順
置いてけぼり状態なやり取りをしている間に、その大きく開かれたままの扉から顔を覗かせる恰好でその奥を再び確認してみるも、薄暗く点滅している照明が照らしている通路の先から、たまに訪れてくるこちら側の空気とは異なる風がその先の状況を物語っており、その確認が出来ている数値から一向に下がるような気配がまったく見えてこない。
けれども、これぐらいの温度程度では支障をきたす事も無いので、このまま入っていってもさして影響がないとは踏んではいるけれども、こういう状況で勝手に踏み込んでよいのかどうかとすこし考えてしまう。
なにせ、ここで何かしら議論している集団は、一応この船の責任者と関係者とでもあり、こういう時は一言伝えておいておかないと、後々何かしらの問題が起きた際に、ややこしい事が起きる可能性があるのが社会における鉄則?お約束?なものがあるはずである。
そのため、そういう面倒事を回避するためには、一言伝えてから動くのが良いので、「とりあえず、この先を見てくる」と伝えては、その話合いをしている横を気取られないように通り過ぎようとしたとき、腕をつかまれて自身を静止させようとしてきた。
「ちょっと待て、アーネストさんやら。さっきキッドらが言った事から、ここから先、あんたを進ませる訳にはいかん」
「そうそう。そもそも海生魔物がいる場所に、下手に陸の素人が手を出ししちゃ危ねぇからやめとけ」
「ここから先、本当にあっついよ?それに、道具も持たずに入るのはやめといた方がいいんじゃない?」
「何ももたずに入るってのか?やめとけやめとけ。あんたみたいな人を連れ帰る方が大変になる」
先ほどまで、何かしらの議論をしていた一行が、今度は一斉に此方へと顔を向けて止めに入って来た。
特に、相談をし始めていたキッドと言われた先ほど飛び出してきた一団のリーダーらしき生物と、船長といわれている生物の両人が、より強くこちらを止めるための理由を並べてきてはいるようだった。
このままでは、せっかくのシチュエーションが構築されている場所に行けなくなる。
とりあえずは、説得を試みるべく甲板で行った材料その1を利用する方法を実行するため、腰からぶら下げているある代物を取り出し
「コレ‥‥‥じゃぁダメか?」
「え?ソレって‥‥‥」
「その特徴的な剣先にカエリ…‥‥まさかガーランの角か?」
「長げぇな‥‥‥というか、ソレだけの物を持ってるって事は、陸の素人って訳じゃ無いのか?」
「その長さのは初めて見た」
「ちょっと綺麗ね」
それぞれ、コレが何なのかを理解したみたいであったので、追撃としてもう一言二言を付け加えてみようと「一人で仕留めた証としてのモノ」という言葉をつけたしてみると、
「なっ?その大きさを一人で?本当か?」
「嘘だろ?どこかで買ったんだろ?」
「けど、こんな長さをそのままってのも…‥‥な」
「一応、仕留めたというのは本当で、何なら港湾の親方にでも聞いてもらってもいい」
「ハーヴェンスの港湾で親方といったら」
「サボり癖のある偏屈なおやっさんだよ」
「ああ、あの‥‥‥」
「けど、あのおやっさんなら、ウソをいう人でもないし、聞けばという事なら本当の事になるか」
それぞれがそれぞれに、その代物を確認してはその意味合いをも理解してくれたようである。
というか、親方、周りからそう見られてるのか‥‥‥まぁ、今までの行動が行動でもあったし、分らんでもないがとりあえず、信頼という意味にでは合格点らしい生物である為に、信用はおいてもらええそうである。
ならば、あと一押しすれば、いけるんじゃないか?とダメ押しとして、
「一応、状況の確認と救助者がいるならば救助という形で来ている。そういう訳なんで中を見てきていいか?なおさら状況確認に向かわないと、こちらとしても、な?」
そういうと、リーダーらしき生物と船長と呼ばれた生物が、お互いに顔を見合わせると、まるで意思が統一したかの様に
「いや、ちょっと待ってほしい」
「ああ、そちらの都合も解ったから、少し待ってくれ」
「えっ?あ、あぁ・・・」
と、まったく同じ内容を伝えてきた事に驚きながら、その指示に従う様にその場で立ち止まってしまった。
そうして、同じ内容を伝えてきた船長とリーダーがお互いを顔を見合わせては「どうする?腕前は確かって事になる」「道具の数は?」「いや、アレ自身がそれになるから大丈夫だろ」「なら魔物の件はそれでいいとして、鎮火作業と救助作業は‥‥‥」「いや、救助や消火を優先に‥‥‥」「たしかに、下手に刺激して事を余計に荒立てるよりかはそっちの方が‥‥‥」と、二人で議論を重ねたあと、船長と言われた生物から
