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眞?

「まずは火元の処理を先にだろうか」

「ああ、それが良い。あの魔物は、火元さえなければ対応の仕様はある」

「となると‥‥‥早急に片づけるとなると……」



 そんなやり取りをし始めていく二人をよそに、赤髪とリーダーと自分が蚊帳の外状態に陥っていた。

 こちらとしても、その聞こえてくる話に何をするべきかという内容は、やはりというか火消しと討伐という検討についてはいるが、どちらがどこまでというという話で煮詰まりだしていた。



 たぶん、どっちもやれるんだろうけどなぁ……



 そんな心境になりながらも、さてはてどう転ぶのだろうかと思っていた矢先に、その輪から少し離れるかの様に移動していく赤髪からリーダーと自分とを手招きで呼び寄せていた。


 それに従うように赤髪へと近づいていたリーダーの頭部へ、なぜか一撃が入り込み、その頭部を押さえながらしゃがみこみ、コチラにもそれらしい素振りが向かってきそうな雰囲気を感じてか、勝手に(オートで)半身になりかけていたりすると、その素振りその物が消え去っていた。


 その行動を示していた赤髪はというと、どこか納得した様子でリーダーへと詰め寄り



「最近見かけないと思っていたが、難易度の高い貨物船の護衛役をやっているのは理解したが………」



 さらにもう一撃がスパーンとでもいう音が聞こえてきそうな程に良い一撃をもらっていた。



「いってぇ‥‥‥」

「それほどまでに腕を上げたかと思えば‥‥‥ハァ、この体たらく‥‥‥少なくとも現場では常在戦場と言っておいただろう?」

「いや、これはその‥‥‥」

「その点、アーネスト殿は‥‥‥うむ、イリアスの顔が見ものだ」

「?」



 コチラに話を振ってきたかと思えば、何か納得したという素振りで、"うんうん"といった風に数回うなずいていた。

 そんなやり取りの空気を引き裂くかの様に、突如としてその輪に入り込む存在が一つ



「ちょっと!リーダーに何してくれてんの!!」

「ま、まてって、ラウザ!」

「リーダーも何でかばうのさ!」

「いや、その人、俺の師匠だった人(・・・・)だから‥‥‥その……な?」

「‥‥‥えっ?」



 静止させようとしているリーダーから、"師匠"という言葉を聞いたとたんに、大きく目を見開いて驚きを表していたかと思えば視線を泳がせ、その後にはすぐさまに頭を下げて「す、すいません!すいませんでした」と謝罪を示していた。

 深々と頭を下げて謝りだす尖り耳をよそに、赤髪といえば「気にしていない」と頭を上げさせては、



「私も紹介が遅れたからな。こちらにも非はある。改めて、そこのバカ弟子の元師匠のテオーネだ」

「えっと……ラウザといいます」

「そうか。見たところラウザ殿は魔術師と見受けるが」

「は、はい。まだ、駆け出しですけれど‥‥‥」

「ふむ」



 何か観察するかの様に赤髪は尖り耳を下から上へと眺めていき、



「大丈夫そうだな。それでそっちの男は?」

「パーティメンバーのデューって言います」

「ふむ‥‥‥」



 リーダーから紹介される形で、尖り耳が片手を上げてはその自身の主張を返していた。

 そちらにも、何かしらの確認をとるかの様にしたから上へと観察した後に



「ふむ……お前は相変わらず、"目"だけは良いな」

「え?はい、よく遠くまで見えま‥‥‥いでっ!」

「ハァ……そこも相変わらずか‥‥‥それで、そちらが確認した詳しい状況を教えてもらえるか?」

「は、はい!」



 今度はスパコーンという音がきれいに出てくるレベルで、そのリーダーの頭が叩かれていたが、先ほどまで確認できた状況を赤髪へと話始めていった。




   *   *   *


 今、甲板上には、いままで見かけなかった水夫と、それに先ほどまで下に降りていた見知った顔の人員たちが、アノ装置にふたたび液体を充填し始めていた。


 そんな中、牛頭がこちらを視認したとたん「げぇっ!師匠!?」という言葉を発したと思えば、「こっちにこい」と赤髪に呼ばれ、「"げぇっ"とはどう意味かな?」と問い合わせたかと思えば、いきなりその大きな巨体が脇腹を抱え込んでは悶え始めていた。

