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何やってんだ、お前は!

1985年、この年の空は蒼く感じた

青ではなく、少し緑がかった若草の様な空模様に見えた


相変わらず勉強会と称しては太田のウチに行き、カセットから流れる流行歌を聴きながら女の話ばかりしていた


僕はキャビンマイルドというタバコを吸っていた


太田達はセブンスターやマイルドセブン、キャスター等を吸って、いつしかお互いの名を吸っているタバコの銘柄で呼び合うようになっていた


僕はキャビンと呼ばれ、太田はキャスター、斎藤はマイルドセブン、川田はセッター(セブンスター)と呼び、学校の外だけではなく、校内でもそう呼び合っていた


休み時間になると、当時ブームを巻き起こしたブレイクダンスの真似事なんかをして遊んでいた


ロボットの様にカクカク動いたり、頭だけで回転するヘッドスピンや、マイケル・ジャクソンが得意にしていたムーンウォークなんかをよく練習した


結局僕が出来たのは、ムーンウォークと身体中を波の様に動かすウェーブぐらいで、そこまで夢中にはならなかった


掃除の時間、太田と僕は職員室前の廊下を綺麗にする担当だった

「キャビン、ムーンウォークしながら雑巾がけしたら楽じゃん?」


太田がそう言いながら両足の裏に雑巾を敷き、ムーンウォークで廊下を拭いていた


「キャスター、オレにも雑巾ちょうだい」


太田から雑巾を受け、僕らはムーンウォークで雑巾がけしていた


「こらっ、お前ら!何だその掃除のやり方はっ!足で雑巾がけするヤツがあるか、バカたれが!」


ガラッと職員室の扉が開き、先生に怒鳴られ、僕らは普通に雑巾がけした


廊下の掃除が終わり、僕と太田は一つ上の階の音楽室に行った


そこでは、斎藤達が音楽室の掃除を担当していた


「まだ掃除やってんのかよ、さっさと終わらせちゃえよ!」


「見てないで二人とも手伝ってよ!」


女子に言われ、僕らは隣の楽器が置いてある倉庫代わりの部屋に入った


「キャスター、ギターあるじゃん」


「おー、この部屋ギターあったのか!」


僕たちはフォークギターを手に取り、ジャカジャカと弾いていた


「キャビン弾けるのか?」


「いや、テキトーだよ」


僕はギターを肩に下げ、いかにも弾けるようにリズミカルに爪弾いた


「せぃっ!」


僕はギターを弾きながら高々と足を上げた

身体が柔軟な僕は、足を垂直に上げると爪先は頭上を楽に越える


「吉川晃司じゃん!」


ちょうどこの頃、吉川晃司がギターを弾きながら高々と足を上げていたのを真似て、得意気に歌った


「チャンス チャンス ユーガッタ チャンス♪」


調子こいた僕はギターを弾きながら階段を降り、颯爽と教室に向かった


教室のドアを勢いよくバーンと開け、足を高々に上げたまでは良かったが、教壇には先生が居て、僕らを除くクラスメート達は席に着いていた


えっ?何でもう授業始まってんの?


一瞬呆気にとられた


先生もクラスメートもポカーンと口を開けていた


やや間があって、教室内は爆笑となり、先生にこっぴどく怒られた


「何やってんだお前はっ!どっから持ってきたんだ、それは!」


また怒られ、すごすごとギターを返しに行った



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