お仕事
「んじゃ、オレぁこの辺で帰るわ、じゃな。ちゃんと払えよ」
「わかっとるわ‥‥ったく‥‥」
「では、先ほどの件、よろしくお願いします」
「あいよ‥‥」
この剣を持ってきていた人物は、仕事の話がまとまるとそのままその場を後にし、残された三人だったが、
「とりあえず、嬢ちゃんは採用という事で了承は得たんだな?」
「はい、そういう形で滞りなく」
「じゃぁ嬢ちゃん、仕事に関して何か質問はあるか?」
急に話をふられたりしたが、とりあえず採用という事は確定しているので、ここの仕事の内容を知らなければ、何をどうすればよいのかわからない。
ので、まずは何をやらされるのかを聞いてみる事にする。
なにせ、さっき見かけていた石とか岩とか運べとか言われたら、さすがにこのキャラでやれるのかどうかが怪しくもあり、そうなってくると、重機ともいえるキャラを準備しておいた方がよいかなぁと思ったりするわけで
「えーと、どういった事をすれば良いのでしょうか?」
「おう、そういやそうだったな。
嬢ちゃんにやってもらう仕事に関してだが、おい、工事予定図面を出せ」
「はい、とりあえず今季の分で?」
「ああ、それでいい」
ようやく本題に入りたかったのかはわからないが、近くに積み上げられていた木箱の上に、助手が持っていた丸められた地図が広げられる。
そこに記載されているのは工事予定と思われる図記号が色々と記されている海図らしき代物であった。
「今、俺たちがいるのがここだ。で、工事予定の区画はさらに沖合の・・・ここだ」
その中で現在位置と思われる場所をトントンと指で記してから、そのまま指でなぞる様に奥に向かって工事予定の場所が示される。
その場所が示された処には、たしかに堤が作られる格好に線が書き加えられていた。
「今季は地図通り、ここからこの場所まで伸ばす予定だが、ここいらの底調査が滞っている。嬢ちゃんはその底の状況調査だ」
そういって示されたのは、その伸ばされている線の中腹。
ほぼ真ん中あたりであり、現状の位置からみるとまだそこまでは工事が到達はしていない物の、そちらの方へと延びようとしているのは、素人目からみてもはっきりしていた。
「調査というと…例えばどんな?」
「深くはなってはいるが、ここらは岩盤が多く石切状態が続いているはずだ。
だが、その状態でも場所によっては色んな物が存在してもいる。
まずはそれらの現場の状況を調べてもらえればいい。
状態によっては堤の方向を修正する必要も考えなけりゃならんからな」
そういって、親方は今度は洋上の方を見ながら説明を続ける
「このあたりで大型の魔物が出てくる事はほとんど起きない様になっていたはずだが、
迷い込んでくる奴もいるかもしれん。オカシイ話なのだがな‥‥」
「とりあえずは、その事の報告は上げてあります。調査団をどうするかとも言ってましたよ」
「まぁ、あちらは専門家に任せるしかなかろう。
ワシ等は工事の方を進めるが、大系のガーランを単騎で仕留めた嬢ちゃんの実力なら適任だろ?」
「親方、いきなり彼女にそれをやらせるとか‥‥色々とどうなんですか?」
「なら、専門を呼ぶ事になるぞ?
今の状況で、その場所の海底調査となると、どれぐらいかかるかな」
「‥‥‥致し方ありませんね、アーネストさん、よろしくお願いします」
「えっ?あっ?ハイ」
急に助手の方から話をふられ、凄みともいわれる気配と共に、よろしく頼まれる格好で押し切られた。
というか、貴方の眼力、すごく思い詰めてる感じがして気迫がすんごいんですけど‥‥
「"ハイ"と同意もえられたので、それでいきましょう。
アーネストさんのご希望の件ですが、危険手当という形で通しますのでご安心を」
「お前なぁ‥‥‥」
「背に腹はかえれません。
さすがに今季のこの時期に、これ以上の出費は避けたいですからね‥‥
あの所長の愚痴を聞かされる身にもなってください。
というか本来は親方が対応しなければならないんですよ?」
「お、おぅ……善処だけは考えてはおく」
「期待はシテオキマセンヨ」
「えーっと・・・」
なぜかこちらの同意が得られた格好で話が進み、見事に蚊帳の外で愚痴合戦が開催されはじめてはいた。
そうして、仕事内容をまとめてみると、先ほど印がなされた場所の海底の状況調査を行い、その内容を精査するために海底地図と思われる内容を作成するという事だった。
まぁ内容からして対応はできる範囲ではあるし、確かに流されるままになってはいるが、特に問題となる事もなさそうかな?
うん、これなら2ndキャラで十分やれる。
海中ならソナーを使用してマッピングして、それをプロットアウトすりゃいいだけのお仕事といえる。
というか、早い話が"測量"をしろという事である。
「では、さっそく調査に行っても‥‥?」
「あ?あぁ!ちょっとまってろ!」
愚痴合戦が開催していた中、親方は逃げれる口実が見つかったとばかりに、作業員が働いている方に向かって
「おーい、クァン!こっち来い!」
「はいっ!」
作業員の中から元気よく返事を返してこちらに向かってきたのは、年恰好が20代にも届いていなさそうな、小麦色に日焼けしている少年とも青年ともいえない生物であった。
「えーとだ、こちらの嬢ちゃんに底調査を頼んだ。お前はその足をやってもらう」
「は、はい」
なんかこちらをマジマジと見上げては、何かこう純粋なまなざしで見てくるんですが、うん、そういう系統が好きそうな人には、美味しいとかいうんだろうか‥‥‥
仲間内には、涎たらしてそうな抽象的な容姿とだけいっておけばよいのだろうか‥‥
うむ、自分そういう気はない、全然これっぽっちもまったくもってない。
「は、初めまして、クァンといいます」
「初めまして、アーネストだ」
軽く挨拶をかわしてみるが、小麦色日焼けの青年は今度はどこか余所余所しい照れている様な態度ではあった。
「ウチの中で舟の事ならコイツが一番だ。仕事の相棒としてつける」
「よ、よろしくお願いします」
「よろしく」
「さっそくだが、舟に案内してやってくれ。
といっても、今日はそんなに気張らなくていいからな。
ついでだ、それぞれの道具や仕事場の事など教えてやれ」
「はい、わかりました!では、まずは舟の方へ案内します。こちらですアーネストさん!」
「了解」
小麦色日焼けの青年に案内されるがまま、仕事用の舟があるという場所へと移動していった。
(キュピーン)
「(ハッ!この感じは‥‥‥お姐様に好意を寄せる何かが!?)」
「あれ?シーちゃんどうしたの?」
「(お姐様にとりつこうとしている害虫がいる?!コウシチャイラレナイ!)」
「シーちゃ-ん、お昼‥‥」
「お姐様!お待ちくださいね!(シーが必ず駆除して見せますから!)」




