臭?匂?
一向に起きる気配のない眠り人形Sを背負う格好で、長い間留守にしていた宿へと向かうべくオンボロ小屋から街中へと、その生物が作り出す生活空間へと入った頃合いから、どこかしらかこちらに何かしら感情を含めて注がれている‥‥‥気がする。
注がれている、という表現が正しいのかは分からないが、念のためにと周囲レーダーにて確認してみたのだが、そこに映し出されるのは生物の雑多に入り乱れている感応があるだけで、この感応がそうだという事もないのだが、なんとなくという感じで、見られているという感じがヒシヒシとしていきている。
本当に何なのか?と足を止めては、背中の荷物Sを背負いなおす仕草をしながら、その気がする方へと視線を向けてみたりしてみるが、向いた先には何事もなく生物たちが普通に生活している景色しか見られないままであり、その感覚がいったん消え去っていたりする始末。
そうして、再び歩き出すとやはりどこからか見られているという感じがより一層と強くなっていき、気のせい・・・ではないんだろうけど、ほんと一体全体何なんだろうか。
『アーネスト様、何かお気になられるモノがある様でしたら対処いたしますが?』
『え?あ、いや、そこまでは必要無い…です・・・ハイ』
『そう、ですか・・・わかりました。何かありましたら、お声をおかけください』
『ア、ハイ・・・』
唐突にこちらの思惑を感じ取ったのか、かなり危なさそうな発言をいれてくるヒョウさんを止める形にすると、哀愁を感じてしまうぐらいの言葉をしり目に、再び歩を進めていると
「ゆーろすさまと、おなじにおいがする・・・」
「ん?」
唐突に足元の方から聞こえた声に驚きつつも、その声の方へと視線を下げると向けると腰当たりに小さな生物が、こちらのコートをつかみながらそう見上げていた。
その見た目は猫?いや、猫にしては耳が大きいような・・・ウサギ?にしてはそんなに大きくもたれてもいない耳をもった、そんな自身の腰当たりまでしかない小さな生物が、その小さな手で外套をつかんで何かしら鼻をスンスンとひくつかせて見上げていた。
「えーっと・・・?」
「?」
こちらの問いかけ気づいたのか、見上げる様にこちらに顔をむけてはくるが、その表情には?マークが浮かんでいそうな疑問を持っている表情をなげかけてきては、再び目を閉じては鼻を引くつかせ
「やっぱり、ゆーろすさまとおなじにおいがする・・・」
と、ふたたびギュっという感じで外套を強く握りしめていた。
そういえば、ガキんちょが一人だけというのは、おかしい。
以前だと、この状況からワラワラと小さな生物集団が集まってきては、自身の身体を登ってきたりする小さな生物までいたのだが、そんな気配を感じることも無く・・・って、あぁ、キャラクター違うんだっけか。
その小さな生物の背後から走り寄ってくる別の小さな生物は、先ほどの捕まえていた小さな生物の腕を奪う様にしてはいるが、強く握られたその小さな手が離れそうになる事はなかった
「バ、バカッ!その人エモノじゃないだろ!」
「エモノ?」
「えっ?あ、いや?な、なんでもないです!ほら、いくぞ!!」
「え?けど、ごはんまだ・・・もらってない・・・」
「ごはん?」
「えっ?違いますから!というかエル!この人じゃないから!」
「においはいっしょだよ?ゆーろすさまだよ?」
「どうみても違うだろ!」
「いっしょだよっ!いっしょだもん!!」
涙声になりながらさらに強く握りこむ長耳と、それを無理にでも引きはがそうとしてくる子供の何かしら下の方での論争が始まり、そんな様子を周囲の生物たちからなんとも言えない視線が向けられ・・・って、なんで自分にも向けられるのか。
「ぜんぜん違うだろ!!」
「いっしょだもん!いっしょだからいっしょなんだもん!!」
子供の方がこちらの顔へ指さしては、違うという事を主張しているが、長耳の方は方で主張を撤回することも無い。
