幻→現→
幻魔術?
文字から推測するならば、"幻"を主にしている魔術?魔法?みたいなものなのだろうか。
「嘘だろ?これ、全部が幻っていうのか?」
「幻なら、攻撃を受けなくてもいいんじゃ?」
「バカモノ!!"幻影術"ではなく"幻魔術"と言っただろう。何を聞いていた?気を許すな!」
「その"幻魔術"というのがどういうものなのかが」
周囲では相変わらず何かに襲われては迎撃しているという恰好であり、それに対して魔物の陰すら見当たらない自分にとっては、どういう物かがさっぱりわからないままでいた。
「幻魔術を簡単にいうならば、"ソコに在りてソコに無い。幻でありて現である"という代物だ。幻であるにも関らず、その術に陥っている対象にとっては、実体が存在するという厄介な高位魔術の一つだ」
「なら、もっと強そうな魔物でも出てくるとかは?」
「もともと"幻"である以上、記憶が元になっている。その記憶を引き出して具現化しているというのが通説だ」
「誰かの記憶?」
「可能性が高いのは、そこにいるバカ弟子どもだ。ここにいるどれもこれもが、昔の稽古仕上げにとその群れの中に放り込んた代物ばかりだ」
「そういやそうだ‥‥‥ラエプの奴らに強襲されたっけか‥‥‥」
「いわれてみれば、確かにあの時の魔物ばかりだ‥‥‥あのバーンも厄介な相手だったっけか‥‥‥」
その、バカ弟子と呼ばれた二人組は、お互い思い当たる事があったのか、それぞれが確認しあうかの様に叫び合いながらも、その得物を振り回してはいた。
「それでどうするのリーダー?私の魔力だってそこまで持たないわよ?」
「いつまで持ちこたえれるかわかったもんじゃねぇ」
「私も、長引くならば厳しいと思います」
「確かにな。どうするよ?」
各人がリーダーに対しての決定を促しているが、そのリーダーといえば思案をしながらの行動に、困り果てている様子をしていたが、そんなリーダーの言葉が発せられる前に、赤髪から指示が飛んできた。
「ウージたちと合流する。その後、倉庫階段へと降りて入口を封鎖するぞ。先頭は私が行く殿は二人でやれよ?」
「お、おうさ!」「了解」
「そして、アーネスト殿はすまない。術が効いていない為に自由が利くはずだ。そのため、この術の解除を」
「解除は構わないが、その方法は?」
「道具であるならば破壊が速い。術者がいるならその術を止めてやればよい。そのどちらかで解除できるはずだ」
「破壊か、術を止める。ね」
「ああ、そうだ。これだけの規模を行うモノだ。よっぽどの強大な代物か、詠唱が続いているはずだ」
「なるほど」
「それじゃぁ、みないいか?いくぞ!!」
赤髪が先頭として、何かしらの相手を蹴散らしながら、船団長の方へと走りだす。
その最後尾となる牛頭とリーダーから「頼むぜ?」「頼みます!」という声をかけては、その殿となるべく警戒と迎撃を繰り返しながら、移動をしていった。
* * *
剣劇ともいえる様相をしていた集団と離れ、一人周囲の状況を再度確認する。
気になった事といえば、あの鎧姿の一行が先ほどから見当たらないという点であった。
まずはとレーダーを駆使し、近辺の無残にも散らばった貨物を避ける様にしては、生命反応ともいえる赤外線反応が少しでもある場所を探っていっているのだが、火災時の残り熱ともいえる部分や、小さなボヤ的な代物があったり、物陰には倒れた水夫がいたり、顔見知りがいたりする程度で、鎧姿を最後に見た場所付近に、それらしい生物達が一向に見当たらない。
少なくとも、降ろされた人員を除けば三、四人はいたはずである。
その人物たちも先ほどの術にかかっているのならば、どこかで戦闘を行っている可能性があるはずであり、その行為を行っているならば、熱源としても反応すると踏んだのだが‥‥‥
と、そんな考えをしながらも、散らばった貨物の隙間を移動していくと、その聴覚に反応が起きた。
「これ‥‥‥かの‥‥‥ぐ‥‥‥か‥‥‥‥」
「‥‥‥きょ‥‥‥だ‥‥しろ‥‥‥‥‥だ‥‥‥」
反応が起きたといわれても極小ともいえる小ささの音声という物であったが、誰かしらの会話という代物だった。
会話をしているという事は、少なくとも二人以上いるはずであるために、鎧姿たちだろうとその声の発生元へと向かってみると、視界に入ってきたのは鎧姿の数人と、いままで見たこともない大きさの紫色の甲殻類とでもいう人の形状に寄せているような生物と、人型とは異なる‥‥‥何というか、ゲームの時にいたタコ星人が服を着ているとでもいうのが、その場に戦闘しあうような雰囲気でもないままに混在する形で存在していた。
「‥‥‥ケせ」
そんな言葉がタコ星人から聞こえてきたかと思えば、気が付いたら両の腕を体の前に構える形で防御態勢を整えられてあり、次に認識できたのは、その構えた両腕に大きな衝撃を感じた事であった。
何が?
