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Overfly-type:TAKA

「人払いは済みました。ここならば問題ないかと思います」



 物陰からひょっこり現れたヒョウさんからそう言われた場所は、街の人々が往来する区画から離れては、人気のない工業区画のさらに隅にある開けた空き地とでもいう場所である。



「というか、人払いっていうけど、何かしたの?」

認識障害(ECM)を展開しました。これでしばらくはここに近づくモノはいないかと」



 認識障害(ECM)の展開?・・・あれ?

 その装備って、人払いとかそういう機能があったっけ?


 電波妨害(ジャミング)(おも)だった機能のはずで、生物(ナマモノ)に対しては、そこまでの機能を・・・いや、種族によっては有効だったことは有効だったけれど・・・。


 いやまぁ、今回は呼び出すモノがモノだから、人が来ないのなら好都合だけれども。



 ・・・よし!深く考えるのは置いとくとして!




「さてと、それじゃぁ呼びますか・・・」

「それでは、待機しておきます」



 隣に座り込むヒョウさんをよそに、視界内に表示されるメニュー項目の中からCALLを選択し、次に現れる表記の中から"O-TAKA"を選択する。



 選択されると同時に、目の前の広場に幾何学模様の絵柄が表示されては、下から徐々にそのシルエットが浮かびだしていく。



 その浮かび上がる姿は、一種の猛禽類と呼ばれる形状を金属で表したといえるものであり、曲面ではなく直線的なスタイルで、徐々に浮かび上がっていく。



 そうして一通りの姿が現れると、その背丈は自分の大きさからは一回りだけ小さいくらいだが、はっきりとした青色の身体に金色のくちばし、可変部分から折りたたまれた翼と・・・


 その見た目を簡単に言うならば、合体ロボットアニメーションの背面飛行ユニットに在りそうな猛禽類の(ワシ)ともいえる姿で登場した。



 ただ、これから起きる事に覚悟を完了しなければ・・・と、相手方の出方に細心の注意を払う形で、その鷲の視線の行き先を注力していると、一瞬光ったかと思えば素早い動作でこちらに顔を向け





「あぁら、アーネストちゃん(2nd)!ひっさしぶり~元気してたぁ?」

「え、あ、ハイ・・・元気、してました・・・」




 と、器用に翼を人型における手首のスナップの様に動かしては、しゃがれた女性の声で話しかけてきた。




 *  *  *



 この大鷲の恰好の支援(サポート)ユニット、呼称名「O-TAKA(オ・タカ)



 索敵系を基本にセンサー各種を詰め込んでいったら搭載容量の増加が必要に迫られ、ならばと大型化してみたら思いのほか余剰スペースが確保でき、それならばとさらに色々と(・・・・・・)詰め込んでみようと詰め込んだ支援(サポート)ユニットである。



 ただ・・・詰め込んだ機能を有効活用した結果、その口から放たれる内容が、自分が製作した支援(サポート)ユニットたちの中で、ある意味、一番の"さいきょう(・・・・・)"になってしまったというか何というか・・・





「あらあらあら、元気がないわねぇ~そんなんじゃぁ、立派な主人になれないわよ?」

「ソウ、ですね・・・」

「もう、しっかりしてよね?私の主人でもあるんだから?」

「ア、ハイ・・・」

「ヒョウさんも久しぶり~、ヒョウさんからも何か言ってあげないの?」

「私としては、アーネスト様に仕え続けていられるのならば」

「相変わらず、お堅い性格ねぇ~」

「それが自分ですから」

「そんなんじゃ、かわいい子からモテないわよぉ?」

「自分には、そういうのは結構ですので」

「そんな事ないって、素材がいいんだから、もっとこう柔らかくなってくれてもいいのよ?」

「・・・」

「あぁ!けれど、そんなストイックなヒョウさんも、それはそれで・・・」

「・・・ッ?!」



 あのヒョウさんが、後ずさりしていたりするのは珍しい(・・・)というか・・・


 こちらの事を放っておいては、さらにヒートアップしてはアドバイス(?)を続けては、ヒョウさんを自分好みに・・・もとい、追い詰めていたりする大鷲(オオワシ)風の金属形状的な存在。



 声の設定事態は、ハスキーボイスの女性の声を選択したのは確かなのだが、その口調というか話し方が"コレ"になってしまっていた不具合については、"どうしてこんな風になった・・・"としか言えない。



 そして、その行動も、その口調に添わせるかのように、何事にも首をつっこんできてはお節介を焼こうとしてくるとでもいうか・・・



 いうなれば、近所の知りたがりおばちゃん状態(おばちゃん呼びしたらしたで、大変な目にあうので、口にはしないが・・・)とでもいうか、プライベートも何もあったもんじゃないとでもいうか・・・



