迎
人気の少なそうな少し広い広場(?)に降り立っては、その飛行ユニットの翼を収納する。
そうして、ここ最近執拗に襲ってくる生物たちに見つからないよう、その降り立った広間から、そろりそろりと移動しようとした途端、
「ゆーろすさまみつけたー!」
その一声が響いたかと思えば、どこからともなく集まってくる小さな生物たち、それらはあれよあれよという間に集まってきては、べたべたと身体をさわってきたり、ぶらさがってきたりと好き勝手な行動をってきていた。
仕舞いにはベタベタからガンガンという恰好になっていき、ついには助走をつけては突撃しては飛び乗ってくる小さな生物もいたりしていた。
結果、腰回りに装着している浮遊ユニットに乗っていたり、背面の飛行ユニットに乗っていたり、しまいにはどこぞのユーカリの葉が主食になっている獣の如く両腕の兵装部にへばり付いてきたりと、そんな玩具にされてる感がありありと感じてはいたが、移動する事にはなんら影響を及ぼさないので、振りほどく必要もないままに、とりあえず目的地まで普通に歩いて移動を開始していった。
そうして、その目的地へと到着する頃には、自身の後ろには何故か集団一行ができていたりする始末である。
「相変わらず、すごい行列だな」
目的地にある一角の掘っ立て小屋的な建物から、そう呆れるような感じで声を掛かけて近づいてきたのは、パッと見た目はどこぞの香具師か?と思わせる、そんなゴロツキと言っても支障がない恰好の生物だった。
「そう思うなら、何とかしてくれ」
そう伝えては倉庫から取り出した金貨を1枚握らせてやると、その呆れる表情をしていたゴロツキ生物は、その小さな生物集団の前に立ちはだかったかと思えば、
「よーし坊主ども、ちゃんとそれぞれに一列に並べよ?今から旨い物食わせてやるからな」
「「「「はーい!」」」」
と、元気のよい返事と共に、それぞれの屋台へと列を成して並んでいった。
「割り込んだ奴には、サービスしないからな?ちゃんと守れよ!」
「手慣れてるな」
「ん?まぁな・・・」
小さな生物は、そのゴロツキ生物の指示に従うかの様に、それぞれの店舗へと列を作っては並び始め、そうして指示をだしたゴロツキ生物はといえば、自身の隣に立っては、その並んでいる小汚いともいえる小さな生物たちを、どことなく懐かしそうに見やっていた。
「オレもああいう時があったからな‥‥‥」
「なるほど」
「それと、旦那には助けられたからな。最近グーラが来なくなってな。グーラが来ることを前提にしてたバカ野郎の店の売り上げが危なかったからな、あんたのお陰で多少なりともその被害が収まって生活もできるってもんだ、だから多少の面倒ごとはみてやるさ。ま、少なからず廃棄品にならないように、っていう魂胆もあるけどな」
"グーラ"というのは、何でも大食いの巨人族らしく、いつもこの屋台街の売り上げに貢献していた存在との事であった。
それがなんでも、その"グーラ"は狩人らしく、仕事内容によっては他の町にでも移動したのか、ここ最近めっきり見なくなったという事で、来ることを想定していた仕入れた分の処理に大変だったそうだ。
そんな中、小さな生物に玩具にされてしまっていた自分が、ちょうどココに来ていた時に、小さな生物たちの意識を別の方向に向けさせようと食べ物で釣ってみた行為が、そのグーラとかいう巨人族の穴埋めになったという。
まぁ、そのおかげなのか、味をしめた小さな生物たちからは、隙あらばと人海戦術で襲われやすくなってはしまったが・・・
「それで、この前言ってた新しい商品っていうのは?」
「おう、コレだ」
そう言っては渡された紙包み。
中を覗いてみれば、結構な量のひき肉を固めて焼いた風な塊が…‥‥
って、これはいわゆるハンバーグ?もどき?