 そうして、遅れる事近づいてきた緑色の存在に対して



「テオーネお姉様、お久しぶりです」

「おお、アイネスか。元気そうでなにより。で、相変わらず(・・・・・)なのか?」

「はい、相変わらず(・・・・・)です‥‥‥」

「そうか‥‥‥」



 緑色の少女が、その少し困ったというべき顔をしながら発した言葉を聞いたとたん、ふたたびリーダーと牛頭が悶えている形になっており、その悶えている二つの存在は「キッド、お前何やらかした!」「何もしてねぇよ!」といっていたりしたのだが、そんな中「私は、何かして欲しいんですけどね」と、普通では聞き取れない小さな言葉が耳に入ってきた方向の薄緑肌といえば、困った顔をしたままであった。



「それで、寸劇は済んだのか?」



 そんなその寸劇の終わりを告げるかの様に、そう言いながらやってきたのは船団長だったが、その顔には"呆れ"とも"諦め"ともいえる表情をして、こちらの輪ともいう近くまで近づいてきて来ていた。



「とりあえず、乗組員と作業員から第三と第四の完全鎮火は確認できた。それと第一倉庫からの引火や延焼に陥る事は無いだろうという事が確認できた為、まずは第一と第二の完全鎮火を優先という形で話はまとまった。それと、怪我人は陸で治療を行うから俺たち港湾が面倒を見る事になった。あとは、魔物に関しては‥‥‥」



 一拍の間をあけて、船団長は赤髪を見やり



「副所長を筆頭に一任するという事で纏めておいた」

「ほう、そうか。了承した。ならばここにいるハンター(こいつら)もこちらで使うが‥‥‥かまわんか?」

「ああ、それも"含めて"話をつけてきてある」

「流石だなウージ。助かる」

「お前とは何年来の付き合いだと思ってる」

「そうだったな」



 先ほどの検討話からは察してはいたが、結局は鎮火を先にする事で話がまとまったみたいであったが、船団長はといえば、赤髪からの問に対しては不機嫌な顔をしながらも、まんざらでもないという表情をしていた。

 そう受け答えしていた赤髪であったが、急に辺りを確認しはじめたかと思えば真顔で話を切り出してきた。



「ところで、ここからは信用のおける人物だけに話すが、ウージ。お前なら気付いているだろう?」

「……どれの事(・・・・)を言っているのかはわからん。それに知りたくもないな」

「まったく、船団長に抜擢されているのも、その観察眼のお陰なのだろうに」

「親方の目利きが良いからだろ」

「アイツもアイツで食えない奴だから困っているがな」



 二人は何かしら"理解している"風な口調で話しつづけているが、自分含めて何の話だ?という疑問が消えてこない。



「テオーネ。こちらはそっちが"どうするか"などの細かいところは知らんし知りたくもない。だが、今、ワシらの方は消火に手を回している最中だ。まぁ、昔のよしみだ、"火消し"ぐらいなら貸してやってもかまわんぞ」

「"火消し"ねぇ‥‥‥ま、その時は堂々と借りうけるぞ」

「‥‥‥好きにしろ」



 赤髪はそう言いながら船団長に対して口角を上げて、まるで喜んでいるような感じだったが、それも一瞬だけであったが、ふたたびいつもの表情に戻っては



「そうそう、アーネスト殿も借りうけるぞ?実力的こちら側で使いたいからな」

「ハァ‥‥‥アネさん、そういう訳だからかまわんか?」

「それは、まぁ、構わないが‥‥‥」



 話が急にこちらに流れてはきたが、もともとそういうつもりで乗り込んできているために、そこらは何ら問題がないために了承すると、「じゃ、魔物は任せた。消火は任せておけ」と、船団長は片手をあげて、こちらの輪から離れていった。

 


