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1985年空は蒼かった~イノセントスカイ(改訂版)  作者: sky-high
退屈な高校の授業
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オーディション

この日、都内の高校生が一斉にサンシャイン広場に集まった


おニャン子クラブがデビューシングル【セーラー服を脱がさないで】のイベント開催で僕もクラスの数人と放課後サンシャイン広場に向かった


あっという間に人だかりになり、おニャン子クラブの登場を今か今かと待ち望んだ高校生でごった返していた


中にはケンカを始めるヤツラもいて、とにかくすごい人だかりだった


しかし、いくら待ってもおニャン子クラブは出て来ない


痺れを切らした観客は、早く出て来い!と文句を言うが一向に出て来る気配が無い


アホらしい、と僕はさっさと帰った

後から聞いた話によると、あまりの人だかりに関係者は危険を察し、イベントは急遽取り止めとなったらしい


(波多野はあんなグループに入りたがっているのか?何考えんだか…)


水族館の帰りの電車の中、僕と杉下は波多野を問い詰めるような感じで聞いた


すると波多野は観念したかのように、おニャン子クラブのオーディションを受けてみたいと重い口を開いた


「絶対に誰にも言わないでよ!約束だからね!」

はぁ~、おニャン子クラブねぇ…あんな大勢の中にいても、目立つ存在にならないとやっていけないんじゃないのか?

電車の中で波多野が何度も口酸っぱく僕と杉下に言った


「言わないよ~、その代わりアタシ達にはちゃんと結果を教えてよね、ねぇ小野っち?」


「うん、合格しても落ちても教えてくれよ」


波多野は顔を赤らめながら小さく頷いた


やっぱ芸能界ってもんに憧れるのかな、皆は…


僕は芸能界に興味を持ったことは無かった

アイドルに会ってみたいとは思ったが、自分がそういう世界に身を投じるなんて考えた事も無く、自分のルックスが決して良いなんて思った事すら無かった


不細工が何かの間違いで芸能界に入ったとしても、それで飯が食えるなんて到底無理だ


ああいうのは持って生まれたルックスと才能のあるヤツがやるようなもんで、僕のように何も取り柄も無く、外見もパッとしない人間は目指しちゃいけないもんだと思っていたからだ


数日後、波多野から連絡があった

どうやらオーディションに受けて、一次通過はしたものの、二次通過で落選したらしい


まぁ今考えてみても【アイドルを探せ】という番組内のオーディションの内容はケッコーいい加減だったような気がする


出来レースだったとか、そういう噂まであったぐらいだから


「これ絶対に言わないでよ!いい、約束だからね!」


受話器の向こうで波多野が何度も語気を強めて言ってたのは、何だか可笑しくて、僕は笑いを堪えた

(ギャハハハハハ!変な夢見てねぇで、ちゃんと学校へ通ってろよ!)

まぁ、数年後に同窓会でバラされたんだけど、僕に…


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