放逐
放り出された原因は何だったのか。
たしか、それは召喚された者たちには、過去の事例から"何かしらの特殊能力と言われる物が、世界からの恩寵として与えられる。"という事であるらしいのだが、その特殊能力と呼ばれる能力は、その世界からの恩寵の度合いに比例するかの如く、魔力的なそういう要素の強さ?にも直結されているモノがほとんどであるとの事とかナントカだったような・・・
そして、魔力が無いという事は、特殊能力そのモノを持っていないとなり、それを言い変えれば、この世界からの恩寵の度合いがとてつもなく低い、いや恩寵すら頂く事すらできない存在、と判断される・・・らしい。
なにしろ、例外なく特殊能力の力を使うには、魔力が絶対的に必要不可欠であり、なおかつ勇者が扱う神具と呼ばれる代物も、その恩寵で頂いた膨大な魔力的な量もしかることながら、相性も必要という事らしく・・・
つまりその魔力的な要素が一切無いという事は、神具(?)とかいう物すら扱う事が出来ない役立たずという評価になったという事であった。
さらに付け加えて言うならば、世界の恩寵といえる特殊能力を持ち得ていないという事は、世界から愛されていない存在という事でもあり‥‥‥宗教的な観点からしてみれば、異端ともいえる存在として腫物を触るかの如くな扱いに一転し、しまいには最低限数ヶ月分は生きていける資金を渡すから、自ら出て行ってほしいという、眼には見えない威圧が含まれたO・HA・NA・SHI対応までされる始末。
ま、まぁ、自分としては、この機械生命体の身体で好き勝手生きていけるなら、特に問題は無いので別に構わないという形で流されていたが、まさか追い立てられる恰好で外に放り出されるとは思いもよらなかったが‥‥‥
というか、特殊能力とかの説明を一応は聞いてはいたが、その特殊能力とやら、頂いていると思うんですよね、なにせこの身体ですから。
視界の隅には半透明状態でメニュー欄でてるし、頭の中で認識したらそのメニューがツリー状態表示で表示が変わって意識したら各項目が選択できるし、さらに自身の身体の状況もスキャニング表示で常に確認できているし、さらにオートマッピング表示まで搭載されているから現在MAPも認識した部分から埋まりだしている始末。
ついでMAP表示にはレーダー機能も使えているために、いま歩いている人々の位置まで確認できている始末。
さらにいえば、熱源表示的なレーダーもあるのか、視界表示モードを切り替えれば、視界からは見えない場所にいる人たちも、サーモグラフィみたいな枠線で囲われて表示する事も可能ときているし、もうね、いたれりつくせりとも思われる仕様が、VRMMOのゲームとまったく同じ、とでもいう訳でもないが、ほぼ似たり寄ったりな内容で使えるものだから、これらが内蔵されてるのが機械生命体の機能まんま使用できているという。
そんなVRMMOの機械生命体としての機能がほぼ使えているという状況が、その特殊能力って奴じゃないか?と、思えるんですよね。
VRMMOの他の種族だったら、これらの機能使うためにはわざわざ手に持つタイプの専用端末を持って確認しなきゃいけないとかだし、その端末が不要というか内臓されてるのって、結構便利なのにね。ほんとにね。
もっというなら、倉庫空間とかの機能も、この身体に内包されてるから、倉庫ユニットをわざわざ準備しなきゃならないとか、そういう事も必要なかったりするのにね。
ほんと、便利なのにメインとしての使用種族割合がブッチギリの最下位なんだろうかね。
あ、そういやその倉庫機能のおかげか、倉庫キャラとして一定の需要があったという皮肉もあったけな、まぁ、自分もすべてそういう使い方もしてるので、そこは置いておこう。
とりあえず、放り出された自身の現状を考えていこう。
これから機械生命体として生きていくなら必須なことになるはずだし。
こういうお約束ともいえる定番的な方法になれば、よくあるギルドとかで魔物とかを倒していくというのがパティーンという奴なんだろうが、魔法が使用出来ないという事で、よくあるファイアーのボールとか、アイスのランスとか、そういった攻撃系魔法というのが一切つかえないのは確定している。
もっというなら治療系とも言われる回復法術的なものも使えるわけもなく、そもそもそういった回復系統の法術で自己治癒能力を活性化させて増強させる機能はまったく効果がない。
さらにさらに補助系魔法は一切無効ときている。
あ、弱体系も呪術系も一切効かないから、ここらはトントンか?