「とりあえず、魔物に関しては様子見にする事にする」
「アイツは魔法さえ放たれなければ被害がこれ以上広がる事はまずない。そのため、優先順位として火災の状況および対応、怪我人の救助を優先順位を上にするぞ」
「ここまでで質問はあるか?」
「はーい、もし、魔物に見つかったら?」
「相手がデセマニバスならば、見つかったと思っても魔法なり魔術なりを使う事さえなければ認識される事は無いはずだ。そうなったら焦らずに魔法なり魔術なりを使わずに距離を取って離れるだけでいい」
「あー確かに」
「そりゃそうすりゃいいわな」
周りのメンバーからも、その説明と質問に対する回答に納得し、それぞれが次を聞こうと質問を行う事を辞めてリーダーへと促し
「じゃぁつづけるぞ。でだ、俺たちは手分けして作業を行う事にする。アイネスとダットは船底通路から船尾に向かった消火班の補助に回ってくれ、消火の方なら治療役のアイネスがいた方がいいだろ。というか、ダット水飲みすぎだ」
「アツイんだから、しかたねぇだろ」「はい、わかりました」
水筒と思わしき袋を掲げて水を飲んでいた牛頭の生物と、少し疲れた表情をしながら壁に寄りかかっては休んでいた薄緑の肌色をしている生物?が返事をし返していた。
「次に、デューとラウザはさっき通った通路とは逆の方向を進んで捜索だ。特にラウザ、暑いからといってアイツの近くになる貨物区画近辺では魔法を使うなよ?」
「わかってまーす」
「そういいながら、さっき使いかけただろうに‥‥」
「けど、使わなかったじゃない!」
「止めなけりゃ使ってただろ?」
「ちゃ、ちゃんと使わなかったわよ!!」
「オイオイ、そこまでだ。体力は温存しておけ?もっかい暑いところにいくんだからな」
「はーい」「へいへい」
二人で掛け合い漫才でもするかの様に、それぞれ違う方向にとんがった耳をしている二つの生物は、リーダーらしき人物にとがめられる恰好で、その漫才を止めては準備ともいえる恰好で備品の確認をし始めていった。
「でだ、残ったオレは、そこのでっかいねぇちゃんと倉庫区画の近くを重点的にいく」
「・・・お?おぅ」
急に話を振られて驚く形にはなったが、一応はその頭数に入っているという恰好で目的としていたシチュエーションが堪能できそうな場所に向かえそうであった。
「それと船長、コイツらの事任せていいか?」
「ああ。これ以上、この船で下手な事はさせないさ」
そういって、三名の鎧姿の生物をアゴで示し、それを受けた船長は当たり前だという形で了承していた。
「すまない、我々もこんなツモリでは無かった」
「‥‥‥解ってる。だが、解ってるなら、今後はおとなしく此方の指示に従ってくれ」
「それは‥‥‥わかった」
座り込んで首を垂れながら了承している三人の鎧姿の生物たち。
その中の隊長?班長?とも思える恰好の一人が、そう船長からの指示を受けては了承をしていた。
「よし、なら水を補充したら行くぞ。ラウザ頼む」
「りょうかーい、じゃぁいくよー」
その間延びした声を上げた尖った耳をした生物は、何かしら杖を掲げて揺らしていたかと思えば、その杖さきに薄い水色ともいえる水球が徐々に大きくなり出し
「はーい、おまちどう。みんな水筒だしてー」
と、各々が水筒を取り出しては蓋を外し、その口を尖った耳の生物へと向けると、その杖の先に浮いていた水球から、まるで導かれる形でその空いた口の中へと流れる様に給していった。
というか、何気に魔法的なモノを見るのは初めてだったために少々驚いてしまった。
何せ自身がこの身体を使ったゲームでは、そういうエフェクトはあるものの、大抵は攻撃魔法なり防御魔法なり支援魔法なりばかりで、こういう感じで水球みたいなものを再現された事は無かった為、不思議空間とも絵図ともいえる風に映っていた。
「あれ?おねぇさんは要らない?」
「えっ?ああ、特に必要ないから大丈夫だ。ありがとう」
「ふーん、そう?本当に大丈夫?」
「ああ、大丈夫だ」
「なら‥‥‥残ったのを捨てるのももったいないし、う~ん・・・そうだ!」
そんな自身の心境を無視するかのように、こちらの事も考えてくれた事に礼を伝えながら、鎧姿の生物たちへと近寄ってはしゃがみ込むと
「残った分ががまだあるけど、そっちもいる?」
「す、すまない。助かる。おい、お前ら、水だ、水筒を出せ」「は、はい」
驚きを受けつつも、水という代物を貰えると解ったのか、急ぎ腰回りに付けていた水袋を取り出しては先ほどの他のメンバーと同じように、杖の先に浮いていた残り分ともいえる量を受取り始めていった。
何気に、過去のエタ…‥ゲフンゴフン
その物語より話数が超えてたりしたのに今頃気づいたのは秘密




