客船
ひとしきりの洗浄による清掃も終わり、道具という道具の片づけというか、日陰干し状態に設置してと作業が滞りなく終わってりまい手持無沙汰という状況に陥る。
何かする事が無いのかと思いつつ、周辺を見渡してみるもとりわけ何かできるのかが分からない。
あと作業内容を聞いていたいた事といえば、複製しておくぐらいなのだが、そのための用紙はすべてもっていかれ、筆記具といえるものというのも、一緒にもっていかれたままである。
何もすることもなく、岸壁沿いで舫杭の上に座り込んではボケーとしている状態である。
日差しが強いわけでもなく、海風が流れてくるだけなのだが、その後ろでは荷を乗せた台車がいったりきたりしているのを横目にしていると、この自分の状況が良い事なのか悪い事なのかの判断が付かないというか、いたたまれないというか‥‥‥。
そんな気分を払しょくしようと海を眺めていたら、その水平船上を眺めていた視界に小さくも白色の何かしらの物が移動しているのに気が付いた。
なんだろう?と思い、倍率を上げていきx8倍まで上げたときにようやくその対象がなんなのかが見えてきた。
たぶんだが、さきほど言われていた大型貨客船ともいえる代物なのだろう。そういうシルエットとして確認ができた。
が、貨客船なんだろうが、自分が当初思い描いた船とは明らかに違なっていた。
船型というものは、正面から見た恰好でわかることといえば、双胴船という形状をしている事であったのだが、煙突らしき物もなければ煙を吐いているという事もない。
帆船の様な帆があるわけでもなく、それでもその存在はすぃーっと海面を滑るかの様にゆっくりとだが入港し始めていた。
ただ、倍率を通常に戻した際にはっきりと見えてくる程に近づいてきた頃合いに、その船体に似つかわしくない物が存在していた。
その船の側面あたり、デカデカと船体の半分に何かしらの代物がぶつかったかの様な、円状の窪みが存在しており、その円状の周辺には、さらに亀裂の様なモノが入っている場所もあった。
「今回は荒れたみてぇだな」
「荒れた?」
ぼけぇとその眺めていたのだが、その声が発せられた方をみてみれば、いつの間にか周囲に人だかりができ始めており、その視線の先は大型貨客船を眺めている処であった。
「というか、仕事はいいのか?」
「オレら搬送班もアイツが入港してくるから作業中断だからな」
「ああ、たしかに」
そういってた人夫たち「そうそう」「こんな状況だと、下手うちたくないしな」と、係留されている搬送船に荷物がまとまった状態だったが、大型貨客船がつくりだす引き潮によって、係留している船がさきほどより大きく揺れ動いて不安定な状況という恰好にしていたみたいである。
「それで、さっき荒れたってのは?」
「ああ、アイツは最新の魔導障壁を搭載してる船だったはずなんだが、あの凹みを見る限り、その障壁を超える衝撃を受けたってことだな」
「受けたって、どれだけの衝撃をもらえばあんな事になるんだ?」
「そこまではわからねぇが偶にいるんだよ、でっかい海の魔物ってのが」
「で、そいつらに目をつけられたら、もうそりゃねぇ、最悪沈没って事もあるしな」
「そういやお前がこっち来る時に何かあったとか言ってたよな?」
「スルケートが襲ってきた事か?あれは体当たり食らって凹んだってやつだが、あそこまでじゃなかったな」
「スルケートってお前、深海主の一つじゃねーか、よく無事だったな」
「子供サイズだったからじゃね?そうでなけりゃ、お前ここにいねぇし」
「んだな」
「ちょっとまてよ、あんとき結構揺れてもう終わりかって思ったんだぞ?!」
「けど、生きてるじゃねーか」
「まぁ、あんときゃ同乗してたやつが追い払ったって話だったけどよ‥‥‥」
「そうそう、嬢ちゃんが仕留めたガーランだと、ああじゃなくて穴が開いてる場合がほとんどだな」
