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1985年空は蒼かった~イノセントスカイ(改訂版)  作者: sky-high
退屈な高校の授業
42/125

水族館に行こう!

その夜、杉下から電話がかかってきた


「貴久、優子ちゃんからだよ」


姉の声で僕は受話器を取った


「はい、もしもし」


【あ、小野っち久しぶり!元気?】


「うん、どうした?」


【いや、新しい学校はどうかなって…】


「うん、あぁ。まぁ何とか」


僕は電話の側でテレビを観ている両親の存在が気になって会話どころではなかった


この時代、携帯電話なんて無かったから、親の目が気になって会話もしどろもどろだった、多分僕らの世代はそうだったんじゃないかな?


【小野っち、日曜日は空いてる?】


「日曜日?ちょっと待って」


そう言って僕はバッグからバイトのシフトを確認した


「えー、日曜日は…あ、空いてるね、うん空いてる」


【それでねそれでね、どっか出掛けない?】


…まさか杉下と二人だけか?


「他に誰か誘ってんの?」


【小野っちは大勢いた方がいい…のかな?】


(かな?って何だよ、かなってのはよーっ!)


「いや、どっか出るっていうからさ。他に誰かいるんじゃないかと。ねぇ」


相変わらず歯切れの悪い会話だ


しかもオヤジとオフクロも会話を盗み聞きしてんじゃねーよ!しかも背後の視線が…

邪魔だよ、邪魔!


何でこんなとこに電話があるんだよ!


【誰か誘った方がいい?】


「いるのか、日曜日に空いてるヤツは」


【いなくはないんだけどぉ】


「誰なんだ、来れそうなヤツは?」


【んー、慶子かなぁ】


(波多野?波多野って、あの波多野だよな?…波多野じゃん!波多野来れるの?っていうかマジ波多野呼べ!杉下、お前は波多野を連れてくるだけでいい!是非とも波多野を呼んで欲しいの、僕はっ!)


…そう言いたい気持ちを押さえて、あくまでも冷静な口調で僕は受話器の向こうの杉下に言った


「いいんじゃないかな、波多野。また中学の席順みたいに座って話せば。うん、いいと思うよ、オレは波多野が行きたいっていうならば行くよ、うん行く行く」


波多野が来るかもしれない…思い出として胸の奥に閉まっておこうとしていたのだが、もし波多野が来るのならば…ならば行くしかないでしょう!


「じゃあさ、杉下。波多野も呼んで遊びに行こうぜ」


テンションが上がってくるのを押さえきれない


【う、うんわかった。じゃあ慶子にも言っておくね】


「よし、じゃ何しようか?遊園地?映画?もしかしたらディズニーランドか?」


この時点でテンションマックス状態だった


【それは、慶子にも聞いてみないと解らないんだけどね…】


「大丈夫でしょ?波多野なら来てくれるよ!行きたいトコないか?って言ってくれりゃオレが連れていくから安心しろって言ってくれ」


この時点で親の存在は既に忘れていた

それだけ電話口でテンションが上がっていたからだ


【んー、まだ慶子が行けるかどうか解んないんだけどぅ】


「んじゃオレが波多野に連絡するよ」


(あ、思わず言ってしまった!…まぁいいか、オレも波多野の声聞きたいからな)


【じゃあ、慶子に連絡するのは小野っちに任せたから。うんうん、じゃあまたね、バイバーイ】


そう言って受話器を置いた

僕は中学の時の連絡簿を取り出し、波多野の番号を調べた


よ、よし、このままの勢いで波多野に電話しよーっ!


番号を間違わないように慎重にダイヤルを回す


よし、これで繋がる!


【プルルルルルル プルルルルルル プルルルルルル】


この時間がかなり長く感じる!


まだ出てこねえのか、波多野は!


しばらく鳴ってから

【はい、もしもし波多野ですが】

と母親の声だった


「あっ、僕中学の時の同級生で小野と言います。慶子さんは居られますか?」


【あぁー、はい、中学の時の小野君ね。ちょっと待ってくださる?】


母親はそう言って受話器の向こうにいる波多野を呼んでいた


【慶子~、小野君から電話よ】


やべっ!急に心臓がバクバクしてきた…

どうやって話しようかな…


って、この間が1番イヤなんだよなぁ!早く出てくれよ波多野~っ


すると受話器の向こうから波多野の声がした


【もしもし、小野っち!久しぶりぃ、どう新しい学校は?】


「おー、久しぶり。元気元気!波多野こそいじめられてないか?大丈夫?ならよし!」


そんな話をしたんじゃないんだ!肝心な話をしないと!


「杉下から聞いたと思うんだけど、日曜日空いてる?」


【日曜日はね、うん空いてるよ】


ヤッターっ!


「でさでさ、日曜日どっか行こうよ。オレと杉下と波多野の3人でさ」


【んー、何処に行く予定?】


「いや、さっき急に杉下から連絡が来てさぁ、何処に行こうか考えてたんだよ。波多野行きたいとことか無い?」


【んじゃぁさ、水族館はどうかな?】


「水族館?え、水族館?うん、大丈夫だよ、水族館ね」


ディズニーランドにでも行こうと言うもんだと思っていた


それが水族館とは


「よし、水族館に決まりね!杉下にはオレから伝えておくよ!うん、悪いねこんな時間に。うん、じゃまた。はい、よろしくー」


上機嫌で僕は電話を切った


水族館ってぇと、学校の近くにある水族館にするかな


それとも他の水族館がいいかな?

僕は都内の水族館を片っ端から調べてみた


杉下に折り返しの電話を入れるのを忘れるぐらいに

っていうか、杉下の存在すら忘れてた…

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