「あ、あの、姉さん……何が……?」

「ハァ……このバカ弟子は、お前はこの状況を"観て"まだオカシイと思わないのか」

「す、すいません‥‥‥」



 ほとほと困ったという顔をしながら、赤髪はこちらを見渡した後に説明をしだす。



「"おかしい"とは思わんのか?」

「"おかしい"‥‥‥ですか?」

「そうだ。貨物船は防火や浸水のために区画仕切りが施され、それぞれ通路以外では繋がっていない。そして、なおかつ航行を考えて火元になる場合は厳重に管理され、区画も異なる。さらにいうには、閉鎖されている貨物搬入口。そんな閉鎖された場所で、火元もなくなぜに火災が発生する?」

「それは魔物のデセマニバスが……」



 その解答を聞いて、赤髪は心底呆れたとでもいうため息をつく。



「はぁ‥‥‥なら魔物に対してもだ。その魔物は密閉ともいえる貨物区画に、そのどこからあの大きさの魔物が侵入してきた?そして、仮に侵入してきたとしてもだ、もし、その魔物"デセマニバスが炎系の魔法"を放つとした場合、"どういう条件"で魔法を放ってくる?」

「それは‥‥‥あっ……」

「デセマニバスは、"同じ系統の魔法が近くで発動したとき"つまり、炎系の魔法を近くで発動したとき‥‥‥」



 リーダーが、何かを察し、尖り耳からは可能性の答えが返ってきた。

 その事を察したと解した時、赤髪は「やっと気づいたか、このバカ弟子は」と再び頭をたたかれていた。



「つまり、どちらにしろ"誰かが意図的"に火を放たない限り、火災なんて現象は起きないという事だ」

「‥‥‥」

「となるってぇと、その火をつけた奴の目的ってのはなんだ?火災なんて起こせば、荷物だって燃える可能性だって‥‥‥」

「例えば、その荷物の一つは、"今現在"どうなっている?」



 そういわれて、各人がその荷物を背負っている人物へと視線が投げかけられたが、すぐさまに戻してくる。



「まぁ、妨害工作……とでもするにはお粗末すぎるが、時間を稼ぐという意味というアタリだろうな、何せ今の段階では、魔物が先か火災が先かが分からない状況になってしまっているし、そして、かなり上手い手を使ってきている」

「上手い手、ですか?」

「そうだ。"消火"をするなら魔法の水弾を放てば手っ取り早く鎮火することができる。だが」



 そういって赤髪は、尖り耳の方へ目をやっていたが「確かに魔術師(ラウザ)なら……」とリーダーたちが納得していた。



「今現在その方法が取れない(・・・・)状況になっている」

「たしかに、ラウザの魔法はあの近くでは使えませんし、道具に頼るしか」

「なるほど、道具に頼ってしまえば消火には手間と時間がかかってしまいます」

「時間稼ぎというのには、確かにうってつけって訳だ」



 リーダーの面々は、お互いにその状況をたしかめはじめ、事態の内容を理解し始めていた。



「ただ、なぜ時間稼ぎがなされているのかが解らない。援軍がくるのかはたまた次の一手に時間がかかるものなのか‥‥‥とにかく"何か"が起きるだろう」

「"何か"が、ですか?」

「ああ、そうだ。そこでだ、相手がどう動くかがわからないから二手に分ける。バカ弟子たちはこの甲板上で待機だ」

「それはわかりましたが……貨物室の方はお師匠おひとりで?」

「貨物室は私とアーネスト殿で向かう。お前たちは"何か"が起きる事に対しての警戒に回っておけ」

「アーネストさんって、そこまで腕の立つ方だったんですか?」

「ん?そうだぞ。私の見た限りでは、そうだな。少なくとも10層位を軽くは超えてるぞ?」


「えっ?そんなに?」「マヂかよ……」「見かけによらないのね」



 リーダーたちの一部からは、何かしらのまぶしい視線とでもいえるまなざしがコチラに向けられていたが、そんな視線を無視するかの様に、聞いていた対処方法を確認するべく、腰に携えている突剣を手にかけては



「とりあえず、魔法さえ使わずにコイツを刺しておいたら良いんだろ?」

「ああ、おおむねそれでかまわない。あと、その銛でもかまわないが、無効化さえしてくれれば十分だ。では、そろそろ行動に移すぞ」




 その合図とともに、各人が顔を引き締めては、その役割を果たすために行動を開始していった。



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