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 射出したアンカーは、勢いを保ったままその燃え尽きた灰の中へと消えていき………その消え去った少し先から再び室内へと飛び出し、こんどはその先の壁に向かってはその壁際をスレスレに曲がり始めては、ようやく目標が浮かんでいる高さとなっては天井に沿う形で誘導を行う。



 その表示される小型ウィンドゥのモニターに映し出される映像から、狙うははっきりと映し出される首元と思われる、あの赤黒く変色している器官が見えるくびれの箇所‥‥‥の上、その体色とは色が異なる触手が存在する、その頭部の付け根という場所に目がけて、射出されたアンカーが突き刺さっては、アンカーに取り付いてあるカギ爪が展開され、"lock"の表示が映し出される。



「掛かった!」



 表示を確認しては、すぐさま伸びきっているワイヤーを巻き上げると、そのワイヤーは左腕から腕まで、そして床から対象までを一直線に張られる形へと変わっていった。


 貨物室の状況を確認をとった際、貨物固定用のフックが床部分が見えため、その固定フック部分を通過させてはそのワイヤーの向きを変更するために通しては置いたため、さらに巻き上げ続けていけば、その宙に浮いていた存在は、触手の付け根を引っ張られる形で天井から徐々にではあるが離れる恰好へとなっていった。



「なるほど、その道具を使ってワイヤーを絡ませる方法だったか」



 そんな自身が行っていた行動を観察していた存在は、何かしら納得する様な素振りをしていた。



「たしかに、透明な体を狙うという手もあるだろうが、あの場所は脆いために引っかけても引っ張るとちぎれてしまう事が報告で上がっていたな」

「やっぱり、そうだったんだな」

「ああ、だが、あの部分ならば確かにその手がつかえなくもない強度は確保できているのだろうな。何しろ、その先には自身の生命核が存在するのだから」



 そう話をしている最中にも、ワイヤーを巻き取りを行っては、ようやく自身がいる通路部の高さへと降ろすまでになったのだが、その相手の大きさといえば、自身よりもやや一回り大きいという恰好で、その触手部分を表現したくないレベルでウネらせていた。


 その触手がウネる度にその存在は、コチラへと抵抗するかのようにあちらこちらへと浮遊しまわり、余計に触手は、何を思ったのかこちらの通路につながっている踊り場となる場所へと絡みついては、引っ張る力に抵抗をさらに強め始めていた。


 急に抵抗が強くなったために、両の手を使ってはさらに引っ張ってみようと試みるが、それ以上降ろすことには繋がらなかった。



「くっそ、急に……きつく‥‥‥」

「ふむ‥‥‥ここまで降ろせれたなら十分。今度は私がアレの対応をしよう」

「えっ?」

「それと、少し借りるぞ」



 そう言っては、自身の腰に携えていた突剣を引き抜いては、その触手頭がいる踊り場へと歩んでいき、闇雲に蠢いている触手に触れることもなく、その首元の赤黒い色の部分へと、構える素振りもなく、気が付いたら突き刺さっていた。



「ありがとう。返すよ」

「え?あ、ああ‥‥‥」



 先ほどまで、あの触手の近くにいたはずなのに、一拍の後にはすでに自身の近くにまできて、その突剣を払った後に拭っては再び腰へと返していた。



「さて、これで私も魔法がつかえる。それじゃぁ処分するから、それ外してもいいよ?」

「えっ?あ、ああ・・・と、処分というが、得物は?無いならコレを使っても」

「ああ、大丈夫。私の得物は別にあるので、とりあえず外して頂いた方が、壊さずに済むので」

「なら、いいが‥‥‥」



 疑問に対してはぐらかされる恰好だったが、言われるがままに"lock"状態から"unlock"状態へと変え、そのアンカー部分が離れると同時ぐらいに、その赤髪は再びあの触手に近づき



「"氷剣"」



 そんな言葉が聞こえたかと思えば、あの触手付近から白い湯気が出始めたかと思えば、音もなくその姿が貨物室へと落ちていった。



「今のは一体?」

「そうだね。簡単に言えば、私専用の特技みたいなもの、といった所だろうか」

「特技……」

「ところで、これで一応の脅威となる代物の無力化ができた恰好にはなるのだが‥‥‥」



 そういって視線を向けられる先は、天井の隅で未だに蠢いている存在と、いくつものフワフワと浮いている小さな巻貝の様なモノたち………



「増えて‥‥‥ますね……」

「こうまで増えると広範囲の魔術がつかえる存在の方が、処理をするのが速いだろうな」

「そうなると、あの尖り耳を連れてきた方が良かったり?」

「尖り耳?‥‥‥あぁ、あのバカ弟子のパーティーにいた‥‥‥たしかラウザ殿だったか。ふむ、たしかにあとの掃除や処理なら、アイツ等でも十分こなせれるだろうな。よし、いったん合流する為に戻る事にする」






   *   *   *


「アーネスト殿、少し待て」



 甲板に出る扉口の手前、先頭を歩いている赤髪から手で止めるジェスチャーを加えながら、声を殺す恰好で伝えてきたかと思えば、その体を扉の陰に隠してはその甲板部を覗き見ていた。

 そうして、こちらに手招きをしては、指で外をさしてはこちらにも確認をとる様にとでもいった風なジェスチャーを行ってきていた。



 指示されるがままに、その甲板へと続く扉から外を眺めてみると、そこには倒れ込んでいる人々といえば、見知った顔なじみと水夫ともいえる生物(ナマモノ)たちに、背中合わせ風な恰好円陣を組んでいるリーダー集団が見えていた。



 そのリーダー集団といえば、何かに強く警戒をしている形であり、時折、その各々が手に持っている得物を虚空に向かっては、まるで斬撃を繰り出す様に振り回していた。



 一体、何が起きて‥‥‥?



