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第十四話  訓練2  Side Ayaka and Yuuri

計3688文字です。

 自分を苦しめるこの力が疎ましかった。誰も信じられない、誰もが醜いものを抱えている、そんなことは知りたくなかった。けれど、現金だけど今はこの力に少しだけ感謝したいと思う。

 

 少しでも君の傍にいたくて、少しでも君の役に立ちたくて、少しでも君の見ている世界を見たくて、少しでも君を支えたくて、少しでも君に愛されたくて、こんな理由で頑張ってるって知ったら君はどう思うかな?きっと、呆れたようでどこか嬉しそうに受け入れてくれるんだろうなぁ・・・・・・。よしっ、頑張ろっ。







Side Ayaka



精神集中までは莉里さんとの精神感応テレパスの訓練でやったことはあるのですが、そこから先、イメージを固めることが中々うまくいきません。


久遠君に与えられた課題はこの草むらに隠されたものを見つけるというだけのものですが、どういうイメージをすればいいのかよく分かりません。


久遠君にアドバイスを聞こうとする前に彼は行ってしまったので、試行錯誤してみますが全く手ごたえがありません。


「・・・・・・駄目です。何も浮かんできません。」


詠唱にしても元となるイメージがなければ浮かんでくるはずもなく、途方に暮れてしまいます。


「絢香?」


「あ、久遠君。」


そこにやっと久遠君がやってきてくれました。


「どうした?全然、力を使った気配を感じないが?」


「どうした?じゃないですよ。いきなりやれと言われても出来るわけないじゃないですか。」


「いや、莉里と訓練したんだったら少しは出来るかと思ったんだが。」


「やったのは精神感応テレパスの制御だけです。術のイメージは少しもやったことなんてないですよ。」


「そうなのか・・・・・・。まぁ、どっちみち、最初は自分でどうにかしようと試行錯誤させたほうがいいらしいけどな。」


「らしい、というのは?」


「俺に力の基礎を叩き込んだクソ女狐の言い分だ。真偽のほうは知らないがな。」


久遠君は忌々しそうに吐き捨てました。


そういえば、さっき、いきなり戦場のど真ん中に放り込まれたとか話されていましたので多分、久遠君が言う女狐というのはそれを実行された人なのでしょう。


「それはともかくイメージで詰まってるのか?」


「はい。具体的にどうイメージすればいいのか分からなくて・・・・・・。」


「確かに解析系サーチは分かりにくいか。」


「久遠君は解析系サーチは使えるんですか?もしよかったら参考にしたいのですが。」


「使えない事もないが、俺もそうだが大体の奴は特性クオリティーを元にイメージを組むから参考にはならないぞ。」


「久遠君の特性クオリティーは確か位相微剥アウトウォーカーでしたか?」


「そうだが、解析系サーチのときに使ってるのは別の特性クオリティーだ。言っておくがそれについては喋るつもりはない。」


少し不満ですが、先程特性(クオリティー)はあまり吹聴するものではないと言っていましたので仕方のないことだと思い、我慢することにしました。


「絢香の特性クオリティー精神感応テレパス先見予告ラプラスだったな。とりあえず、そこから考えてみるのがいいんじゃないか?」


「そうですね・・・・・・。あ、久遠君が前に言っていた、私と同じで心を読める方はどんな風に術を使っていたんですか?」


同じ力を持っているなら参考になるのではないかと思い、尋ねたのですが久遠君は顔をしかめました。


「・・・・・・あれは参考にするだけ無駄だ。感覚で術を組む、生まれながらに常識の外に存在する化物だからな。」


「・・・・・・あの、その人はどういった人なんですか?」


久遠君は更に顔をしかめると渋々といった風に口を開きました。


「・・・・・・金毛白面九尾。他者を弄ぶことを生きがいにしてるクソ女狐だ。」


「九尾の狐・・・・・・。」


あまりに有名な妖怪の名前が出てきたので驚いてしまいました。


「ともかく、特性クオリティーを元に自分で考えてみるんだな。俺は他を見てくる。」


そう言って久遠君は行ってしまいました。


特性クオリティーを元に考える、ですか。


精神感応テレパス先見予告ラプラスですから、聴覚と視覚、でしょうか?


いえ、精神感応テレパスの場合、聞くというより感じるという感覚がしますから、先見予告ラプラスのほうはまだよく分かりませんが、同じようなものなのでしょうか?


ということは、感覚的なものなのでしょうか?


しかし、感覚で探すというのはどういう感じなのでしょうか?・・・・・・視覚というのは外界から光を感じることで得られるもので、聴覚というのは音、つまりは空気の振動を感じてることで得られるものですから、何かを感じればいいのではないでしょうか?