そして、そんな無限にも続くやりとりがしばらく続いており、周囲からの視線といえば、痛い物を見る物と、どうでもいいという感じになっていったりとしていた。
というか、埒が明かないとはこの事を言うのだろうか、お互いの主張は延々と平行線をたどっている状況。しかも、長耳は泣きながら主張してるという始末である。
正直離れたいのだが、長耳がしっかりと捕まえてきている為と、こんな状況になってしまってる状態で、無下に振りほどいていく度胸なんてものは持ち得ていない。
何か打開策は無いか?と、画面に表示されているゲージを確認しては思いついた事を実行してみる。
「い˝っし˝ょだも˝ん˝ん˝ん˝!!!」
「違うったら違う!!」
「あ、あー、ちょっといいか?」
「えっ?オ、オレらまだ何もしてねーぞ!!」
「グズッ・・・い˝っし˝ょだも˝ん˝・・・」
それでも、しがみついてついには外套に鼻水やら涙をこすりつけ始めている長耳を引きはがそうとはしていたが、こちらが屈みこんで小さな生物へと向き合うと、警戒をあらわに身を引きながら警戒してきた。
「その、ユーロス?って奴の事を聞きたいんだが」
「えっ?」
「ゆ˝ーろ˝す˝さ˝ま˝の˝・・・こ˝と˝?」
「え、あ、うんそう、そのユーロス?って人の事」
「なんで知らないんだよ、ここらじゃ普通に知ってる人だぞ?」
警戒を強くしてくた子供は、こちらをジッと観察するかの様に、さらに訝しんできていたが、こちらとしては、そのユーロスなる犯罪者の事はサッパリ知らないが、この子供は知ってて当たり前的な風に返されてしまっていた。
こちらは知らない。
なにせついこの間冤罪をかぶせられそうになった奴である。
どういった事を行った人物なのかを知っておくべきだろうと思った次第でもあるし‥‥‥
「知らないな。なにせ別のトコから来たからな、そういう類の話は知らないな」
「本当・・・なのか?」
「嘘なんて言ってない。あ、そうだ、こっちも腹が減ってるから、情報料として飯ぐらいおごってやるぞ?」
「ごはん・・・?!」
「飯・・・」
ついでとばかりに、復活した2ndキャラでの食料を経口摂取を試みなくてはならない。
もう、あの味も減ったくれもない精神的苦痛でしかないエネルギー補給だけは何としても全力回避したいのである。
まぁ、こちらの思惑とは関係なく、いつもの様に飯食わせておけば、勝手に消えていくだろうという考えなだけなのだが。
そんな提案を出したのち、違う違うと言い争っていた子供の方はといえば、チラリと長耳をみやっては今度は周囲を見ては、再びこちらに向き直ると
「じょ、情報料なら、もっと貰えないか・・・?」
「なら、ここ最近の話も含めてというのなら、お前ら全員分ぐらいは見てやるぞ」
「全員・・・本当か?!本当なんだな!!みんなの分ももらえるんだな?!」
レーダーに点在している反応は、十数人。
まぁ、確実にこの子供のグループか何かの集団だと分かるし、以前もそういう集団にたかられてた事もあるから知っている。
映し出されて点在する人数分の代金ぐらいは、現状では問題なく賄えるはずである。
「あぁ、かまわんぞ?ただし、ちゃんとした情報に限るからな?」
「わかってるよ!」
そう言っては子供の方は口に指を突っ込んだかと思えば"ピィーー!!"と指笛を鳴らすと、どこからかも同じような笛の音が聞こえ、それを繰り返すかのように遠くまで鳴り響かせていた。
そうすると、路地隙間から出るわ出るわ身なりが宜しくない小さな生物たちが・・・ってぇ、ちょっとまて
先ほどのレーダー反応範囲外から、突如としてこちらに来てるのが増え続けて・・・
って、さっきまでの十数人から、数十人にふえてないか?お、おぃぃ?
「みんなの分、ちゃんとたのむぜ?でっかいねーちゃん!」
「お、おぅ・・・」
先ほどまで言い争っていたのはどこ吹く風という風に、すごいしたり顔でこちらを見てくる子供と、その後ろには似たり寄ったりな格好をしている集団が、こちらを珍しいものを見るような視線を幾重も向けられながら集まっていた・・・