「ま、穴があく方が深刻なんだけどな」
そんな情報が耳にはいってくるが、あんな大きな貨客船の側面を凹ませる衝撃を放つ相手っていうのは、一体全体どれほど大きい代物なんだろうか‥‥‥
ああ、なんかレイドボスとかみたいな感じな大きい奴なのかね。
たしかあの時は、遠目からチクチク砲撃してたのを覚えてるわ。
「おう、お前ら、そろいもそろっていやがるな?」
「「「「げっ」」親方」」
突然人垣の向こうから、こちらに対して声がかかるが、みながみな振り向いた途端に声をそろえて驚いていた。
そんな中、親方といえば一人の人夫に対し「連絡があってな、運搬班の船、しばらくアイツの面倒役になったぞ。修繕に使う足が欲しいんだとよ」「ああ、そういう。それでいつから?」「明日からだから‥‥‥」といった感じで打ち合わせを進めていたが、一通り終わったのか人夫の集まりが解散したあと、今度は此方へと向かい合い
「それと、嬢ちゃんは今日はもういいぞ」
「えっ?」
「今日の分の測量図は貰ったからな。正直、あの短時間であそこまでの範囲とは思わなかったがどうやったんだ?」
「えーっと‥‥‥」
正直、ここら辺の技術レベル云々がよくわからないし、下手に説明をして理解されるのか分からない。
音波使ってるとか言ってわかられるものなのかどうか、逆にそういうのを教えて技術革新とかにつながるのも面倒事や厄介事につながりかねない気がしないでもない。それならば、
「説明するのも難しいので、そういうモノがあるという事ではダメですかね?」
濁す。
ここは濁しておくに限る。
下手にそういう事で厄介事から狙われたりする必要もない。
自分のロボライフに陰りを作るわけにはいかない。
「‥‥‥わかった」
すんなり通った事に「あれっ?」と、拍子抜けをするが、成功したという事で良しとしておこう。
「それでだ。ここまでの代物ができるなら、この内湾全体も頼めないか?」
と、腕を上げて指と顎で場所を刺し記しているのは水平線が見える海。
ここから見る限りでも結構広い。
測量データだけを集めるのなら数日でできるとは思うが、これを紙に落とし込むのに時間がかかりそうだなと、なにしろ見えている範囲だけでも10k㎡とかそういう単位じゃなさそうだし、やれない事ほあないが時間がかかるのが推測できてしまいそうである。
「それは構いませんけれど、内湾全体となると結構時間がかかるんじゃないかと」
「そこはここ一月のうちでできる範囲でいい。後の分はそれから決めていく事にしようか」
「なら、優先としては、最初に提示された当たりを?」
「そうだな、そこを先にしてもらえれば助かる」
「わかりました」
「おう、それじゃ、また明日から頼むな」
親方はぶっきらぼうそう答えながらも「なんで修理にコッチが足を回さにゃならんのか・・・」とブツブツと愚痴をこぼしながら大型客船の方へと去っていった。
今日はもう上がってよいという事で、あの小麦肌の青年に挨拶でもしておこうかと事務所に向かうと、その事務所の扉が勢いよく開かれたと思えば、
「あ、アーネストさん!!親方みかけませんでしたか?!」
「えっ?親方なら、あっちの方へいきましたけど?」
「ありがとうございます!親方、また会議から逃げようとして困ってるんですよ‥‥‥あ、それと測量図の情報、持ち出し禁止なので記憶から消しておいてくださいね。それじゃぁ今日はお疲れさまでした。では」
と、一礼のあと助手は親方が移動した方へとあわただしく走っていった。
なんか、ポツンという感じで取り残された印象があったが、小麦肌の青年がちょうどそこにいたので、今日の作業に関して終わったのでこれから上がると伝えておいた。
時刻は15:30
よし、寄り道して帰るか
スルケート:
「Sperm whale」みたいな生物
↑
下ネタにみえるけど、まっとうな名称だよ!
ググってみよう!