「下町で有名な宿屋で出始めた奴を真似てみたんだが、これが中々に良くてな、固い肉を使えるから元手が安く済むという所が優れてて、まぁ、その分、潰す労力がとてつもなかったけどな」
してやったり、というような表情で説明をしてくるゴロツキ生物。
道具がなければ包丁で叩き潰し続けるとかになるだろう、そりゃ大変だったろうなぁ、と、ゴロツキ生物が、そんな行為をしている内容を想像してみると、少々どころかとてつもなく違和感というものが仕事してくれない印象に陥ってしまう。
なにせ、見た目モヒカン風な髪形のゴロツキ生物が、両手に包丁もって肉をミンチにしている姿とか‥‥‥あまりにも、世紀が末の世界観にマッチしすぎてて‥‥‥
「そ、そうなのか‥‥‥」
「おう、結構たいへんだったんだぜ?ま、それはまだ試作品だからな、感想を聞かせてくれよ?って、こら、そこ!喧嘩するなら次からはねーぞ!!」
違和感が仕事をしてくれない事に、言葉を詰まらせながらも流して置き、そのゴロツキ生物といえば、屋台街の広間で喧嘩を始めようとしていた小さな生物たちの仲裁へと向かっていった。
そんなゴロツキ生物を見送った後、受け取った包み紙を倉庫へしまい込むと、その欄の説明に"ハンバーグ(?)が入っている包み紙"とか記載されていたりするのは、どういう基準や方法でそうなっているのかが、いまだによくわからない仕様だなぁ‥‥‥と思いつつも、次なる目的地へと向かうため、その場を離れていった。
* * *
「旦那、いつもので?」
いつもの店へと赴いては、いつもの入口から見えにくい隅にある席に座り込み、いつもの状態になった代物を、いつもの代金を払って受け取る。
"いつもの"と言ってもたかだか三日続けてという話なのだが、何故か覚えられてしまっていた。
そうして、受け取った瓶の中にあるのは白い液体。
二、三日、色々試した結果、ようやくたどり着いた食べる事以外で「マシ」な代物がコレだった。
粘度は特になくほぼ液体に近い状態であり、飲料物としてもソコソコの代物でありながらも栄養価が高いためか、エネルギー補給としても"悪くはない"という代物だった。
当初は「身体が錆びちまう」という迷言?を思い出しては戸惑っていたが、潮風を思いっきり浴びてる状態にいまさらだろうにと、腹をくくって見つけたのである。
見つけたのではあるけれど、いざ実行しては体内に供給してみれば、何とも言えない不快感を醸し出してくる事は変わらなかったのだが‥‥‥
「おーい、みんなー、ユーロス様は今日もミルクだとさ!」
「たまには酒でも飲んでくださいよー」
「英雄様はお酒飲めないんでちゅかー」
「「ギャハハハッハ」」
そんな声が、昔ながらとでもいうバー的な酒場の背後に設置されている場所から、生物たちの声が聞こえてはくるが、実際にアルコール成分を接種してみても、あまり回復につながる様な代物でもなかったが為と、費用対効果がよろしくなかった。
そういえば、いつからか自身の事を"ユーロス"と呼んでくる生物が多かった。
物のついでと、その名について店主に聞いてみたら、何でもそのユーロスとかいう騎士の姿にそっくりだからと、そういう事でそう呼ばれ始めているのだろうといわれていた。
まぁその騎士というのが、絵本的な物語に出てくる存在で、そういう恰好を真似ている生物にも、そういう渾名をつけていたりするものらしい。
「そういうのが他にもいるのか‥‥‥」
「たまに、そういう英雄譚にあやかろうとしてる人はいるみたいですけどね、特に鳥人族とかの若い世代は、その空の騎士にあこがれる傾向が強いとは聞いています」
「へぇ・・・」
背後の野次を無視しながら、精神的苦痛と格闘しながらも白い液体をゆっくりとではあるが、処理し続けていく。
「お客様は、そういう感じではない、ですね」
「何故にそう思う?」
店主の視線が、後ろで馬鹿笑いしながら楽しんでいる集団に向けられたかと思えば「ああいう物事に動じてらっしゃらない事から、慣れているという点で」と小声でそう伝えてきては、「ごゆっくり」という恰好で、他の顧客の対応へと移動していった。
いや、本音を言えば、ただ単純に相手するのがメンドクサイだけなんだがな。
* * *
そうして、喧騒としている酒場の中でようやく半分ぐらいにまで白い液体の処理ができた頃合いに、酒場の入口の方から、喧噪としてる酒場の中に入り込んでくる集団があった。
その姿は、統一された鎧甲冑衣装を纏っているという形であり、警邏とはまた違った上品な印象を与えてくるといった感じであった。
「いらっしゃいませ、何名様でしょうか?」
そんな集団に対して店長は、営業的な表情で対応を始めるが
「すまない客ではなく、人を探していてな」
その上品な恰好をしている集団の中から、さらにひときわ雰囲気が違うという感じの人物が、店長に対して謝罪を込めた会話をし始めながら、周囲を確認するように中へと入ってきては、ふと、こちらと視線が合わさったかと思えば
「おぉユーロス殿、こちらにおられましたか、探しましたぞ?お迎えに参りました、こちらへ」
そのさらに雰囲気が違う生物が合図をするかの様な身体の動きをしたかと思えば、残っていた同じ集団たちは、酒場の中にまるで道を作る様に、自身を起点とするかのように整列をしており‥‥‥
‥‥‥って、ハイ?




