夕~夜
世間話が終わり金銭の確認が完了する頃には、日がどっぷりと沈み込んであたりは等間隔に照らされる家々から漏れ出ている明かりが、暗闇の中に明かりという形で道を照らしてはいた。
そもそも、街灯が所々に存在もしているので、少なくとも進んでいる道が真っ暗になるという事はなさそうではあるが、あの街灯どうやってついているのかがわからない。
こういうのは、えーっとなんだっけ、歴史とかから教わった記憶から言うと、ガス灯とかいう奴になるのか?
ただ、明かりとしては、赤っぽいというかほぼ赤色の明かりが点いているだけなのだが、これはどうみてもガス灯っぽくない。
照明器具のどれか?といえば白熱灯が一番近いのかもしれないが、そんなフィラメントみたいなモノも見えない。
ほんと、何がどうなって灯りを灯しているのだろうか
ま、あとで誰か知ってる人に聞いてみても良いか。
とりあえず、その明かりも道を照らしているので、特に苦も無く歩行はできていたりする。
そんな、昼とはうって変わった夜の街という雰囲気を色々と観察し、あえて来た道を避けては裏通り的な道を選択しては宿へ向かう。
こういう裏道とか横道だと知る人ぞ知る的な旨い店があったりするため、一応は確認しておこうと夜の店舗、いわゆる飲み屋の様な場所から漏れ出てくる賑やかな声を聞いては店の場所を確認し、印をMAPに加えながら移動していった。
そうして宿の前へとたどり着き、建物の入り口の隙間からあふれ出る灯に吸い込まれるかのように、その扉を開けてはロビーへと
「おかえりなさいませぇ!お姐様ぁ!」
そんな大声と共に勢いよく、こちらへと飛び込もうとしている故障体Sが、自己主張よろしくこちらへと突撃しようと、いや、している最中だった。
うん、そうくるの知ってた。
すばやく付きだした左掌を前に出してみると、その手のひらに吸い込まれるかの様に自動的に掌底が決まった形になり、「ヘブァ」という変な声を発しながら、その吶喊といえる行為の名残りになってしまった慣性力が、接触した部分を支点に回転するかのごとく勢いに任せて後頭部を地面に叩きつけるという結果を見せてくれたりする。
が、こちらはそんな馬鹿Sの事を全くも意に介する気もないので「あー、ただいま」と事務的な冷めた言葉で返しておく。
「お姐様の、シーの扱いが酷いです…」
後頭部があれだけ勢いよく床へと叩きつけられ、その衝突による振動がこちらの足にも伝わってきたにもかかわらず、まるでそんな事は無かったかの様にすぐさまにその場で座り込むと、その接触部部分を摩りながらこちらを見上げつつ、抗議の言葉を口にはしていた……のだが
「けど、これはコレで……」
グフフという様な笑みをこぼして小さくつぶやいていたりする破損物体S。
そんな小さな言葉も聞き取れてしまう自分の聴覚機能がちょっと問題だと思いつつも、コレ、もう手遅れなんじゃないかな?と確信してしまう。
これはもう根本的な修理…いや、この場合は調整?を行った方が良いのではなかろうか。
そんな寸劇を終わらせては、周囲からは何事かという物珍しい視線を投げかけられているのを無視して、何事もなかったかの様に食堂へと移動しては夕食の席についたのだが、夕食が来るまで肘をつきながら思い出しているのは、先ほどまでハンター組合の一室で話していてた世間話という内容ばかりだった。
この世界へ来た当初に説明を受けて覚えている内容としては、魔王という存在が復活したために、その影響をうけて魔物とよばれる獣が活発化しており、その被害が大きくなる前に勇者となる存在を召喚したという事だった気がする。
気がするというのは、その時は自身の身体の事ばかりでまじめに話を聞いていなかった為であるし、「●REC」なんて事も一切していなかったから、いまさらどうこう確認しようもない。
ハンター組合での話と、説明されていた話とに何かしらの違いがあったりするのは、まぁ伝承違い?という割には、魔物という存在が暴れているという点と、勇者伝説が実際にあったかもしれないが、ほとんどがおとぎ話として伝わっている事であったりし、魔王云々とかの話をしていた処で、いまさらそんな危険きわまりそうな処に首を突っ込む気もさらさらないので、火の粉が来ない限り放置確定でいいかという事で、今後の路線を再確認していた。
