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閑話:〇月□日 同時刻 ギルの宿 馬房改装部屋周辺 闇夜の戦い3/4

 目標の接近を確認


 攻撃状況確認、武装による斬撃軌道と判断


 軌跡位置推測、回避行動へ


 軌跡軌道の通過を確認、銃口補正…確定


 射撃モード:シングルショット


 シュート




「ほばぁ!」




 仮称PKの位置移動を確認


 同対象の動作に異常なし、戦闘状態へ復帰確認


 再度接近確認


 攻撃状況確認、武装による刺突軌跡と判断


 軌跡位置推測、回避行動へ


 軌跡軌道の通過を確認、銃口補正…確定


 射撃モード:バーストショット


 シュート



「ぼばばばぁ」




 仮称PKの損害:軽微


 同対象の稼働:異常なし、再度戦闘状態へ復帰確認


 仮称PK、警戒モードに移行‥‥‥


 警告:監視モード 感アリ



   *   *   *



 同業者と思わしき存在が、ひとりでに吹き飛ばされている姿を確認しては、どうするかを検討してみる為に観察を行っていたが、淡い光点が光るだけでありその存在が見当たらない。


 魔法的な代物であるみたいだが、どうやら複数という訳でもなく単体で動作する代物であろうと判断する。

 いや、もしかしたら本人が起きてしまっているという可能性も考えてはみたが、馬房の方からはそれらしい呼吸音や活動音などが聞き取れてはいない。


 ほかの動物たちが厩舎に存在している雰囲気も無いために、その可能性も潰えるが、やはり起きている可能性がぬぐい切れないでいた。


 何事も、行き当たりばったりで行う事は失敗になる事でもある。

 現場での行動は特に臨機応変に対応する必要があり、うかつに行動に移すのは得策とはしない。

 それならば‥‥‥



(予定変更、"確認" へ)

(了解)

(誰が 行く?)


(自分 いく)

(こちら 逃走経路"補助"まわる)

(同じく)



 いつも通りのハンドサインを駆使して伝達を完了し、それぞれが散開する形で各人の役割をこなすべく動き始める。


 特に、同業者と思しき存在が、引き付けている間ならば、確実に気取られることもなく厩舎の内部へと侵入する事ができると判断したからであった。


 現にその推測は正しく、自身へと攻撃が課せられる事もなく厩舎の端ともいえる場所に侵入できていた。



 厩舎の内部、明かりというモノが存在しておらず、また外から漏れこむ僅かな夜の明かりすらも、今日の天気では少ないがために、外の暗闇と同等いやそれ以上に暗闇と化してはいたが、自身の持つ種族特性ともいえる"暗視持ち"にとってみても、うっすらとではあるがモノが見えた為に、あまり問題にはならなかった。


 念のために、トラップが仕掛けられていないかを壁沿いを伝う様に確認しながら標的が存在する場所へと、周囲の状況と建屋内部の詳細な間取りを記憶していく。


 防犯系としてよくあるのは、侵入者に目立つ形で設置するケースであるが、厄介なものとして捉えるか強制的に排除する、警報動作の様なモノなど、モノの影に隠れて不意打ち的に発動する形で設置されていたりする物がほとんどある。


 だが、そういった代物を逆に作動させない様に仕事を行えば、相手は気づく事が少しでも遅らせる事につながり、逃走時間を稼ぐための材料になるために逆に利用したりするのである。


 こうして、再侵入する際に手際よく仕事が行える土壌を作っていくのだが、調べれば調べるほど"そういった代物"が全く見つからないでいた為に、不審に思い始めていた



(あれほどのトラップを置いていたわりに、そのほかがおざなり‥‥いや、何もないというのは変だな‥‥‥まさか、罠か‥‥‥)



 壁沿いに、それらしき代物が無いかを時には手探りにて確認をし、調べてはいっているものの一向にそれらしい物が見当たらない事に、不安というモノが脳裏によぎり、そうして、長年の勘か、それとも仕事がらの直感なのか、



 "手を出してはいけない"



 と、そんな考えが脳裏によぎったとき、一陣の風が自身の傍を通り抜けていったのを感じた。




   *   *   *


 三点の監視物、移動開始を確認、うち一点、第一拠点防衛ラインに接近‥‥‥




(ふむ、本当に排除すべき対象が動き出しましたか、

 では、そろそろ教育的指導(・・・・・)も終わりにしましょう)



『少し、よろしいでしょうか?』

『!?こ、この接触チャンネルで、この声は、えっ?ま、まさか‥‥‥』

『はい、お久しぶりですシー殿。ヒョウです』

『ウゲェァ!ヒョウさん!?ヒョウさんナンデ!?』



(些か嫌な存在に出会ったかの様な言い方をされてしまっている気がしますが‥‥‥今はおいておき‥ましょうか‥ね‥‥‥)



『ところで、気づかれていない様なので、よろしいのでしょうか?』

『な、なにが、なにをですか!?』

『アーネスト様の寝室に男性が向かっておりますが、あれは"夜這い"という行為では?』

『へっ・・・?はっ?な・・・な・・・なんですとぉ!?』

『わたしが対応してもよろしいのですが、シー殿の名誉を挽回するチャンス・・・』

『ゆ"る"さ"ん"!』



 仮称PKと呼んでいた存在はすでに目の前にはおらず、索敵範囲を確認すると拠点防衛ラインを通り過ぎてはアーネスト様の寝室の入口へといつの間にか到達しているのを確認できていた。



(はぁ、もう行かれましたか‥‥‥。少し意地悪で焚き付けすぎましたかね。まぁ、物取りですから、そういう事にはならないはずですし。ただ、アーネスト様絡みになると、シー殿のポテンシャルが高くなるのは喜ばしい事なのですが、その動機が未だ不純すぎるのが、はぁ、問題ですね‥‥‥)



 半分感心するかの様な、半分以上あきれるかの様な、そんな感情的なものを感じておきなら、MAP上に記されている残り二点の光点がさししめしている場所に注目する。



(では、私は残り二つのゴミ(・・)を処理しましょうか)




 音もなく、静かに、存在が無いとでもいう恰好で、その二つのゴミ(・・)に近づいたかと思えば、二つの淡い黄色の光源を輝かせていた。




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