「まさか、こんな数の魔物が現れているとはな‥‥‥」

「‥‥‥?」

「デセマニバスといい、この数の魔物といい、召喚系の存在がいたとでもいうのか?」



 怒りとも焦りとも取れそうな愚痴をこぼしている赤髪をよそに、再びその扉から覗き見するように外を見てみるが、やはり視覚に入ってくるものの中に、魔物と呼ばれる存在が入ってくる事はなかった。


 しいて状況をあげるとするなら、見渡す限りにあるのは天気の良い雲ひとつない晴天ともいえる青空が空を覆いつくしており、そんな日差しが照らしている甲板の上には、魔物ともよべる生物(ナマモノ)というか、動物ともいえる存在など一匹とも見当たっていない。



 一匹とも見当たらないのだが、甲板には何故か倒れ込んでいる水夫の恰好をした生物(ナマモノ)と、仕事場で顔をみた事がある一部の生物(ナマモノ)たちが、痛みを訴える様なうめき声をあげながら倒れ込んでおり、まるで、決死の覚悟をしているかの様な形相で戦いを続けているリーダーたちに‥‥‥MAPでも確認してみると、船団長たちも同じように円陣を組んでいる風なのは確認ができた。



 が、自分にとっては、その魔物が見えないし、各種レーダーにも感知している事も一切ない。



 まさか、ゲームの時の様に"見えない魔物"がそこにいるのだろうか?

 ただ、ゲームの時でも何かしら存在が分かるヒントの様なものが隠されていたりしたのだが、例えば光学迷彩的なものだが音響反応があったり、それらも吸収する場合は温度による確認ができたり、水場を利用して波紋で位置をなどなど‥‥‥


 けれども、そうならば、自身が見えないというのがわからない。


 あ、そういえば忘れていたが、たしか魔力眼系ならば機械生命体には認知できない存在だったか。

 そういうのは魔力もちの生物(ナマモノ)系や魔力生命体ならば、が、ああいうのは霊的とか、精霊的とか、そういう体とかそういうのを持たない系統のはずであるし‥‥‥



「すまない、"魔物の姿"というのは、どんな形状をしているのだろうか?」

「あそこにいるのは四本足の草原の魔物フェルフの集団だな、そしてその奥には、種族は判断できないが二本足で立っている森林の魔物の代表ともいえるラエプ系といったところだろう、そしてうごいてはいないが翼を持っては空を舞っている山岳の魔物といえるバーン系があそことあそこに‥‥」



 指さしで位置を教わっているのだが、指さされる先には何も存在していない(・・・・・・・・・)

 というか、四本?二本?翼?そんな存在なんぞ、これっぽっちも見当たらない。

 これは故障したのか?熱でやられたとかそういう類い?

 いや、それでも普通に映像と情報は映し出されているし‥‥‥。


 シーのメンテナンスの手抜き?というのは無いだろうな。

 なにせ、あのシーがこのキャラクターでそういう事をする可能性の方が低いだろう。



 そうなると、見えない魔物というのが、この世界にいるオリジナルという事に‥‥‥



「正直、これほどまでの数が先刻からすぐに現れる状況となれば、やはり何者かが時間をかけての召喚か、それとも召喚具か‥‥‥どちらにしても、それらを扱える相手では簡単にはいかない相手だ」

「そんな相手なのか?」

「ああ、使い魔として召喚しているならば、この数を用意できるだけでも脅威でもある。そして、彼らにはさらに切り札ともいえるモノを隠し持っているのが定説だ」

「切り札‥‥‥」



 そう説明を受けてはいたのだが見えるところでは、あのリーダーが何かしらの攻撃を受けては倒れこみ傷ができたのか、すぐさま緑肌が手当を施し‥‥‥



 やはり、そんな傷を負わせた相手など一つも見当たらない。



 見当たらないのに"攻撃を受けている"という仕草を行っているという状況に見えてしまい、まるで一人芝居の様にしか見えない恰好になるのが、なんともシュールというか‥‥‥いや、本人たちはいたって真面目なんだろうけれど‥‥‥



「あのバカ弟子も、よくもあの直撃に耐えたな、少しは褒めてやろうか‥‥‥それにしても、これほどの数では仕方ない、援護に向かう。ついてきてくれ」



 そう言っては、赤髪は再度"氷剣"とつぶやいては、その左手にまるで氷のような剣を作り出しては、見えない何かを切りつけては、リーダーたちがいる場所へと走り出していた。




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