もう、行きたくない
つまらねえ、くだらねえ、めんどくせえ
口を開けばこんな事ばかり言ってた
中学を卒業してまだ数週間しか経ってないのに、もう随分と前に感じた
中学の頃は、早く卒業して薔薇色の高校生活になると思っていたのに、いざ蓋を開けてみると中学の頃が楽しかったと後悔していた
あの時、もう少し勉強しておけは、もう少し真面目に授業を受けていれば、とタラレバの事ばかりを考えていた
僕は教室の席に座り、ひたすら寝ていた
入学して3日目に担任の教師からこう言われた
「ウチの学校は就職する人と大学に進学する人の割合は半々で、今年卒業した生徒で学年トップのヤツが行った大学はN大学だ」
愕然とした
学年トップのヤツが入った大学がN大学だって?
申し訳ないが、当時のN大学は三流にも値しないレベルだった
六大学や国立大に進学なんて夢のまた夢
この時点でヤル気を無くした連中も何人か居た
もっとも、僕のクラスでは併願で入学したのは僕を含めて3人しかいなかった
後は単願で入学したヤツラで偏差値にかなりの差があった
入学した時点で僕を含めた併願入学のヤツは既にトップクラスの学力だった、中3の1学期の頃のような状況で、何もしないで既にトップクラスの学力を持っていた
となると、バカバカしい!こんなヤツラに学力合わせなきゃならないのかよっ!ってな感じでまたクラスのヤツらを見下ろしていた
他の高校に編入する意欲すら失せた
ただでさえヤル気が無いのに、これ以上ヤル気を削いでどうしようってんだ、ったく
僕は入学して1週間も経たないうちに授業を抜け出し、駅前のゲーセンで暇をもて余していた
最後まで授業を受ける気なんて無い、昼になり食堂で飯を食ったら後は帰るだけだ
5時限目だ6時限目だなんて受けてられっか!
僕は1人校舎を出て駅に向かった
S学院の最寄り駅は都内で有数の繁華街で、通学で通る猥雑で危険な雰囲気が漂う細い路地を歩き、ゲーセンに入る
小銭を入れ、くわえタバコでシューティングゲームや格闘ゲームをやる
(空しいな…オレには何の楽しみも無い。あんな学校辞めて働こうかな)
いつも胸の中のモヤモヤが取れずにスッキリとしない日々を送っていた
こんな生活を続けていたから、クラスの誰とも会話をしていない
同じ中学からS学院に行ったのは僕を含め3人で、普通科に入学したのは僕だけしか居なかった
当然の如く、クラスでは話をする相手もおらず、僕は寝てるかウォークマンで音楽を聴いているぐらいだった
自分から話し掛けるなんて事はしなかった
僕は上から目線でクラスの連中に接していたから…
学力ではオレの方が上だ、オレはお前らに合わせてやってるんだ、と言わんばかりに
よくあんな態度をとってケンカにならなかったな、と思う程、僕は傲慢な生徒だった
多分、クラスのヤツラはヤツラで僕を相手にしなかったのかもしれない
僕にとってはその方が良かった
1人の方が気ままで好き勝手に出来た
だが、こんな事ばかり続けていた為、ウチに連絡がきて僕が授業を抜け出しているのがバレてしまう
「貴久、何で学校サボったりするの!先生から連絡きて何日も続けて授業抜け出してるって言うじゃない?何があったの一体?」
オフクロは僕がいじめられてるものだと思ったらしい
「行きたくねえよ、あんな学校」
「何で?何かイヤな事でもあったの?」
「つまんねえんだよ、あの学校!辞めてぇんだよオレは」
「アンタ、入学するのにいくらかかってると思ってるの!バカな事言わないで明日からちゃんと真面目に授業受けなさい!」
「オレさぁ、他の高校行きたいんだよ」
「えっ?何言い出すのアンタは!あの学校の何が嫌だって言うの?」
「全部だよ!何から何まで全部イヤなんだよ!」
「じゃ、どうしたいの!」
「編入試験受けて都立校に入り直す」
「…」
「あの学校じゃいくら頑張ってもろくな大学に入れないんだよ!だったら今からでも少しはいい学校に入っておけばまともな大学に入れるかも知れないじゃん!」
こんなのは口から出任せに過ぎない
「だって見ただろ、入学式の帰りに上級生が道端でタバコ吸ってるのを!あんな学校に居たらオレまで腐っちまうよ!」
「…そんなに言うのならお父さんが帰ってきたら相談してみなさい!」
オフクロはそう言って夕飯の支度を始めた




