原宿に行こう
梅雨に差し掛かった頃、僕は先生に呼ばれ会議室に行った
「小野、お前このままだと2年に上がれないぞ。まだ入学して2ヶ月しか経ってないのに出席日数が少なすぎるぞ。何でそんなに休むんだ?教室で何かあったのか?」
先生は僕がクラスでいじめにでもあってるんじゃないかと思っているらしい
「いや、特に何も…」
言ったところで解るワケがないだろ、と僕は思いテキトーに流していた
「何も無いのに何でこんなに休むんだ?学校に来たくないのか?」
「そうです」
「じゃあどうするんだ?学校辞めるのか?高い入学金払ってすぐに辞めるなんて親が悲しむだろ!」
「まぁそうなんですが。行きたくて行った学校じゃないんで、いつ辞めてもいいかなぁなんて思ってはいますがね」
めんどくせー、こんな不毛な会話してもムダだ、さっさと終わらせろよ、なぁ!と思いながら僕は先生の問いに答えていた
「辞めてどうするんだ、高校中退なんてしても後で後悔するだけだぞ!」
「はぁ、わかりました…」
僕は気の抜けた返事をして後は先生の言うことをハイハイと頷きながら、話を終わらせた
(こんなバカ学校に来たって何の為にもならねえんだよ、学校がバカだと先生もバカしかいねえのかよ!)
何でこんなに反抗していたのだろう?
反抗期なんてとっくに過ぎていたのに、この頃の僕は何かあるとすぐに反抗して人のせいにしていた
自分のやってきた事なのに、今思い出しても首を傾げてしまう事ばかりだ
僕はとにかく学校に行くのがイヤでイヤで仕方がなかった
自分で選んだ学校に入り、気に入らないとなるとバックレてばかりいた
バイトが終わる時間が遅く、終電なんて事もあり、翌朝起きれなくなって休んでしまうという事も原因の1つだが、他に行くとこが無く、仕方なく受けた高校に入ってしまい、嫌々で通っているというのが最大の原因だと思う
クラスの何人かとは話すようになったが、無意識のうちに線を張っていたような気がする
仲良く話していても、オレはお前らとは違うんだよ、というバリアを張り、それ以上は溶け込もうとしなかった
とにかく退屈だった
何も代わり映えの無い日々に飽々していた
(あーあ、誰か学校爆破してくんねーかな)
そんなアホみたいな事をいつも考えていた
少しスリルがあるけど、都合の良い世界があればいいのになぁと、バカバカしい事を想像、いや妄想してつまらない日を送っていた
(あぁ、彼女欲しい!どうやったら彼女出来るんだよっ!何で康司の様にアホに彼女がいて、オレに彼女が出来ないんだよ!何だこの不公平な世の中はっ!)
彼女が出来れば、つまらない毎日も薔薇色の日々に変わるだろうと勘違いしていた
(じゃ今から波多野に言おうか、付き合ってって?)
帰りの電車の中でふと波多野の事を思い、駅に着き改札を出て脇にあった電話ボックスに入り、波多野に連絡した
【はい、もしもし】
波多野の声だ
「あ、あの小野だけど…」
【あ、小野っち?どうしたの?】
「うん、いやまぁその…ね。あの、オーディション落ちたからって落ち込む事はないからな、うん」
【え、まさかオーディションの事誰かに言ったの?】
「言ってねーよっ!」
【じゃナニ?まさか励ましに電話くれたの?】
「うん、まぁその…大丈夫かなって」
【大丈夫だよ、別に落ち込んでなんか無いし、小野っちが気にする事ないってば~】
(ナニやってんだよ、早く言えよ!好きだ付き合ってくれって言え、バカヤロー!)
僕は中々言い出せず、話の内容はいつしか学校生活の事になっていた
「あ、そうだ!波多野」
【ん?なに?】
「あの次の休み空いてる?」
【特に用事はないよ】
「じゃあさっ、またどっか行かない?」
僕は焦って早口に捲し立てた
【小野っちと?うん、いいよ何処に行く?】
「んー、今度違う水族館に行かない?」
【もう水族館はいいよー、他の所に行こうよ】
「あ、じゃ映画は?」
【いいけど何の映画?】
「って、今なにやってるの?」
【あー、じゃあ原宿行かない?】
(原宿?まさか竹下通りか?)
「そうだね、原宿いいね、じゃ原宿行こう!」
そして僕は波多野と原宿に行く事になった…
原宿かぁ…人いっぱいいそうだな…




