狂
「助けていただき、ありがとうございます」
「え?えぇ‥‥‥っと‥‥‥」
こちらの思考が一時停止している間にも、赤髪からは礼の言葉が伝えれたことによって、再起動する事に成功する事はしたのだが、正直何が起きているのかがわからない。
もしかしたらアレか?幻術的な何かが未だ発生し続けているが為に、頓珍漢な言葉を発しているだけなのだろうか?
「そのアレだ。大丈夫だったかな?」
「はい、おかげさまで」
「‥‥‥」
気圧されて出てきた言葉がそれというのも問題だが、その後に続く会話が出てこない。
何、コレ。何かの罰ゲームか何か?
「そろそろ立ってくれても」
「それほどまでの"光"を放たれている、御使い様に対して‥‥‥」
「‥‥‥光?」
光って‥‥‥何?と思いつつも、首を後ろに向けてみると、腰部の浮遊ユニットからではなく、背部に接続してある飛行ユニットから、何かが漏れあふれ出ているのか、何かが放出され続け続けている恰好であり、視界が少しぼやけるという状況を作り出していた。
って、コレか!!
慌ててモニター画面を確認するに、警報レベルの表示だけで駆動には影響がないという事を示しており、何に普通に動きそうなので気にしてはいなかったが、こんな症状になっていたとは。
そういえば、慣性無視回避を久方ぶりに行った時に、思いっきり壁にぶち当ててもいたし、その後は表現を憚りたい代物に包み込まれた時にも、締め付け的な圧迫も受けては粘液まみれになっていた事を心の引き出しから唐突に放たれる恰好でフラッシュバックされ‥‥‥
よし、忘れよう。
自身には影響はないだろうが、目の前にいる赤髪には影響がありそうなため、急ぎ機能を完全停止させては赤髪と向き直る。
あのフライトユニットを使うときは、上空で高速移動を行うときぐらいしか使わないし、それ以外だとフロートユニットの方が融通が利きやすく、最後に使ったといえば、開拓惑星に点在する拠点間を移動する為に、長距離フライトを敢行するときぐらいしか使っていない代物であったために、今のところは使用することもない。
「とりあえず、その光は止めたから、立って貰っても大丈夫」
「よろしいので?」
「よろしいから」
「では‥‥‥」
ようやくお互いが正面に向き合う形でその赤髪の表情を確認とれたのだが、視線がこちらを見ているようで、見ていないというか、それぐらいに何か動揺をしているとでもいった感じというのだろうか。
とりあえず、言われた事を思い出しては、その状況を確認する
「それで、"幻魔術"というのは、まだ続いていたりする?」
「"幻魔術"をお気づきですか。どうやら知合いが上手く原因を取り除いた様で」
「となると、さっきのアレがそうだったのか」
「さっきのアレ?…‥‥あぁ、アレ…‥アレ…‥‥」
顔色が急に悪くなる、というのを初めて見たが、いきなり肩に手を置いては身震いし始める赤髪、たしかにあの見た目と動きだと、嫌悪感がとてつもなかったんだろうなと、そんな代物に捕ま…‥‥
そういえば飛行ユニットのノズルにもこう、何かが入りこんできていたような‥‥‥
なんだろう、お婿に逝けない身体にされた気がしない‥‥‥
ってぇ、何ふたたび心の引き出し開けようとするのか。
もう終わった事・・・そう終わった事・・・
その巨大生物はいない、いないのである。
「落ち着いて、いいから落ち着いて、アレはもう居ないから」
「そ、そうでした。はい、ユーロス様に討伐されておられましたね」
その対象がいない事を伝えて落ち着かせようとしてみたら、何か聞きなれない固有名詞が出てきた
「ユーロス……様?」
「はい、御使い様の名で「ギさまカァ!!キザマガぁ」」
「何だ!?」
突然、横合いから聞こえてきた大きな叫び声と共に、抜き身の剣を携えた白鎧が一人、焦点をふらつかせながらこちらに向かって来ては、その手に持っていた貫き身の剣を大きく振り上げて斬りつけてきた。
つい反射的に赤髪を手で押しやってから回避挙動を発動して、その一撃は空を切る恰好で木製の貨物へ振り下ろされては、その木製の貨物に引っ掛かる、と思っていたら
「えっ?」
その突き刺さると思った刃は、まるでやわらかいものを斬るかの様に、そのまま最後まで振り切られて、その振り切られた貨物といえば、その余韻が残っていたのか、船の揺れの影響を受けてか、きれいな形で滑り崩れていっては、その中身をあらわにさせていた。
