解除
クビ、解雇、ニートになる事。
つまりあれだ、ニートと言うやつに転職・・・じゃなくて!
このまま収入が絶たれ、ただでさえエネルギー確保が食事で行うにしても溜まりにくい為に、数で補うしか無いというこの身体で、今後どうすれば・・・
いや、蓄財があるために当座はしのげるとしても、それはあくまでも当座の事であって・・・
って、まてまてまて、そもそも何で解雇なのか、もしかしたら何かの間違いである可能性があるかもしれない、そんな可能性に賭けてみようと、その"クビ"の意味合いを聞いてみると、
「その、クビと言うのは、どういった事で・・・」
「どの事を"クビ"って言うんだ?解雇は解雇だろうが」
何かの間違いという事は一切なく、やっぱり解雇だった。
賭けに負けたのがはっきりした事で、この身体と長ーいお付き合いするという将来設計図がガラガラと崩壊していく未来が見えてしまう。
ここでの働き口が駄目になるなら、職業案内組合に張り出されている代物、つまりはあのアットホーム的な文書が羅列されている物を選択せざる得なくなるわけで。
ああいう表現を書き出している働き先は、ブラック率が高いという統計があるとかないとか。
ハード的な耐久性があったとしてもメンタル的な耐久性は、たぶん素のままならば期待薄いだろうし、そういう職場は避けたいし、どうしたらいいのか・・・うーん・・・うーん・・・
「親方?もう少しこう、言い方をですね・・・アーネストさんが困ってますよ?」
「なんだ?どこも間違ってねえだろう?」
「ええ、間違ってはいないのですが・・・」
「なら問題無えだろう」
「ハァ・・・相変わらずというか、何というか・・・その件に関しては、私の方から説明をしてもよろしいですよね?」
「ん?」
「説明を任されても、よろしいで・す・よ・ね?」
「お、おぅ、その、きっちり説明してやってくれ」
こちが頭を抱え込んでの悩みをしている余所に、向かい側に座ってる二人が何やら揉め出していたので、顔を上げてみると、助手の方からの冷めた視線を一身に受けている親方が腕を組んでは目をつむっては口を閉ざしているところだった。
そうして、助手の方はこちらへと姿勢を正し「では、簡単に説明をしますね」と、話をし始めてきた。
「先ほど、親方が言われた件について、説明させてもらいますがよろしいでしょうか」
「あっ、はい」
「そうですね・・・まずは、そうなった経緯を順に説明させていただきます」
* * *
「まず、アーネストさんも被害にあわれた、あの船上火災事故の話が少々複雑な形に至りまして、上の方からの通達で"事故調査"という名目により調査が入る形になりました」
「はぁ・・・」
「そして、その調査期間中は港湾工事作業を一旦停止せよという命令が下されました」
「"命令"ですか」
「はい、現場保持も兼ねるとかで」
「あー、なるほど」
それはわからないでもない。
事故などの調査なら、現場の保存とかが必要な話でもあるだろうし、自分が関与した火災の奴にしても、魔物が船内にいたこともあるし・・・
そういえば、3rdキャラクターの時に丘の上から眺めてもいたが、あの燃えた船は少し離れた場所に係留されていたっけか。
それよりも、ああいう魔物(?)モンスター(?)は、どこから船の中に入ったんだ?
天井の搬入扉は閉まってもいたし、通路の方からといっても通れるほどの大きさでもないぐらい結構でかかったよなぁ・・・あの気持ち悪いの。
「アーネストさん?続けてよろしいですか?」
「えっ、あ、はい、どうぞ」
「そのため、港湾課の方では仕事が無い状況で工夫を雇い続ける状況は看過できない。という話になり、契約解除の強制施行という処置が下されました」
「それはまた・・・急すぎる話のような」
「ええ、ほんとに急に決まってしまって、従業員への説明にも四苦八苦しましたよ・・・ええ、ほんとに」
何か、どっと疲れたような顔をする助手の人の雰囲気を察すれば、揉めたのだろうという予想がつく。
こういう強制的な事が起きたら、食い扶持なくす人もいるわけだろうし。
「こちらも、それでは余りにも酷すぎると失業の補填として、役所から追加で補填金を出してもらう形には、話は通しました」
「えっ?解雇なのにいただけるので?」
「ええ、契約内容次第ではありますし、満額でもないですけれど」
とりあえずは、何とかその代金で次の職場が見つかるまで何とかすることは確定か?
