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高校いく気あるの?

2学期の終業式の帰り、僕は先生に呼び止められた


「小野、香山はどうしてる?」


聞いてきたのは、康司のクラスの担任の北川だ


「さぁ、一緒のクラスになった事もないし、あんまり話した事も無いからわかんないっすね」


「そうか、もし香山に会ったら三学期から学校に来いと伝えてくれ」


「はーい」


そう言って僕は校門を出た


北川は何度か康司のウチに来たらしいが、居留守を使ったり会ってもさっさと追い返したりして、まともに話をしてなかったらしい


(アイツ卒業出来ないって言ってたからな。てことはもう一年中学生やるのか)


出席日数が足りず、このままだと落第になるみたいだ


とは言え、康司本人が学校に行きたがらないから誰が言ってもムダだろう


イジメられてる様子はないが、事ある毎に先生に反発していたから、学校に来てもまた先生とケンカして次の日から来なくなるのは目に見えてる


それにウチに居れば、彼女と一緒に居られるから学校に来るよりも部屋で彼女とイチャついてた方が良いのだろう


実際、康司は暇さえあればサユリとセックスばかりしていた

こっちはまだ彼女すら居ない身だから、僕はヤツラがセックスの最中にわざと邪魔しに行ったり、嫌がらせをよくした


登校拒否の分際で生意気だ!

あんなバカに何で彼女が出来たんだ?


こっちは来年になれば受験を控えて勉強しなきゃならないのに、アイツは学校に来ないでセックス三昧の日々だ


そう考えると無性に腹が立ってきた


この時期、僕は康司にかなりキツくあたっていた様な気がする


康司は人懐っこい顔して、僕達が来るのを歓迎していたが、僕自身はコイツのウチに行くのは単なる暇潰しで、卒業して高校に上がる頃にはコイツとの付き合いも無くなるだろうと思っていた



そして冬休みに入り、毎日の様に昼間はゲーセン、夜は康司の部屋で麻雀という日々を過ごした


大晦日の夜は、クラスの数名で柴又の帝釈天へ初詣に出掛けた


「寒ぃーなぁ、昼間の方が良かったんじゃないか?」


鼻がツーンとする程、凍える夜だった


「昼間より大晦日の夜から行くのがいいんだよ」


そんな事を話ながら、僕らは参列して、賽銭を投げ入れお参りした


「これで皆合格出来りゃいいな」


誰かがそんな事を言った


「あ、じゃあ次は湯島天神に行かない?あそこは学問の神様を奉ってるから」


僕が何気なく言った一言に皆は賛同した


「そうだ、最初から湯島天神に行けば良かったんだよな」


「でも正月は色々とあるから出られないよ」


「じゃあ、三学期に入ったらお参りに行こうよ」


「そうだな、じゃあこのメンバーでまた行こうよ」


皆、何が何でも受験に合格したい気持ちなのだろう、御利益のある事は何でもしてやるという気持ちだった


僕は休み期間中は昼まで寝て、テレビで正月の特番を観ながら夜更かしして、また昼に起きるという堕落した生活を続けていた


「アンタ何時になったら勉強するの?そんな事ばっかしてたら落ちて行くとこ無いよ!」


一つ上の姉、祐実(ゆみ)が僕のあまりにもだらしない過ごし方を見かねて忠告した

当時姉は都立の進学校に通い、成績もかなり優秀だった


「解ってるよ、うっせーな!」


「全然勉強してないじゃん!」


「これからやるんだよ!」


「そう言って全く勉強してないでしょ!アンタ高校行く気ないの?」


…本音は行っても行かなくてもどっちでもいいやって感じだった


でも多少はやらなけりゃマズイだろうな、そう思い机に向かった




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