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無為徒食(は避けたい)

「暇だ」



 やることが無い時、つぶやく言葉はこういうモノしかないのだろうか。


 ヤンデルS(シー)から探して欲しいと頼まれた生体素材の代替品に関しては、狩人組合ハンターギルドの赤髪が何かしらの責任問題と言っては、折れる素振りもいっさいなくそのまま請け負う形になってしまい、また、その生体素材の仕入れにかかる日数が約一週間を待つだけになったのだが‥‥‥



「暇である‥‥‥」



 港湾職場への連絡も、赤髪が行うという事で話がついていたりする。

 なんでも、災害事故による療養という形で休職状態にできるとか何とか。


 ただ、職安組合(ギルド)に会費を払っていない為に、そちらの組合からの治療費は下りないだろうとは言われてしまった。

 が、まぁ、そこらは金銭的にも困ってもいないのであまり気にもならない。



「やる事が無さすぎる‥‥‥」



 ふと、職場に顔を出すべきだろうか?と思ったりしたが、2ndではない恰好で赴いたらどうなってしまうのだろうか?と、考えてはみたものの、同一人物(なかみがいっしょ)という事を説明するのがとてもとても面倒になりそうな結果が浮かび上がっていた。


 それに加え、請け負っている仕事を続けようとしたとしても、仕事にならないのは予想できる。


 なにせ、まともな遊泳能力を有しているのは2ndキャラのみであり、水中に対応できる各種レーダーなどの測定装置一式も2ndキャラしか充実していない。


 他のキャラでは、"潜水"はできない事はないのだが"遊泳"という意味ではまず無理であり、なぜなら他のキャラクターであれば"海底を歩く事"にしかならないからである。



 ゲーム時代に1stキャラでやってはみたが、周りの生物(ナマモノ)たちが上(海面ともいう)で泳いでいたりする中、自身は陽の光が届いている海底をゆっくりと闊歩しているだけという、何とも言えない虚しさを感じたものである。



 そうして、最初に降り立った高台の場所から"ボケー"と眺めているだけである。

 眼下に見えるは、街の一望でき、湾内で小舟が行き来している。


 あの火災が発生した貨物船も、専用の波止場に接岸されては、常に誰かしらが乗り降りや荷下ろしなどされているのが望遠状態でも確認できていた。




「だからといって、小屋に戻るのもなぁ‥‥‥」



 ふと、あの小屋の中での出来事を思い出してみる。


 今現在、あの小屋にはヤンデルS(シー)が実質占拠しており、その部屋の暗さと手元の光を受けている姿、そしてその光のたもとには、生首と手足が部品と化して寝かされている状態、そうして、その胴体部分も、いわゆるメカバレ状態ではあるものの形にはなってきた存在(モノ)があるという。


 そうして、一度手を止めたかと思えば、その置かれてある生首やら手足やらと手で撫でまわる様に触っては、そのまま顔へともっていき頬ずりを開始したかと思えば、二ヘラと薄気味悪い笑顔を作っては「シーが必ず元に戻して見せます‥‥‥必ず‥‥‥ウフフフ‥‥‥」という言葉を放っている姿をみてからは‥‥‥



 扉があるのならば、見なかった事にして、そっと扉を閉めたいと思えるぐらいである。



 その光景は、誰もがどこからどう見ても独特すぎる世界観を作り上げている状態で、とてもとても長い時間、お近づきにもなりたくない空間を作り上げていた。


 そのため、その空間には極力入る事を避け・・・いや、その世界を作り上げている存在に配慮しては、その空間から退避している状態であった。



「胴体も形にはなっていたし、後は繋げれば動かせれるのでは‥‥‥?」



 そもそも、メカバレ状態でも動かせれるのではなかろうか?

 というか、その状態で動かしても問題ないのではなかろうか?

 とにもかくにも早く動かしたいという衝動に駆られたりもした。


 早急に動かしたいという衝動に駆られている理由としては、暇をつぶすために周囲の地理はどうなってるのか?と、高高度へと飛んで見ようと試みたが、その結果が網羅する前にエネルギー消費量が目に見えて減っている事に気づいたときは慌てて急降下したものである。


 そうして、急遽補給できる方法を街中で模索してみた結果、1stの様に孔が出てくるわけでもなく、隙間になっている部分から吸引する行為しかできないときており、液体では埒があかないと思っては、固形物をつぶしたものでやってみたら、それはとても言葉で表現するには烏滸がましいとくぐらいに不味かった。


 その不味さは味以外にも含まれており、いろんな意味で自身の精神的汚染‥‥‥いや、苦痛を再び呼び起こしてくるには十二分すぎた。

 けれども、取らなければ減る一方であるが為に、苦痛を感じながらも対応していた結果、



 下手に動くとエネルギーが消費され、

 その消費されたエネルギー補給には、不快指数を振り切るぐらいの気持ち悪さ

 その経験を少しでもしたく無いのならば、エネルギー消費を抑える為に動かない。



 という、マイナスすぎるスパイラルを発生している状態である。



 そんな負のスパイラルを脱出する為には、やはり2ndの経口摂取が行える性能が必要になる訳で、もう顔とか大丈夫やん?いけるやん?メカバレ?服とかで隠しておけばええやん?



 と、催促を促してみたものの、修理に明け暮れている人から、魂の叫びとも言うぐらいの「どれだけ素晴らしいモノでも、中途半端なお姿で世に出すわけには!」「好きに直してもとおっしゃられました!」という論法で言われ続けられる羽目になってしまっては、反論する気というものが、その圧力に押されるかの如くに撤退を余儀なくさせられていた。




「暇だ‥‥‥」



 再びつぶやくこの言葉

 何かできる事があるのかと考えては、やっぱり何もしない方がよいんじゃないか?という結論を導き出す思考を繰り返す日々。



 ゲームの時ならいったんログアウトして、リキャストタイムなりを別ゲーなりで対応していけるのに、そういう事すらできない状況がなんともはや‥‥‥


 ならばと、スリープモードを試みたが、何故か日が出ている最中はスリープモードが働かないと来ている。



「はぁ‥‥‥あと二日もあるのか‥‥‥」



 表示されている日時を確認しても、どこからどうみても約束の日まであと二日残っている事を示している。

 こんな状況があと数日も続くという事にため息を現した音声しか出ない、何もできないまま省エネモードと称しては、ほとんどの機能を無効化しては、座ったまま佇んでいるだけという状況を作るしかなかった。



 そんな無気力を全力で過ごしている状態でも、エネルギーは少なからず消費されていくものである。

 そんなゲージの減り具合を確認しながら、



「はぁ、そろそろ買い出しに行くか‥‥‥」



 そういっては、最小限の消費量で移動するが為に、その翼を大きく広げては滑空モードで、見下ろしていた港町の広間目がけ飛び降りていった。




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