続・狩人組合《ハンターギルド》
災厄の悪魔を解き放ってしばらくの間は茫然と見送っていたが、こちらから頼んだ事は"一応は"キッチリとこなしては来るので、その点に関してだけは心配していない。
そう、その点に関してだけは。
それ以外に関しては、どこぞの変態Sとは別のベクトルで不確定な不安要素の塊でしかないので、何かしらの問題ごとを連れ立ってくる可能性が岩ロックレベルで存在する事がある。
あるのだが・・・
この際、使えるものは使って、それ以上の事は棚上することで気にしない事にし、明日以降の自分へとぶん投げておくことにした。
頑張れ、明日以降の自分。
そうして、明日以降の自分にエールを送ってはみたが、そうこうしているうちにも移動やらで時間が過ぎるぐらいの広さの街。
視界の中に表示される時刻は13:40を表示しようとしている。
空腹というのは感じないのだが、時間を見てしまうと途端に何かしら口に入れなければならないという衝動に駆られてしまう。
一応、狩猟組合へ向かうつもりではあったけれど、昼飯をさきに澄ましても良いかと割り切っては、新たに発掘したというか、広場にいく途中で発見した屋台街の場所へと移動を開始する。
宿で取る食事よりも、何故か屋台街にある、ほぼそのまま焼いた肉や、肉がごっそり入ってる肉スープなどの方が、どうも効率が良い感じがする。あとコスパも割かし良い部類でもある。
そうして、屋台街についた時、派手に銅鑼が鳴り響いた。
ジャーン、ジャーン、ジャーンっていう感じで
しかしながら、派手な音がした割には、何か祭りや催しがあるのかと見まわしてみてもそれらしいものが見当たらない。
一体何だったんだろうか?と首をかしげてみたが、結局はいつも通りの代わり映えが無い場所だったりするのがよくわからない。
まぁ、気にしても仕方が無いので、まずは定番中の定番となる肉串からいってみようか。
* * *
狩猟組合の前まで到着し、ここに来るのは何度目になるかなぁ?という思いと、呼び出された理由はいったいどういう要件なのか?という不安と、中からくる何か場違い的な空気を感じて入り口の手前で立ち止まらされていた。
なにしろ、人が出入りするたびに、その中からは何やら指示的な怒声が飛び交い、出ていく人たちは、どことなく緊張感をもった赴きで走り出して行ったりと、今までとは違う雰囲気というのを醸し出していた。
となりの窓枠から建屋の中を覗いてみると、こんな時間に今まで見たこともない人数が、ごった返していてもいたため、これは日を改めた方が良いよなぁと思い始めていると
「あれ?あんたは・・・」
「たしか、アーネストさん・・・でしたよね?」
窓を除き見ている背後から自分の名前を呼ぶ声がした。
その声をかけてきた相手は、たしか・・・えーっと・・・えーっと・・・・
『船上火災の時にいた、狩猟組合のモノたちかと』
はっきりと記録されていない記憶を呼び起こそうとしていた時、ヒョウさんからの連絡が入ってきた。
言われてみればたしかに、おぼろげに覚えが・・・ある?
・・・あぁ、それだそれ。うん、たしかそうだそうだ。
「その・・・御身体の具合は、よろしかったのでしょうか?」
「大丈夫そうじゃね?ちゃんと二本の脚で立ってるし、目立って怪我してるようにも見え・・・って、いってぇ・・・おま、それで殴るなよ!!結構いてーんだぞ!!」
「女性に対してもっと気を遣いなさいよバカ!それによく見なさいよ!!クォーツが在るじゃない!!!あんたの目は節穴なの?」
「お・・・?おお!?本当だ」
「という事は、かなり危なかった訳か」
「ま、あんな状況で命あるだけめっけもの、出歩ける様になれたのなら運がよかったのかもな」
「そういや、他では精神的にダメだった奴が居たとか何とかって聞いたな」
「そういう事に疎いアンタが、なんでそんなこと知ってんのよ?」
「ん?"未だに逝ってる"奴がいるって話?それなら、ヨーコさんから聞い「ヨーコさんて誰よ!」」
二人ほどが争い始めたが、他の三人はというと"まぁた始まった"という表情をしながら見事にスルーし、耳が後ろ向きにとがっている生物からは、親指で「中に入ろうぜ」という仕草がかかり、三人と一緒に狩猟組合に併設されている方の酒場の中に入ってテーブル席に落ち着いた。
「皆が無事で良かったと思います」
「ああ、確かにそうだな。さすがのオレも、師匠がいたからと言っても覚悟したからな」
「ま、あの災難の中、おっちんじまった奴が一人もいなかった、っていうのも奇跡だと思うけどな」
「それなんですが、後から知った話ですけれど、救護所に聖女様が居合わせたと聞きました」
「へぇ、聖女様ねぇ」
へぇ、陸の方ではそんな事が起きたのか。
これはアレかな、テンプレ的な流れから言うと召喚された他の人が居合わせたりしたんだろうか?