ようやく、はっきりと解った事は、その紫色の甲殻類ともいえる生物が、先ほどまで自身がいた位置におり、そしていまいる位置といえば、身体を吹き飛ばされて地に足がついていないという事実を確認した事だった。
へっ?
驚きとともに確認できた宙に浮いてしまった感触を受けていた身体は、その慣性力による着地地点を甲板や貨物部分にする事もなく、その大きく開いた穴ともいえる口へと放りこまれる形で‥‥‥
ちょっまっ!!
慌てて左腕のアンカーを、甲板のどこかに引っ掛かればと、その見えている晴天へと射出する。
射出されたアンカーは、その晴天へと飛んで行ったが、その途中に存在した紫色の甲殻類が、そのアンカー部分を掴み取っては、ミシリとした音と共に砕かれ、さらにこちらへと追撃でもするかの様にコチラへと飛び込んできていた。
し、シールドっ!
慌てて、前面に迫る紫色の甲殻類の腕を遮る様に、例のシールドを展開しては不可思議な壁に遮られたことに、疑問を呈してしるのかどうかすらわからない表情ではあったが、相手との距離が取れるような形で、落下の速度差が発生したためか、離れるかたちになりえた。
が、その次に体験した衝撃が、自身の思いもよらない情報を提示していた。
着地ともいえる衝撃、その衝撃を受けた後に表示されたアラート表示画面、その警報が放たれていた部分は腰椎部。
そこから下半身の駆動停止と装備機能が使用できないといった黄色い警告が連なって表示されていた。
一体何が‥‥‥?
自身の状況を確認すべく、視覚情報を集めようと動く上半身を起こし上げようとしてみるも、それすらままならない。
無理やりに腕部を使って体を起こそうとしてみてみると‥‥
板‥‥‥?
その視覚情報に入ってきた状況というのが、その自身の下腹部右半分の部分から板の様なモノが生え立っており、さらにいうなれば、現在いる場所の背後には何かしらの金属ともいえる代物が、燃え残った金属破片ともいえる代物たちが散乱していた。
動く腕で触って確認しようと、その背面と接触面との隙間から忍ばせては感触を確認していくと、背後から突き抜けているという恰好である。
あぁ、そりゃぁ腰椎部が逝ってる訳か‥‥‥
触りだした部分の先をと確認していったのだが、その根本には確実に腰椎部ともいえる部分から生え出しており、生物に似せようとした装甲の薄い部分を見事に貫いている形でもあった。
ズゥン‥‥‥
自身の近くで落下物といえる衝撃と音が鳴り響く。
その音の元からは、先ほどの紫色の甲殻類といえる存在であった。
紫色の甲殻類といえば、まっすぐにコチラを認識すると、再びその腕を振り下ろしてくる。
こんな所で、こんな終わり方とか断固として拒否である。
理想の終わり方としては真っ平ゴメン被る!
シールドッ!!
そんな認識が起きたのか、再びシールドを展開する意識を飛ばす。
有効に働いてくれるならば耐えている際に、ヒョウさんたちを呼んで‥‥‥
この先の対応を組み立てる時間を作ろうと思案する。
ふり降ろされてくるその紫色の甲殻類の腕は、その勢いが殺されることもなく、自身の首根本へと深々と突き刺さっていった。
はっぁ!?なぜ?!
痛みというのが伴わない為に、多少の余裕があるのか、なぜ発動しないのか?という原因を探り始めると、腰椎損傷に紐づけされるかの様に表示されたシールドに関する機能がEnableにすら変更できないでいた。
その間も、紫色の甲殻類は、自身首元から胸元にかけて貫き手ともいえる行動を取り、その突き刺さるたびにその突き刺さった箇所から、黒い液体や金属部品などが飛び散っていくのが見える。
その行動を辞めさせようと、右腕のクナイ射出を行ってみようと試みるも、その肩口を貫かれては腕部損傷のアラートが増える始末である。
もうちょっと、こう形になる終わり方が良かったな
あぁ、そこまでボロッボロにするのとか、マヂで止めてほしいというか、止めやがれやぁ!
怒りに任せて、なんとか残っている左腕を操作し、腰部にあったあの突剣を手繰り寄せ「いい加減にやめろやぁ!!」と、怒号と共に紫色の甲殻類へと差し込むと、その突剣は抵抗なくもその紫色の甲殻類の下半身というべき処へと突き刺さっていった。
その突き刺さった紫色の甲殻類は、言葉にもならない奇声ともいえる音を発しては、その突き刺さった突剣を引き抜き、口と思われる所から泡の様なモノを吹き出しながら、その腕をこちらの‥‥‥
その後から、情報を得られる事は無く、ただただ、何も認識できない黒い世界ともいえる、そんな感覚に捕らわれていた───
ただ、その黒い世界の中、その中に変わった部分が存在していた。
なにしろ、その黒い世界の空間に、Ernestという白字で書かれている文字が3つと、その右端には灰色で1つ、ほかにも、MichaelとRobertという文字が浮かび上がっていたのだから。