次の仕事か・・・この2ndならば、水中系なのでまた似たようなモノがあればいいのだけれども・・・この際、他のキャラクターでもいいか?4thなら建設作業だって何とかなりそうだし。
「それとですね・・・アーネストさんには、別途治療手当が出ます」
「はい?」
「何でも大きな怪我をなされたとか。他にも保険には入られてないという形でしたが、先程の分も含めて、いろいろと手を回しておきましたので、ご安心ください」
「そ、それはどうもありがとうございます」
そういえば、保険云々は入ってなかった記憶がある。
失業保険も出ないし、事故にあった時の保証もなかったが、助手の方がいろいろと手をまわしてくれたらしいのだが、何だろう、こう"やりました"的な笑顔をこちらに向けては来てくれているが、逆らってはいけない人種的な雰囲気をすごく強く感じる。
そんな雰囲気を醸し出している人物のとなりに座ってる親方なんて、視線すら合わそうともせずに腕を組んで未だに目をつぶって・・・って目が合ってしまった。
「そういや嬢ちゃん、その額のクォーツだよな?けっこうなモン付けてるってことは、そんだけの事になったって事でいいのか?」
「え?えぇ、まぁ、そうらしいです。自分でも気が付かないうちに付けられてたというか、何というか・・・」
「物がかなり大きいですよね・・・これならもっと吹っ掛けて置いた方が良かったかもしれませんね」
「吹っ掛けるって・・・お前がやりすぎてしまって役所の奴が泣きついてきたんだぞ。それに、あれ以来、会合に出るたびに担当の上役がワシに愚痴を言ってくる始末ときた」
「いえいえ、あれは後輩に対する先輩からの宿題みたいなものですよ?」
「・・・どの口が言う」
「器物破損という行為を行った現場監督の手、ほどではありませんよ?」
「ハッ」
何かとんでもない事が起きてたんだろうという内容の言葉が聞こえてくる・・・
下手に首を突っ込むと、あとあと厄介なことになるのは目に見えているので、聞かなかったことにしてと・・・
そういえば、解雇になることは変わりないし、次の働き口を聞いてみるのも手か?あのブラック・オブ・ブラック的な職業案内にあった募集よりも、こういった紹介による職の方がマシでもあるし。
よし、ダメもとで聞いてみるか。
「工事が停止になり解雇となるというのは分りました。が、他の雇用口として何か無いでしょうか?」
「そのことについては申し訳ない話なのですが、今の時分では難しいでしょうね」
「だな。工事が再開したなら、こっちでも雇ってやる事はできるんだが、他の港湾課の部署となると経験が物をいうものがあるし人手も間に合ってる、正直、厳しいとしか言えん」
「私の方でも、心当たりは難しいですね・・・」
「当てにしてもらわんでいいなら、ワシの伝手で幾つか当たっとくか?ただ、港湾に関する物じゃぁなくなるぞ?」
「それでも構いません!」
「お、おぅ、わかった。寄合の時にでも聞いとくか」
「よろしくお願いします!」
「お、おぅ・・・」
よし、あのアットホーム的なのは回避できる可能性が出てきた。
これで、将来設計の修正軌道をとっては、この機械の身体と長いお付き合いをするという本筋の目的に寄せることはできたはず。
「話としてはこんなところですかね」
「そうだな、じゃぁ、ワシは会議の集いがあるから出かけるぞ。さっそく聞いといてやれるしな」
「はい、では私は補填金の預り分をとってきますので、アーネストさんはこちらで少々お待ちください」
「そうだ、嬢ちゃんが来たら狩人組合に顔を出してくれと言われていたのを思い出した。とりあえず顔を出しに行ってくれ」
「狩人組合から?」
「おう、そうだ。詳しくは何も聞いてねぇからな、とりあえず伝えたぞ」
そういわれては、自分以外がいなくなってしまった。
一人待たされる恰好になったが、助手の方が再び現れるまで、先程の狩人組合に呼びされるレベルで何かをやらかしたっけ?と記憶をたどっては、修理素材の事か?いやあれは、別に問題なかったはず、じゃぁ、別の事といったら何かあったか?・・・ということを繰り返していた。




