレるってのはこういう感じなのか…
脱力感に襲われ、僕は部屋に入り翌朝まで寝た
あぁ、オレ、フラれたのか…そうかこれがフラレるって感じか




