入学式、そしてダサいバッグ
1985年4月上旬、僕はS学院普通科に入学した
S学院は普通科 工業科 商業科と3つに分かれ、僕はA組になった
普通科にはガラの悪そうなヤツはそれほど居なかったが、工業科には見るからにヤンキーというヤツラがいっぱい居た
(ビーバップじゃねえか…)
当時人気のあった【ビーバップハイスクール】に出てくるようなヤンキーしかいない、何処を見ても学ランを着たヤツしかいない、セーラー服を着た女子等一人もいないという違和感…
これが男子校なのか、そんな事しか思わなかった
明日からこの学校に通うのか、とてもじゃないが3年間通う自信が無い
一体こんな学校に何の希望があるというのだ?
どうしようもなくつまらない高校生活をどう過ごせというのだ?
あれこれ考えても答えは出て来ない
入学式を終え、帰りの道で上級生が堂々とタバコを吹かしながら駅に向かっていた
「まぁ、何て学校なんだろここは!貴久、アンタはあんな風になったらダメよ、解った?」
入学式に来たオフクロが上級生を見て僕にそう告げた
(ダメよってもうタバコなんて中2から吸ってるけどな)
僕がタバコを吸っている事をオフクロは知らない
いや、オフクロだけじゃなく、オヤジもアネキも知らない…と思っていたのは僕だけで、実は皆、既に知っていた、後から聞かされるんだけどね…
吸うのはもっぱら、康司の部屋やゲーセン、喫茶店ぐらいだ
多分この学校でも隠れてタバコを吸うだろうなと思った
むしろタバコを吸ってる所を見付かって停学にでもなった方がいいかも、と思っていた
私立校と言っても、校舎はボロく、食堂も狭い
もう少し、私立校らしい綺麗な校舎だったら少しはヤル気は出たのかも
帰りの電車で僕はずっと窓の外を見ていた
電車通学に憧れていたが、3年間ラッシュアワーの中、満員電車に乗ってギューギュー詰めになり揉みくちゃにされて一時間もかかって通うと思うと、流石にイヤになってくる
何であんな高校選んだのだろうか…
自分のバカさ加減にホトホト嫌気が差した
入学式の終わりに教科書が配布された
僕は全部机の中に置いて、入りきれない物は教室の後ろにある小さなロッカーに閉まった
しかも指定されたバッグは紺のダサいスポーツバッグにデカデカと校章の入ったプリントがしてある…
(ダッセー…こんなの持って毎日通うのかよ…)
手ぶらで通いたい、そう思ったからである
シャーペンも消しゴムもノートも入れるつもりはない
ハナっから勉強する気なんて無かった
憂鬱な高校生活がスタートした