なら、魔法系が使えないとするなら、魔法生物とかで物理法則が通用しない相手だとどうしようか。
魔法生物でも物理攻撃効いたりする不定形やら合成系や肉体があるモノなどもいるが、幽霊とか精神体とか、よくわからないそういう類のものは、蜂の巣にしても平然としてやがったっけか。
で、どう見ても物理モノに見える古典的な剣とかの装備でも、専用の処理を施すとあら不思議、ダメージ与えれるという訳解らん解釈設定だったけか。
そこら辺が出てきたらどうしようか・・・今は一旦保留としておくか・・・
他には毒物などの生物に影響を及ぼす代物はほぼきかない。
いうなれば病の類も、この機械生命体にとってみれば意味をなさないし、活動場所も一般的な生物の活動領域以上であるため、相当な過酷な場所であろうとも活動は可能ときている。
例を挙げるなら、200℃~300℃あろう場所であろうと、深度1km以上の深海であろうと、宇宙空間で放り出されようとも、装甲の耐久能力次第で影響を受けずに普通に活動できたりする。
冷静に見つめなおしてみると、ある意味、自由不自由両立してる種族なんだと再認識してしまう。
というか、夢にまで見た機械生命体の身体な訳だし、こんな身体になれたらそりゃもう万歳を全力でしちゃうレベルだし、元の世界に帰るとかしなけりゃ"死ぬまで機械生命体"なんだよな・・・
ゲヘ・・・
ゲヘヘヘヘ・・・
やっべ、そう思ったら興奮して涎、じゃなくて、オイル?垂れてきそう・・・
いやいや、まてまて、落ち着け、ここは冷静にならなければならない。
このままだとフラグが立つ、いうなれば死亡フラグというやつだ。
少しでも長い間、この身体を堪能する為にはそんなフラグは危険だ。回避するに限る。
だが、フラグたてて戦闘でボロボロになって機能停止して、自然の中で錆るまで放置されてる絵姿とかを妄想してみると……ふむ、それはそれで"アリ"だ。
こう、自然の中に錆びたロボとか兵器が鎮座してる姿とか、これはもう涎モノなシチュだよ、ロボ・メカ冥利に尽きるよな。絶対。
よし、とりあえず老後‥‥という表現になるのかはわからんが、とりあえず理想的な死に方はソレにしておこう。
爆発四散は勘弁として、機能停止の時は、座った姿勢で砂漠や草原などの自然の中に埋もれていくとか、最後は直立モードで全うするとかいうのは、この先の長い議題としておこう。
・・・というかちょっとまて、何で最終回的な内容を今から妄想してるんだ?
これからこの身体でエンジョイしていくはずなのに、何で最終回的なモノなんだ?
何考えてるんだよ、とりあえず活動する為に先だって必要なのはエネルギーの補給方法だ。
VRMMOのゲーム上での生物たちですら、食事をしなけりゃ活動能力が下がるし、しまいには死んでしまうという仕様があり、機械生命体にも、その活動エネルギー補給を怠れば機能停止というか、省エネモードでまとに動けなく‥‥‥
そういえば、基本的な活動エネルギーは、専用のエネルギーパックで補・・・給・・・?
あれ?
エネルギーパックで補給だったはずだが、どこにある‥‥?
そんな補給所なんて見当たらんぞ?というか、そもそも存在するのか・・・?
周囲を見渡し展見ても、それらしいのは存在してないよな・・・
‥‥‥‥‥‥
まずい!活動エネルギー切れ待ったなしなのか!?どうする!!
他に何か補給する方法がなかったか?思い出せ自分!
記憶をたどれ!!こういうときは電子の海へダイヴだ!!と、その電子の海の記憶領域の奥底から思い出した記憶といえば、生物のフレキャラと飯とか食べてた記憶‥‥
フレキャラとの集まりの中、水着コンテストとかで2ndキャラを作っては参加して、本物(生物)じゃないから失格とか云々とか言われてる中で、腹いせに出し物的に出店されていたNPCの屋台を網羅しつくしていって・・・あ、これでも活動エネルギーが回復していくんだ、と・・・
あっ・・・そうだ!たしか食べてた!!
そうなると食料の摂取でいける‥‥のか?
いや、機械生命体で食料で補給ってどうなんだ?何かちょっとおかしい様な違和感がある様な‥‥ここはロボマニア視点からいえば、無し‥‥か?いやまて、有り無し派閥があるならば、アリの派閥もあるだろう。
なにせ、国民的な一応はネコ型のロボットの代名詞ともなる青狸ロボなんて和菓子も飯も食べてるわけだし‥‥もう一ついうならば、ハンドメイドの従者のはずのロボなんて、コロッケを所望するレベルである訳で。
・・・うむ、きっとアリだ。
そう、アリに違いない!アリのはず!アリであってほしい!
そうと決まれば、さっそく飯を食べて試そうではないか。
どこかにそれらしい場所はないかと、周囲を確認しながら散策していくと、ちょうど飯屋と主張してる建物が存在しているのを発見!他にはなかろうかとパッと見渡してみるも、それらしい店は見当たらない。
これはその店に行けという啓示なのだろうと、その店へと足を向けた。
〇思考中の間の事
通行人A
「(なんだ!?いきなり気持ち悪く笑いだしたぞ・・・見ないふり、見ないふりっと)」
通行人B
「(ああいうのには、関わらない方がいい)」
通行人の親子
「おかーさん、あの人何かブツブツいってるよー?」
「しっ!関わっちゃいけません!」