 確かに"どんな些細な情報でも収集する"という仕様をつきつめようと機能を充実させていったため、収集行動に関しては間違ってはいないと言えないこともないが、その集めた情報の量の膨大さは、どう考えてみても正当な方法以外、いわゆる覗き見(ピーピング)してるとしか思えないレベルもあるのである。



 そんな情報を一体、何時(いつ)何処(どこ)で、どうやって集めたのかと聞いてみた時、「乙女(・・)の秘密よ」と返され、"あぁ、それ以上深く聞いちゃダメなヤツだ"と判断したものである。



 何せ、自分も知らない自分自身の(・・・・・)情報に加え、知られたくない情報(・・・・・・・・・)すらも"いつの間にか把握している"という、ある意味最凶ともいえる武器(じょうほう)をいつのまにか持っているのである。



 情報戦をやらせたら、ほぼ確実に相手を一方的に蹂躙するぐらいでは?と思えて仕方ないぐらいに・・・



 そうして、ヒョウさんへ自身の"ほとばしる情熱(パッション)"を発散させた存在は、ようやくこちらに話をふってきた




「っと、それでアーネストちゃん?シーちゃんと脳筋工作バカは?」

「えーっと、工作バカは呼んでません。シーの奴は、現在は迷子になってます」

「まぁ、あの(オイル)臭いバカはいいとして、シーちゃんが迷子って・・・地図データはあるんでしょ?」

「いえ、それが、まだそういった正確な地図データが確保されてない場所で・・・」

「えーっと・・・あらぁ?アタシの情報にもないわね。と、いう事は新規開拓星という訳ね?」

「まぁ、そんな感じです・・・」

「やっぱりそうなのね!趣m・・・本業の測量役としてアタシが呼ばれたってわけなのねぇ~腕がなるわぁ~。あ、アタシの場合は翼かしらね?」



 そういっては、再び翼を広げてはいろいろと状態を確認しているようだった。


 ようだったのだが、翼長4m超えの翼を広げられると、ちょっと狭いために当たらないように屈んでは対応したりすると、「あらぁ、ごめんんさいねぇ~ほんと久しぶりだから張り切っちゃって」と、再び手首のスナップを効かせてる姿が見える。



 実際はしてないけど。



 というか、今、趣味っていいかけたよね?絶対・・・

 まぁ、下手にツッコムのは厄介事になりそうなのでやめておくが、それはともかくとして・・・



「なので、シーの奴を空から探してもらえれば・・・」

「えぇ、えぇ、いいわよ~。この際、この惑星の測量もきっちりやっちゃいましょう!」

「いえ、測量(そこ)は"ほどほど"でも、いいかと・・・」

「あ”?未知の惑星をほどほど(・・・・)ですって?」



 放たれる威圧は、完全に惑星測量(ピーピング)の欲望が勝っているのが目に見えてわかるほどに強烈な感情(?)威圧(?)を露わにしていた・・・。



 コレはマズい。



 そんな調査欲?いや、情報欲?とでもいうか、そういうのに火が付いたオタカさんを止めれる自信は自分にはありませんし、もし止めようなどとしたら"O・SE・KKYOU"がくる場合すらある。



 "O・SE・KKYOU"・・・



 あぁ・・・あのゲーム内ログイン時間ほぼ費やすぐらいの長時間正座をさせられ続け、正論に次ぐ正論を叩き込まれながら、まともに聞いていないとわかったとたん知られてたくない情報(クロレキシ)をポロリさせてきては、精神的ににさらに弱らせてくるという・・・なんでリアルの事(・・・・)がポロリできるんですかぁ・・・お見通し(・・・・)って何がですかぁ・・・



 触らぬ神に祟りなし、欲望に火が付いたオタカさんに祟りなし・・・たぶん・・・きっと・・・



 そんな祟り(OSEKKYOU)がくる前に、(あきら)めの極致のごとく問題の先送り&棚上げをし全権委任した方が遥かにマシである。



「いえ、ハイ、全部、お任せしようと、思ってまして・・・」

「でしょでしょ~?このオタカさんに、まっかせなさぁい!完璧なの作ってきてあげるわ~じゃぁ、早速いってくるわね~」



 アナタの言う「完璧(・・)」という言葉ほど、とても恐ろしいモノはないんですが、それを言葉で伝えれる勇気は自分には一切ありません。



 そんなこちらの心境とは関係なく、大きく翼を広げたオタカさんは垂直離陸機(VTOL)すら顔負けする上昇速度であっというまに大空に飛びあがったと思えば、そのまま自分の視覚で見える範囲から消え去るように飛び去っていった。





「行かれましたね・・・街の範囲からも出られましたが、止めなくてよろしかったので?」

「あそこまで感情が高ぶってるオタカさん、静止できると思う?」

「・・・いえ、ほぼ不可能かと」

「だよね・・・」





 何か、災厄の悪魔(まずいそんざい)的なモノを解き放ったのかもしれない。


 そう思いながら、しばらくの間、二人(?)して飛び去った方向の空を見続けるしかなかった。




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