その行為を行っていた対象といえば、その表情という表情がどういったものかが一切わからない、なにしろ涙と鼻水にまみれており、そして口からも泡を吹き出し、どう見ても正常ではない。
一言で言えば、狂人とでも言った方が速いのだろうか。
狂人の動きを確認しようと身構えていると、今度はその場に立ち尽くして「アァァァ!kz@あmvぜ・たz」と、何を言っているのかがわからない雄たけびを上げる。
その雄たけびと共にその足元には、その狂人からが漏れ出された液体がその場を染め上げていった。
その場で、佇んでは叫び声を上げるだけ上げたかと思えば、今度は粗相をした事にすら気に留める事もなく、首が倒れ込む形と共にその焦点が合わない視線がこちらに向けられると、再び抜き身の剣が迫って来ようとしていた。
接近戦は得意じゃ・・・
そう愚痴りがこぼれながらも、咄嗟に突剣を手にかけては
「雷剣」
「ア"ア"ア"アアァァァァァァァァァ!!」
目の前に迫っていたその狂人は、その場でエビ反りの様な姿を一瞬したかと思えば、水蒸気を上げてはその場に崩れ落ちる様に倒れ込んでいき、その先には、黄色とも青紫ともいえる剣を手にした赤髪が立っては、その狂人を見下ろしていた。
「ご無事で?」
「大丈夫だが、やった・・・のか?」
「いえ、気を失わせただけです」
そういっては、その手に持っていた剣を消し去っては狂人の状況を確認している赤髪は何かしらの検証を行ってはいたが、その検証が一息ついたのか、再びこちらへと向き直り
「一つ、お伺いしてもよろしいでしょうか?その剣をどこで?」
そういわれ、咄嗟に抜き出していた突剣に一瞬視線を向けては、ふたたびこちらへと向き直る
「途中、拾って持ってきた代物だが‥‥‥」
「その持ち主がどうなったかは?」
持ち主って、結局は自分だけれども、一応は2ndキャラなんだよな。
正直に状況を伝えた方が速いだろうと、
「この剣を拾ったときには壊れては放置されていたからな、直さないとまともには動けはしないだろうな」
「そこまで、ですか‥‥‥それは治るものなのでしょうか?」
「こちらには対応できるかもしれない人材がいるし、何とかなるかもしれないが、やってみなければ解らないといったところかと」
「そう、ですか‥‥‥」
赤髪は、目を閉じては一拍の思案を作ったかと思えば、
「彼女がその状況に陥ったのは、私の責任でもあります。もし、治る可能性があるようでしたらお願いできませんでしょうか?」
「元から直してはみるつもりだったが‥‥‥」
「そうですか、ありがとうございます。では、よろしくお願いいたします。」
深々と頭を下げてくる赤髪に、どう反応していいのやらと思っていたら
「おーい!テオーネ!無事か!!」
「師匠!無事ですか!?」
「ああ、私は大丈夫だ!」
『アーネスト様、申し訳ありません、そろそろシー殿が‥‥‥』
『わかった、そっちに行くから、もう少し何とかしてみて』
聞こえてきた言葉に赤髪が反応し、無線に対して反応する自分
なんだか嫌な予感がする名称が聞こえてきたた為に、これは是が非でも何とかして止めないと暴走する未来が見えてきてしまっている。
とくに、暴走しはじめたら、どういう行動を取るのかが分からない為、これは直接出向いた方が無難だろうと判断し
「すまない、そろそろ行っていいだろうか?」
「はい、この場は私が取り持ちます。それと、どうか彼女の事をよろしくお願いします。それと、申し遅れましたが、私の名はテオーネと申します。何かありましたら、狩人組合の方へ言伝をしていただければ‥‥‥」
「解った。では」
浮遊ユニットを起動させ、浮かび上がった後に飛行ユニットを起動させ、今にもその問題が発生しそうな場所へと移動させていった。
追記:(2017/06/30 23:50)
修正時に気づいたら、いつの間にか100000PV超えてました。
ありがとうございます。
感想の質問(?)等への返信は、次からのエピローグ的なモノの後で活動報告にでも…
(そのエピローグ的なモノに回答が含まれてたりする格好になってしまうかなと・・・)
※:この物語に関しての感想への返信は、活動報告で行う方針としています。




