費用
検証を伴った食料摂取を終わらせ、どういうのが良いというのか目星が付き、意気揚々と宿のホールをくぐった瞬間
「おかえりなさいませ、お姐様!じゃなかった、ご主人様!」
「フゴッゥ・・・」
こちらが入ってきた事を確認してすぐさまに、待ち伏せともいえる不意打ちを食らった。
その給仕姿とメカ娘Sという組み合わせは反則だろう。
押さえておくべきセオリーを一通り完備してる状態でソレって、お前、絶対ワザとやってるだろ。
「シーは、お姐様、じゃなかった、
ご主人様のお帰りを、首をながーーーーーーーーーくしてお待ちし(デボラァ」
不意打ちを撃ってきた存在だったが、次の行動は此方に駆け寄ろうと・・・いや、あれは抱き着こうとしてきた時点で、一気に冷めたというかマイナス評価というか、こちらが冷静になれる行動をとってきてくれた為に、あの物理シールドもどきを認識して展開する事に成功する。
まぁ、そのお陰で不良品Sという存在は、その見えざる斥力の壁に衝突事故を起こしていた。
というか、学習しろよ・・・
「お姐様ひどいです。お帰りの抱擁をしようと思ったのに・・・」
「やらなくていいから。あと、何か間違った知識(欲望まみれ)で行動してないか?」
「え?お姐様、そこはほら、愛するモノ同士は~お帰りのキッ(スカラァ」
今度は右腕を使った衝撃(物理)を脳天に加えておいた。
お前、本当にブレないのな。
大抵の故障品はたたけば治る理論があるはずなのに、一向にその気配が微塵も感じられない。
いや、まて、逆に壊しているのだろうか・・・というか、お前仕事はどうしたんだよと。
「シーちゃーん?」
此方の思惑を空気が悟ってくれたのか、食堂の方から指名的な呼び声が聞こえてきた。
「ほら、呼んでるぞ?仕事に戻れって、後でそっちいくから、でないといかんぞ?」
「本当ですね?!ぜったいですよ!?戻ったら必ず来て下さいよ!?」
「ああ、ああ、わかったから、ほら行った行った」
しっしっという感じでお見送りをした後、受付にいる親父さんから声がかかる
「賑やかだな」
「そういうつもりじゃないんですが」
「追っかけて来たんだろ?まぁいいじゃないか、落ち込むとかよりかは」
「あー、まぁ、確かにそうですけど」
というか、アイツが落ち込む事ってあるのだろうか、今のアイツからだと想像が全くできない。
何かこっちの世界?に来てから、あの性的な嫌がらせ行為が、バージョンアップでもしたかのように、さらに輪をかけて悪化している気がしないでもない。
そんな調子で物事に当たっていたのかと思えば、とても不安しかない。
例えば…失敗して損害的な損失を負わせていることが無自覚だったりとか‥‥‥ちょっとまて、それだと何かあったらコッチが責任を負わなけりゃとかおきるのか?
それは勘弁願いたい
「というか、昼間もあんな調子だったんですか?」
「いや?全くもって、普通に給仕やってたぞ?」
マヂかよ・・・信じられない。
どこまで猫被る・・・って、被ってないな、自分がいるときは周囲の目なぞ一切気にせずに素で行動してるし・・・
「とまぁ、ちゃんとやってるから、宿代は大丈夫だろ」
「はぁ・・・」
っと、あ、宿代で思い出した。
資金が手に入ったから、先だって自分の分は先払いしておく方が良いだろうな。
途中でスカンピンになって、追い出されるのは困るし。
「ところで、宿代の話なんですけれど」
「ん?当分はアレの分で大丈夫だぞ?聞いてなかったのか?」
「・・・はい?」
「一応は、コチラで買い取る分をそのまま宿代に回してたからな・・・えーっと確か・・・」
パラパラと、受付の中にある書類らしきものを確認し
「うむ、一月はとりあえずは大丈夫だな」
「一月ですか」
「ああ、朝食込でな」
「それって、アイツの分も?」
指さしてみるその先は、食堂の入り口からその中で移動しているのが時折みえる存在がいたりする。
「まぁ、入ってるっちゃ入ってるな」
「えっ!?」
「なんだ?何かまずかったのか?」
もし、働かなくて良いという事が発覚すれば・・・確実に四六時中付きまとわれる事が想像に難くない。
そうなれば、何かとコチラに接触し続けようとあの手この手を使って来ることは確実であり、精神的な休息・・・いや、心労ばかりが重なっていくという結果につながってしまう。
それはなんとしても避けなければならない。
が、うん、理解されないよね。
何かしら理由付けしておいた方がよいとは思うが、説得力がある内容・・・内容・・・そうだ!
「アイツには、足りてる事は黙っといてください」
「ん?それは構わんが・・・なぜだ?」
「心の平穏の為に」
「はぁ?」
「いえ、そろそろアイツの自立の為‥‥‥に?」
「ん?あぁ、"自立"ねぇ」
何かしらを思うところがあるのか、親父さんは食堂の方を見ながら考え込み
「ま、嬢ちゃんがそう言うのならわかった。料金は一応それぞれが支払う形という事にしておくよ」
「そうしてください。ほんと、お願いします。必ず行ってください、必ず!」
「お、おぅ・・・」
ガシッと両手を掴んで、懇願しておいた。
もう、ほんとに、絶対に、かならずそうしてという願いとともに。