そんな、これからの大まかな予定としては、一社会人として、企業の歯車として働くという方向でいいかという事を考えて‥‥‥歯車ってのもいいよな、あのモジュール、インボリュート曲線がふつくしい機能美を表しているというのを表現していく、そんな立ち位置でいる恰好で働く、おお、いいんじゃね?うん、いいね、よし、それでいこう。
そんな考えをまとめていたら"カシャカシャカシャ"という、どう聞いてもシャッター音的な代物の音声が聞こえてくるのだが‥‥‥
予想と推測は、もう確定的に明らかなのはわかり切ってはいるが、一応、その音の発生源の方へと視線をむけてみれば、そこには両手のお盆に料理を持っては立ちつくしている棒立ち人形Sが、此方を観察するかのように、うっとり・・・いやねっとり?という感じで眺めているのに気づく
「はふぅ‥‥‥考え事をしているお姐様の横顔、これも…イイ…」
「ていっ!」
「アダッ!」
廃品Sの方を向かずに、すかさずお決まりに成り始めてきている手刀による突っ込みを入れ故障物体Sの調子を元に戻す。
よくいう叩いて調子を戻すには斜め45度といわれるが、故障電家製品Sにはそれはもうほぼ垂直に叩き込む方が良いぐらいである。
そんな直撃を食らっても手に持っている物を落とすことなくいるのは、なかなかにすごいことなのではなかろうかと思ってみたりはしたが
「それで、何だ?」
「あぅ、お食事をお持ちしました」
まぁ、わかってはいたけど、その手に持っていた食事といえる代物をテーブルへと置いていく給仕係S。
普通にしていたら、本当に普通なんだよなと再認識をしていたのだが
「それでは、不肖このシーが、これから愛情というスパイスを「いらん」注入…えぇ…」
「仕事があるだろ?ほら、戻った戻った」
「そ、そんなぁ……」
コレである。
こちらがアヤシイ行動をとられる前に静止させてる格好ですぐに料理を口に運んで阻止を試みてその味を堪能している状況を眺めては、お水はいかがですか?など甲斐甲斐しく世話を焼こうと一向にはなれようとしない給仕Sがいたりするのだが、何かこう落ち着かない。
これではおちついて飯が食えないじゃないか。
食事という行為は誰にも邪魔されずに静かにこう救われければならない。と、どこかのグルメなサラリーマンが言ってそうだが、それには自分としてはとても同意してしまう。
仕方ない。ちょっと試してみるか…
「仕事をしているシーは、カワイイんだけどなぁ…その姿をもっと見ていんだけどなぁ」
「えっ!なんですとぉ!?お姐様!このシー、頑張って仕事をこなしてきます!!」
と、ビシッという感じできれいな敬礼姿を行ったかと思えば、すぐさまその場を離れて給仕の仕事へと戻っていった。
何、この子、チョロすぎやしませんか?
‥‥‥まぁいいか。静かに食事ができる事にはなったわけだし。
夕食のメニューに出ているこの肉は…たぶん、これ塩漬けしたガーランの肉をベースにしたシチューとか、歯ごたえも味付けもしっかりあるしで、食べ飽きてるはずなのに、なかなかに旨いと感じてしまう。
うん、この2ndキャラクターだと、食事がしっかりと味が味わえるというのが利点であるなと、再度確認できてしまっている。
ただただ違和感しかない気持ち悪いという印象しかなかった1stキャラと比べるのもおこがましいというぐらい大違いである。
2ndを生物に近づけるメインキングをした過去の自分へ再度グッジョブを送っておく。グッジョブ、俺。
「ひっ・・・」
「はひっ・・・」
「‥‥‥ほゃう」
‥‥‥・アーネスト様も無防備すぎます
こんな夜半に警戒もなく、この様な場所を出歩かれるなど
「おい、あのネーちゃんどうだ?」
「いいねぇ、じゃぁ、お前いつも通りに旨く誘導しろよ?」
「おうさ」
今度は二人組ですか
バレット:スタンショット
モード:サイレント・シングル
「うぎゃぅ」「はぅぁ」
まったく、ここはゴミが多すぎて掃除が大変です
いっその事、処理ではなく処分したい気分になってしまいます
「うぉぅ、結構なべっぴんさんがおるぞ」
「お、ほんまやぁ、ちょっくらいくか?」
またですか‥‥‥
なぜに、この様なルートを通られるのかはわかりませんが
これも私めを信頼されての行動なのでしょう
なれば、与えられた仕事はしっかりとこなさなければなりません
目標の排除行為に移行‥‥‥
* * *
この日、酔いつぶれた男たちが多かったという