というか、そもそもよく考えたら行方不明Sの奴、一体あの時なにやってたんだ?
念のために救命処置をしてろって言ってたはずなのに、いつの間にか支援砲撃にきてたし。
「にしても、ねーさんは運が良かったんじゃね?そのクォーツだって結構値がはりそうな代物だぜ?」
「そうなのか?デュー。俺はその辺よく知らないからなぁ」
「そうですね・・・感じ方からいって、何かしらの神聖な加護が施されているのは間違いなさそうです」
「今では珍しいかんな。そういう使い方は」
「昨今の市井では、ファッションで付ける人もいますからね」
「コレって、そういうもんなのか」
「ええ、そういうものになってます」
やっぱり、これは珍しいとみられるのか。
というか、神聖な加護とかいわれたが、そんなの倉庫にあったか?
とにかく、コレクション枠以外の代物も、アイテム枠にデイリーミッションとかで手に入ったモノとか、いろんな物を色々と放り込んでいたために無きにしも非ずだが、いやそれよりも、それらをどこからアイツが持ち出していたのか・・・
「もしかしたらさ、傷を治したのも聖女様だったりしてな」
「確かに、これほどのモノならば、位の高い方かもしれませんね」
「いや、コレに関してはそれはない」
「「?」」
位が高い・・・?
あの生首掲げて笑みを浮かべている狂信者Sの姿を思い浮かべば、位が高いどころか邪な感情が行動原理になっている姿を思い出す。
清貧を重んじてそうな崇高な人に対し、頭埋もれるぐらいに頭下げて謝れと言いたくなるぐらいに酷い存在だと改めて確信できてしまう。
「やっぱり、それは無いと断言する。絶対に違う。言動がオカシイ奴がやってるのをはっきりと覚えている」
「言動がオカシイって・・・なんだそりゃ」
「ほらダット、そういう宗教的な奴らって、狂信的な節があったりするから、案外そう見えるのかもしれないぜ?」
「たしかに、否定は・・・できませんね」
どことなく樹木系な感じのする女性的な生物から、困ったようなしぐさをしているなか、入り口方向から、騒音を作りながら近づく影があった。
「って、お前ら!俺を助けろって!だから、いてぇって!!いー加減にしろよラウザ!」
「ヨーコってのとはどういう関係なのよ!!ちゃんと言いなさいよ!!キッド!!」
「だからさっきから言ってるだろ!飲み屋で一度会っただけだって!」
「嘘!」
「嘘じゃねぇって!!」
外からようやくお出ましになった二人だったが、堂々巡りの会話のキャッチボールをしているのだけなのは、よぉくわかった。
そんな騒音を作り出している二つの存在の後方からその場を凍り付かせるかのような存在が近づいてきた。
「騒々しいと思って覗いてみれば、お前か・・・少しは静かにできんのか・・・」
「げぇ・・・師匠・・・」
「こ、こんにちは・・・あ、すいません、」
「あぁ、こんにちは。それと、お前の第一声がソレか、後で詳しいく話を聞くべきか?」
「スイマセン!コンニチハ!!」
そんな二人の後ろから、一人の人物が現れると、周囲の空気がガラリと変わっていた。
ただ、その表情はデスマーチ明けのブラック企業戦士にも負けてない疲労感が表情にも出てきているぐらいで、どこかにストレスを発散させないと、どこかに逝ってしまいそうな雰囲気を感じしてしまっている。
「ん?ああ、アーネストさん、来ていただけたか。病み上がりにご足労をかけて申し訳ない。こちらも事後処理で色々と忙しくて、そちらに見舞いにも行けずに・・・な」
「あ、はい、いえ、気にしてませんので大丈夫です。」
「そう言ってもらえると助かる」
目の前に立っていたのは、たしか・・・えーっと・・・
『狩猟組合の副所長「テオーネ」、アーネスト様を監視されていた対象です。・・・始末しますか?』
それだ!!
って、ヒョウさん、それダメだから!
あと何気に声質が怖い!!
おまけ補足:
主人公が人名を憶えていない理由
各キャラクターの頭上にあるネームプレートでしか名前を識別できません。
ゲーム上の弊害で、いまだその認識が続いています。
※:機械に関しては除く




