日常(再開?)
今、自分の目の前に、いつものログインの時とは異なる光景が存在していた。
それは、キャラクター選択を行う表示されている"名前の数"が少なくなっている点である。
いつもなら"複数のErnest"と、倉庫キャラクターである"Michael"と"Robert"が表示されていたはずなのだが、今目の前に浮かび上がっている名前の数は、倉庫キャラの名前の数はそのままに"Ernest"の名称が一つしかない状態であった。
なぜ一つ?これは一体どういう・・・?
そもそも、こういう事ができる犯人は一人しか思い浮かばない。
こちらが知らない間に、何かしらの事をやっていた可能性が否定できない。
なにしろ、祭壇らしき台座に生首を置いていたぐらいだ。
いろいろと考えを巡らせてみたが、一向に結論がでないままに時間が過去り、右下の部分に表示されている時計の表示が7:10を回りはじめていた。
って、復帰初日で遅刻とか、シャレにならんだろ。
その時計の表示に気づいては、生活費を稼ぐために職場復帰をする初日に遅刻をする訳にもいかないと、いろいろな懸念事項はいったん棚上げし、張本人を後から問い詰めるとして、"Ernest"を選択する意識を持つ・・・
そうすると、こんどは見慣れたログイン表現的な映像が視界に流れ込んだ後に、視界に映し出されていたのは、あの改装された部屋を視界にいれていた。
軽く機体の情報データを確認すると2ndの物を指し示し、見える範囲にある手甲に脚部のユニットなども、昨晩からは何も変わりばえもせずにいるという状況を表示している事に、少しほっとした自分がいたが、それと同時に、こだわりぬいた1stキャラはどうしたのかといらんことSに問い詰める案件が一つ増えたなと思いつつ、早速問い詰めようとあいつSがいつもいるポジションに目をやってみたが・・・存在していない。
いつもなら、シーツの上から中から2ndの身体にある谷間に埋もれ、起きた上がった拍子に地面へと転げ落としていたりするのだが、そういえば今朝に限ってはその存在の気配すらなかった。
そして、なぜ居ないんだ?と記憶をたどっては、置き忘れた記録を手繰り寄せることに成功し、
あー、こりゃぁ仕事に向かう前に、拾いに行かなきゃまずいか・・・
と、予定を変更する事を余儀なくされた折、通信から聞きなれた音声が入ってきた。
『おはようございます。アーネスト様』
『ああ、おはよう』
『どうやらシー殿は昨晩のうちに帰ってはこられなかった模様です』
『そうみたいだな』
『どう致しましょう、ワタシが探しにいきましょうか?』
『いや、仕事にいく途中で覗いてみるから、いつも通りでいいんじゃない?』
『わかりました。では、いつも通りとさせていただきます』
なんというか、ヒョウさんの存在というのがここ最近、何気に安心感がすごく高くなっているのは何故気のせいなのだろうか
* * *
置き忘れた荷物Sを拾う時間を考えると、時間も時間なために急ぎ身支度を整え、かき込むように朝食を済ませては宿を後にする。
ついでに、活発少女にジャンクSがいそうな場所を当たってみるとは説明し、行き違いになる可能性も考えて、もし帰ってきたのならば勝手に出ていくなと言っていたと言伝をしておく。
そうして、ジャンクSを寝かせた場所を覗いてみるも、その存在はすでにその場にはなく、MAP上での反応も、近くにいる様子も見受けられず、とりあえずはと近くの屋台屋に
「ここにこんぐらいで、こんな感じの子供ぐらいで、
でっかいリボンとかしてる子みませんでしたか?」
「来たかッ・・・って、えっ?リボンの子?そんな子を見た事ない・・な・・・
ああ、見てない、見てないな」
「そうですか、どうも」
「(ふぅ・・・俺んとこじゃなかったのだな・・・)」
「ここにこんぐらいで、こんな感じの子供ぐらいで、
でっかいリボンとかしてる子みませんでしたか?」
「み、見てない、俺はしらんぞ、俺は。す、すまんが他行ってくれ、他へ」
「えっ?あっ、はい・・・」
「(もう来ないでくれ・・・今日は来ないでくれ・・・今日は来ないで・・・)」
「ここにこんぐらいで、こんな感じの子供ぐらいで、
でっかいリボンとかしてる子みませんでしたか?」
「えっ?!お、俺の店にッ・・・?えっ?なに?女の子?
さ、さぁ・・・気づきもしなかったな・・・」
「そうですか、どうも」
「(食ってかない・・・のか?昨日の今日で助かったが・・・)」
などなど、知らないという回答のオンパレードだった。
ただ、全員何か隠し事?してそうな、怯えてる様な雰囲気なのが気にはなるが、嘘をついているとも思えなかった。
知らないのなら仕方ないと思いつつ、寄り道する時間的な余裕が無くなってきたが、|変態S≪シー≫が簡単にくたばったり、人さらいにさらわれようとなっても、自力で何とかしてそうな事が容易に想像ができるがために、心配しても損だろうと割り切っては、仕事場へと向かうことにした。
* * *
「到着っと・・・なんか懐かしいな・・・」
そうして何事もなく到着した仕事場だった、のだが人の気配が少ない。
MAPに表示されている人数が自分の知っている人数以下であり、港湾内にうかんでいるはずの作業艇も、ほんの数隻しか見受けられなかった。
いつもなら、作業艇がひっきりなしに行ったり来たりしていたりするし、向こう側の港に停泊してたりする貨物船に対して、何かしらの作業艇がうろうろしていたりもするのだが、それすらも見当たらない、静かな海といった感じだった。
「もしかして、休日?」と思いつつも、事務所の方には人がいることが確認もできてるので、そういうわけでもなさそうである。
その事務所の中の反応に、親方と助手という二人もいることが確認できたので、とりあえずは、あいさつとしばらく休んでいた事に対して謝りを入れようと事務所へと向かった。
「どうも、お久しぶりです」
「ようやく来たか・・・嬢ちゃん」
「いやぁ、お久しぶりですね、アーネストさん。二週間ぶり?といったとこでしょうか」
「あ、はい、そうなりますね」
「その、連絡も無かったのですが何かありましたか?」
「え、まぁ、そのとりあえずは、身体が元に戻ったというか、動かせれる様になったというか、
ところで、今日は休日なんでしょうか?人が少ないような」
「あぁ・・・まぁ、そのことでちょっとお話があるので、こちらへ・・・」
挨拶から始まり、助手の人とのたわいもない会話が続き、助手と親方に誘われるままに応接室に通される。
席を進める助手の人に促されるままに、席に座ると、同じように座り込んだ親方から、上から下へ、下から上へと視線をめぐらしては観察され、その後に出てきた言葉が・・・
「嬢ちゃん、解雇だ」
「・・・えっ?」