・・・・・・魔力、でしょうか。


「・・・・・・【在りしもの、その存在を示せ。『ファインド』】。」







Side  Yuuri



集中して〜、イメージして〜、


「【全部纏めて吹き飛んじゃえっ。『烈風のノイズ』】っ。」


風が吹き荒れて辺りに生えていた草木を根こそぎ引き抜いてはるか頭上へと吹き飛んで行っちゃった。


その出来に満足していると、上から吹き飛ばした草木が落ちてきた。


あ、どうしよう。考えてなかった。


「【その命、果てるまで衰退せよ。『枯渇のこく』】。」


落ちてくる草木がどんどん枯れていき地面に戻ってくるときにほとんど塵と同然になって戻ってきた。


「あ、くお君っ。ありがとねっ。」


「少しは周りの被害を考えて術を使え。」


声のほうを向くと呆れた顔のくお君がいた。


「それにしても、悠璃が一番てこずると思ったんだがな。」


「すごいっ?偉いっ?」


「ああ。たいしたもんだ。」


私の求めているものをすぐに分かってくれて、苦笑しながら頭を撫でてくれたっ。


あ〜っ、やっぱり、すっごく気持ち良いっ。


「律達はそれなりにてこずってたんだが・・・・・・、才能でもあったか。」


「悠ちゃん頑張ったもんっ。」


「悠璃みたいな性格のほうが柔軟に思考が出来るからかもな。」


ずっとこうして撫でていて欲しいなっ。


・・・・・・あれ?


「くお君っ?」


「どうした?」


「嫌だった・・・・・?」


私の頭を撫でるくお君の表情はどこか残念そうに見えた。


私が問うと一瞬、腕が止まりその後、もう一度撫で始めた。


あっ、さっきより気持ちいい。


「・・・・・・まぁ、嫌だな。」


「どうしてっ?」


「・・・・・・才能があるってことはそれだけ戦いの場に立つことが多くなる。特に大規模系フィールドが得意な奴なんてもんはなおさらだ。人間と人外の連中じゃ根本的にスペックが違いすぎる。その差を縮めるために色々と人間は手を尽くすわけだが、大規模系フィールドの火力は人外と戦うのに有効だ。」


撫でる手に恍惚としてしまいながらもくお君の言葉に耳を傾ける。


「沙羅なんてその最たるもんだ。広域殲滅事象技能(イマジン)、『ヘブンズドア』。あれによって葬られた集団、集落、部隊は数知れず、人外の一部の間でもあれが発動したとき術者の姿が見えないなら逃げろと言われてるほどだ。だがな、それだけ危険視されているってことはそれだけ命の危機にさらされているということでもあり、それだけ多くの戦場にかりだされてるってことだ。・・・・・・俺は、お前にそんな危険な目に合わせたくない。だから、素直にお前の才能に喜ぶことも出来ない。」


くお君の言葉を聞いてどうしても伝えたいことがあって、撫でられて気が緩んでしまいそうになりながらもしっかりとくお君の眼を見つめる。


「・・・・・・くお君が護ってくれるでしょっ?悠ちゃんをありとあらゆる危険から護ってくれるでしょっ?」


「もちろんだ。けど」


「だったら大丈夫だよっ。悠ちゃん、くお君を信じてるもんっ。それにねっ、悠ちゃんはくお君に護られるだけは嫌なんだよっ。だから、この才能が凄い嬉しいっ。くお君に護られだけじゃなくて、くお君を護れるからっ。くお君を傷つけようとするものを薙ぎ払えるからっ。護って護られてっ、支えて支えられてっ、・・・・・・くお君はそんな関係は嫌っ?」


くお君はあっけにとられた顔をしてから微笑んで私の頭を乱暴に撫でた。


「わわっ。」


「俺を護ろうなんて百年早い。」


そう言って、私に背を向けて歩き出す。


嫌だったのかな・・・・・・。


「お前には指一本触れさせないさ。何が敵だろうと関係ない。有象無象の脅威は全部俺が潰す。・・・・・・お前のその言葉だけで十分俺は支えられてる。ありがとな。」


くお君は一度、足を止めてそう言うと今度こそ行ってしまった。


・・・・・・えっと、お礼を言われたってことは喜んでくれんだよねっ?


・・・・・・よしっ、もっと頑張ろっ。


というわけで、今回は絢香と悠璃の訓練風景でした。と言っても、悠璃は既に自力で開花していたので訓練していませんが。

 私に文才がないばかりに訓練と言いながらそれぞれの雑談がメインになってしまいますが、どうかご容赦下さい。

 ご意見・ご感想のほうは随時お待ちしています。

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